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光と闇のシンフォニア  作者: 花宮 あいら
終わらない四重奏─カルテット
102/135

19ー5 奏でる戦いの音

5章 姉妹王女


「…ころ、さなきゃいけない。あんなきんきを犯したやつは、わたしがころす…ころす…」



幼いころから、憎い両親を殺したくて仕方なかった娘がひとり。


魔法で生み出した赤子など、可愛がってくれるわけもないと、ずっと娘は両親を拒絶していた。



「クラリス、いいこよ」



敬愛する姉は、いつも妹を可愛がり、けれど自らも戦に赴いた。


妹は、それから見よう見まねで魔法を覚えた。

殺し屋「ウィスレット」に扮して、過去に遡ってから、毎日親を殺すために人を殺した。


人殺しは、練習だった。




♢♢♢



「……母様は嫌いよ」



ふん、と子供らしく首をそっぽに向ける。



「クラリス、ごめんなさい。未来と同じ道を歩んでしまって。禁忌を犯してしまって。」



ルナは、深く深く頭を下げる。アリアはクラリスとまだ会っていない。会ってしまえばきっと、クラリスの憎悪が積もってしまうかもしれないから。



「でも、ここは未来と違う。わたしは、変えて見せる。あなたを、愛する。きっと、きっと……それができなかったルナの為に…」


「そんなの…ただの建て前じゃない!」


「クラリス!」



アイリスが掴み掛かろうとするクラリスとルナを引き剥がす。

いくら経っても、クラリスのルナへの憎悪は晴れることは無く。



「……外、行ってくる」



クラリスは何も持たずに外に出て行った。

ばたん!と凄い勢いで扉が閉まる。



「…禁忌とは、なんなのでしょう」



アイリスが、ぼそりと呟いた。



「禁忌は、私たちがしてはならない事を示したこの世界の文言。第一条のマナーやルール、第二十五条の魔法のこと。犯せば、反動として命が奪われることだって……」


「そんなの…知りません。おかしくないですか?戦争ではあんなに人殺しが横行していたし、今までに禁忌なんて話、一度も出たことがありませんでした。お母様、この世界は………狂い始めています」



アイリスだけが取り残されたように、狂い始めた世界に気づく。この時空にいてはならない、アイリスただ一人が。



「何かが、おかしい。確かに私というイレギュラーな存在で何かが生じていようと、未来でさえ「禁忌」なんてものは無かった。

人々は規則なんかに縛られず、けれどわきまえて暮らしていた。どうして今になって禁忌?してはいけないこと?お母様、お母様!」



強く呼ばれ、ルナはぼうっとしていた意識を覚醒させる。そうだ。そんなものは無かった。


───世界が変わっている


体をびくりとさせて、ルナは立ち上がった。



「……アリア様なら、知っているかもしれない」



アルテミス、かつては女神と呼ばれた少女の魂が、一人の愛する少年を探している。

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