ACT.6「アタシ達の戦いはこれからよ!」
サブタイトルに騙されないように(笑)。
これからミネルヴァの言うゲームとやらが始まるところよ?とルクスさんは言っているのです。
決してもう最終回などではありません。
「ハンタイ反対、絶対反対ー!」
「私も反対です、なんで私達を組ませてミネルヴァさんがショータ様を独り占め?」
アタシとルチアーナは大賢者ハイエルフのミネルヴァからのミネルヴァとショータがタッグを組む、という提案に真っ向から大反対した、当然よね!
「どうしてさ?天才魔法使いと聖女のコンビなら戦力に不満は無いはずだろ?」
悪びれずにミネルヴァが言った。
「せ、戦力とか云々じゃないわよ!しょ、ショータがアンタ側にいるのが問題だって言ってんの!」
「ショータは確かに勇者で星剣とやらも使えるからだいぶ有利になるのは認めるけど、ソッチも天才魔法使いと聖女なんだから互角じゃないか?」
「いやいや、アンタだって大賢者なわけだし弱いわけないでしょうが?」
「…もう、ルクスは黙ってて?今は戦力の話しじゃないって自分で言ってたの忘れたの?」
「あ、そうだったわ…危うく向こうのペースに乗るとこだった(汗)。」
「戦力が気に入らないんじゃなかったら、何が不満なわけだいお二人さん?」
ミネルヴァは本気で気が付いてないみたいな口ぶりだけど…
「…そ、それは…だね…」
「つまりその…ショータ様…が…」
アタシとルチアーナはモジモジしてしまう。
ルチアーナ相手なら簡単にショータに近づくなって言えるのにショータに自分の気持ちを知られてしまいそうなこの展開にはうまく言葉が出て来ない…何故だ?
それはルチアーナも同じようで、アレだけ普段ショータ大好きムーブをかましてるくせに言葉でショータが好きだとダイレクトに口にするのをはばかるのは何故に?
「まーそこはアレだな、乙女心ってヤツ?なあアローネ?」
「何でそこで私に振るかなエボリュー、…まあいい、要するにそこの二人はショータをアンタに取られたくないって言ってんのさ。」
「…はあ?私がショータを、取る?」
「ふむ…ショータはまだ若いからな、歳が近そうなルクスやルチアーナより綺麗で大人の女性の魅力のある歳上女性に靡きやすい傾向はあるかもな。」
「…むくつけきハゲヒゲ男のガルドの口から出るとは思えない言葉だニャ…因みにガルドにもそう言う時代があったのかにゃ?」
「馬鹿にするなミカ、こう見えて俺も10代のまだ髪の毛フサフサの頃はだな…」
なんか外野どもが退屈しのぎにアタシ達を面白がり始めたようだ。
「ええーと、話しが先に進まないからとにかくゲームの内容とやらを話してもらえるかなミネルヴァさん?」
あ、ショータのヤツ自分に向きそうな話題をスルーしたわね!
「そうだったね、じゃあ説明するよ。」
「ゲームというのは………」
………。
「へえ、クエスト達成率の競争ねえ?」
「意外に平和的方法で驚いたよ、てっきり模擬戦とかでぶつかり合うのかと思った。」
まあ普通に考えればアローネの言う通りだね。
「どんな内容でもいいから要はクエストを成功した数が多い方の勝ちってヤツ、どうだい簡単なゲームだろう?」
「内容はわかったけど、俺達そもそも勇者パーティーとして全員一つで登録してるんじゃなかったっけ?」
エボリューの意見はもっともだ。
「ギルドへの報告は勿論勇者パーティー名義になるけど、どっちが多く達成したかはアンタ達が審判として判定してくれないか。」
「はーい、記憶力には自信あるにゃあ!」
身体能力だけじゃなく頭も良く無いと務まらない盗賊をやってるミカなら確かに記憶力も良いだろうね。
まあ盗賊と言ってもお宝探しのトレジャーハンターの側面が強い集まりが多いんだけど。
「そんなに数をこなさなければ記憶は関係無いだろう、そもそも何かに結果を記しておけば良いだけの話しだ。」
「むにゅう〜〜!」
ガルドの正論にミカが耳と尻尾を立てて威嚇している。
「猫耳獣人族って見てて飽きないよなあ(笑)。」
アタシが何気なく言うと
「アンタらも結構見てて飽きないと私は思うけどね?」とアローネに言い返えされた。
「話しを戻して良いかな?期限は明日から3日間、クエストは冒険者ギルドから請け負ったクエストだけ、但し同じ内容の…例えば同じ薬草の採集クエストを何件も続けて選ぶのは却下だ、必ず違うクエストを選ぶ事、いいね?」
「はいはーい!その場合違う薬草の採集とか、同じ薬草採集でも難易度が高い方を選ぶならアリなのかな?」
「良い着眼点だねルクス、さっき挙げたのならアリだ。」
「しかし、お互い数をこなせそうな簡単なクエストばかり選ぶ事になりませんか?だとしたら初心者用クエストは3日間で私達が全部取ってしまい初心者冒険者に迷惑かけるのでは…」
「流石だねルチアーナ、ではこうしよう。」
「受けるクエストはFランクからDランクまでを二つずつ、これなら二人だけの私達でも何とかこなせるはずだ。」
「そして同点なら残りのクエストで大物を仕留めた方の勝ち。」
「おいおい、それなら勇者のショータがいる方が有利にならないか?」
「そうかな?私には必ずそうとも思えないんだけどね、ガルドさん?」
ミネルヴァがニヤリとアタシの方を見た。
何だろこの女、アタシの事に関して何か気付いた、とか…?
いやいや、無い無いそんな事!
アタシは湧いた不安を払うようにブンブン首を振った。
次の日、早速ギルドに集まったアタシ達勇者パーティーはクエスト選びに没頭した。
「とにかくチャチャッとFランクのクエスト二つから片付けるよルチアーナ!」
「ええ、サッサと終わらせて早くショータ様を取り戻しましょうルクス!」
熱心にクエストを選ぶアタシとルチアーナを横目にクスッとミネルヴァは笑ってた。
「そんじゃコッチもやるとしますか勇者ショータ様?」
「くすぐったいからその呼び方やめてよミネルヴァさん。」
「ショータも行儀良すぎるさん付けの呼び方やめてくれないかな、呼び捨てで良いよ。」
「いや流石に歳上女性に対して呼び捨ては…」
「歳上って言われるとさ地味に傷つくな、確かに何百年も生きてるんだけど…。」
「あー、え、ええとお…あ、じゃあミネルヴァ先生ってどうかな?」
「先生…ふむ、確かに私は大賢者とも呼ばれてるからおかしくはないか。」
「ええ、一応元いた世界では先生から勉強習ってまして、その時も美人な女の先生でして…」
何だかショータがポッと頬を赤くした。
んん?ま、まさかその元いた世界の先生とやらがショータの初恋…?
アタシは耳に手を当ててその会話に集中した!
するといつの間にかルチアーナもアタシの横でショータの初恋話しに聞き入っていた!
「ふ〜ん、それでショータはその科目だけは成績が上がったんだね?」
「はい!それに歴史って面白いですよね!まあ年号とか覚えるのは苦手だったんだけど(笑)。」
「年号?ああ事件が起きた年の事か、そんなの覚えてどうするのだ?」
「え?…ああ、それは試験に出るから…」
「試験?何の為の試験なのだ?」
「何って、ちゃんと授業内容覚えてるかの確認で…」
「ふ〜ん、学校とやらは変わった教え方するのだな?私が勉学習った時は師匠から矢継ぎ早に出される質問に対して速攻で応える応用力を重視されたものだが…」
「ふ〜ん、みんな色々勉強とかしてるんだねえ」
「貴女は魔法を勉強しなかったのですかルクス?」
「ん?私ってばホラ、天才魔法使いだからして物心ついた時から殆どの魔法を本能的に…」
「はいはいそう言う事にしておきます、…て。あれ?」
ん?キョロキョロしてるルチアーナから視線を外すと………
いつの間にかショータとミネルヴァの姿が無い?
アタシとルチアーナがお喋りしてる間にクエスト選びを切り上げてたのか!
「おーい、早く何にするか決めないと、とっくにショータと大賢者さんは出て行ったぜえ?」
エボリューが呆れたようにアタシ達に言った。
「そうそう、ショータが『あの二人あんなに顔を近付けて熱心に話しあってるから邪魔しないようにコッソリ出ていくね』て言ってたわよ(笑)?」
アローネが笑いを堪えるように言った。
「…それショータ絶対勘違いしてるからね?!」
「な、何を勘違いされてるんですか私達?」
「知らないわよ!ていうかアタシに言わせる気?」
「う…何となく嫌な予感しますから結構です…」
完全に遅れを取ったを取った、でもまだ巻き返せる!
「まだ間に合います!」
「そうねゲームは始まったばかり!」
アタシとルチアーナは大急ぎで冒険者ギルドを飛び出した!
「見てなさいミネルヴァ、アタシ達の戦いはこれからだーッ!!」
………。
…え?ここで物語は終わりかって?
ちゃうちゃう、文字通りここからアタシ達の本当の戦いが始まったの!
そう、これで勇者パーティーは全員揃ったからね!
サブタイトルはショータとミネルヴァに出遅れてしまったルクスの内心の焦りを言葉に表したものでした。
はてさて、このゲームの行方はどうなることやら。




