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ACT.7「薬草採取クエストにて」

ルクスとルチアーナは出遅れて薬草採取クエストに挑みます。

はてさて、どうなることやら…。

薬草採取クエスト。

新人冒険者向け初級クエストと言えば定番。

こんなの楽勝よ!と、アタシは最初思ってた。

生活資金稼ぎに持って来いな成功率、ただし報酬を稼ぐにはそれなりの時間と労力がいる。

まあ今回はクエスト達成率勝負だから必要最低限の収穫で良いのがメリットよね。

「よっ、お先!」

「貴女達も来たんだね、私とショータは次に向かうからごゆっくり♪」

ミネルヴァとショータは足早く去っていった。


「二人とも手さげ鞄に摘んだ薬草入れてたわね。」


「私達も負けてられませんよ、ルクス!」


「向こうは何の薬草取ってたんだろ?」

アタシはショータ達のいた足元を見た。

「げ?」

そこには比較的高級そうな薬草が生えていた。

それも抜かれていたのは四分の一程度。

「チャンスよ!これを抜けば!」


「ええ!、…、ちょっと待ってください?依頼書に書かれた薬草ってコレでしたっけ?」

ルチアーナ何言ってんだ?と思いつつアタシはバッグから依頼書を出して広げた。

バサッ。

「…ん?」


アタシが手にした依頼書には少〜しばかりグレードの落ちる薬草が書かれてた。

「なんだ、心配させないでよちゃんと見つかりやすそうな安物の薬草選んでるからさ!」


「そうですか、ここに生えてる高級薬草なら今すぐ抜けたんですが…」


「安物低級薬草だからその辺歩いてればすぐに見つかるっしょ!さあ元気出して行くよ!」

アタシはルチアーナを先導するように歩いた。

受付のお姉さんに聞いた話しだと本当に良く見かける薬草で人気の高いクエストとの事だ、早く見つけて量さえこなせばすぐにショータ達に追いつける、アタシはこの時そう考えていた。


…………。


「おかしいなー、確か湖のほとりに沢山生えてるって…」

情報と現実に齟齬があるよこれ。


「見れど探せど見つからないじゃないですかー?」

ルチアーナが愚痴りだす。


「おかしいなー、こんなハズ…。」

ふと、お目当ての薬草をみつけた。

「あった!」

アタシの声にルチアーナもやって来て一緒に薬草を抜き始める。


しかし。


「ちょっと目的の量に足らないかな…?」


「意外と少なくありませんか?そこら中いっぱい生えてるとばかり…」

 

「あ!」


良く見ればそこら中草をいっぱい抜いた跡がある。


「わかりました!きっと他の冒険者達が抜いていったんです!」

「人気の高いクエスト…だから人気が集中して一人ずつならまだしも大勢が押しかけて一度に抜いていけばこうなるのも当然です!」


「ええっ?!そんな、簡単なクエストだからと選んだのに〜?」


コレはとんだ計算違いだった!!


「と、とにかくさっきの場所に生えてた薬草もちょっとばかり抜いて行こう!クエスト達成条件とは違うけど少しは金になりそうだし…」


「…仕方ないですね、探索魔法でこの薬草の範囲を探してみます…」

ルチアーナはため息つきながら魔法を拡げた。


「!…この先の森のそばにまだ少し残ってるみたいです。」


「グッジョブだよルチアーナ!」


アタシ達は少し出遅れながらも何とかクエスト達成分の量になる薬草を手に入れられた、今回ばかりはちょっと不本意ながらもルチアーナ様々だ。

と、思ってたら

「…ルクス、私に何か言う事ありませんか?」


「言う事?」

「グッジョブ?」


「それはさっき言ったでしょう?感謝の言葉よ!ガキじゃあるまいし!」

なんか急にキツイ物言いになったな。

そっか、ショータもいないし猫かぶりする必要無いからだね!

「サンキュー、やるじゃん見直した。」

ちょっと棒読み気味に言ってやったw


「感謝の念が足りませんねえ?」

あ、ちょっと調子乗りやがったぞ。

コッチが下手に出たら自分が偉いと勘違いするタイプ認定する事にした。

「礼なら言ったでしょ、それに協力するのが普通!ホラホラ先急ぐよ負けちゃうじゃん!」

アタシは頭に乗るルチアーナを放って歩き出した。

「コラ!今回は私がフォローしたから良いものを次からもそう上手くいくとは…」

 

「ハイハイ、アンタは凄い、また活躍頼んだよー。」


馬鹿は放っとくに限る。


次は魔石探し。


「ええと、火の魔石、火の魔石、と。」

火の魔石は見た目赤くて火魔法の魔力の結晶だ。

アタシも昔は良く使ったっけ……、いかんいかん、そんな事今はどうでも良い、集中しなくちゃ。


「あ、火の魔石見ーっけ。」

アタシは手の魔力を極力減らしてからそっと掴んだ。

何故かって?

魔力がその辺の魔法使いより強いからに決まってんでしょ、魔力の結晶である魔石は純度と密度が高いほど術者の魔力に敏感に反応する。

すると火属性の魔法が使えなくても魔力というエネルギーそのものに反応して反応を起こすんだ。

火の属性持ちなら火の魔石が強い魔力に反応した途端に炎が出たり爆発する事もある。

水属性持ちなら水蒸気で水蒸気爆発の危険もある、風属性持ちなら弱くて微風、下手すりゃ暴風。

土(金)属性は無害?と思わせといて魔力を強く流せば火薬見たいに爆発を発生させられる。

これを遠隔操作すると離れたところから爆発させられるから爆弾代わりになるんだよ。


…あれ?何の話ししてたっけ?


などと一人考え事してたら


ドカン!


「キャッ?!な、何今の?」

ルチアーナが尻もちついてた。

「どうしたの?…て、何やってんのアンタ?」


ルチアーナの手の平から煙が出て少し焦げてた。

「熱…い、痛い…」


「…何してたらそうなるの?」


「火の魔石が汚れてたので綺麗にすれば高くかいとってもらえるかなっ?て思って浄化魔法を…」


「馬鹿かアンタは!?魔石を素手で持ったまま魔力通すなんて正気じゃないよ!」


「しかし私の魔力は神様からいただく神聖魔法なので…」


「あのね、受け取る前はそりゃ神聖なエネルギーかも知れないけど、物質に働きかける為に物質化したエネルギー、つまり魔力の働きは神様からだろうが魔王からだろうがみんな同じなの!考えればわかる事でしょうが!」

アタシは呆れながらルチアーナの手を取る。

ギュッ

「ほれ、見せてみ?」


「な、馴れ馴れしい事しないで下さいな!?」


「怪我見てやるっていってんでしょうが!アンタ自分では自分の怪我も治せないんでしょ?」


「い、嫌です、アナタの治癒魔法は痛いから嫌!」


「このまま痛みが続くよりマシでしょう?これから狩りや討伐クエストもこなさなきゃなんないんだからアンタが怪我したままじゃコッチが不安なの!」

アタシは四の五の言わさず強引に治癒魔法をルチアーナの手にかけた。


「んぎにゃあああ〜〜〜っ?!」


ホンのちょっとだけルチアーナの悲鳴が聞こえたけど、それもすぐに消えた。

まあ小さい火傷だったし治す時間も短くて済んだからね。


「はあ…はあ…お、覚えてなさいよルクス?」


「いや、そこは治してくれてありがとう、でしょ?」

アタシはジト目でルチアーナを見た。


そんな事より早く魔石回収進めなきゃ。


…………。


ようやく目的の魔石を目標分の量まで回収し終える頃には既にお昼になっていた。

「随分日が高くなったわねえ、ここでランチにする?それとも街に戻って何か食べる?」

 

「ここでランチって、何か非常食でも持って来てたんですか?」


「しにゃ、アタシはいつも現地調達。」


アタシはキョロキョロしてから人差し指を空に向けた。

「バーン!」

少し間を置くとソコソコの大きさの鳥が落ちて来た。

新しいはソイツを掴んで持ち上げた。

「うん中々の肉付きだ、二人分には丁度良いかな?」


「…ま、まさか、貴女まさかそれを…」

ルチアーナが青ざめた。

「ん?心配しなくてもアンタにも分けてやるからさ、ついでだから調理もアタシがやるからそこで待ってなさい。」


「調理?!」


アタシが下ごしらえを始めるとみるみるうちにルチアーナが何か怖いモノでも見ているみたいに怯え始めた。

魔法で出来るだけ綺麗にやってるんだけどね?

そしたら口元を手で押さえて林の中へと入っていった、食事前なのに気分でも悪くなったかな?

そうしてるうちに鳥は美味しそうな鳥肉に変わっていた。

後は火魔法でこんがり焼いた。

美味そうな匂いがしてくる。

するとさっき気持ち悪そうにしてたルチアーナが今度は物欲しそうな顔で戻って来た。

お腹もグーッと鳴らしたのでアタシがクスクス笑うとルチアーナは顔を真っ赤にした。


普段は腹黒なのに素の顔はこんなに普通の女のコなんだな。

可愛げを見せたルチアーナにアタシは今日初めて先入観無しで彼女を見れた気がした。

 

「さ、食べな?」

アタシは良く焼けた鳥肉をちぎってルチアーナに分けた。


「け、結構です。」


「遠慮しなさんなって、何も変な物なんか入れてないから安心して食べなよ?」


「そ、そうではありません!」


「神様より御力を賜った神聖魔法使いの私は動物の肉を食らってはならないのです!動物の血が穢れとなり神様からの御力が届きにくくなるんです!」


「ほうなの?ふ〜ん…神聖魔法って面倒だね。」

アタシはルチアーナの戯言を横目にモグモグと焼いたばかりの香ばしい肉を食べた。

う〜ん、焼き立ては美味っすねー!!


ゴクリ…


うん?今なにかツバを飲み込む音しなかったかな?気の所為だなきっと、うん。


「わ、私少し散歩してきます!」

ルチアーナが立ち上がった。

何か自分が食べられる物でも探しに行ったのかな?

「ちょっと待ちなよ、いいモノあげるからさ。」

アタシも自分だけお腹満たしてるのも気が引けるから大サービスする事した。

哀れな子羊ちゃん…もとい泥棒猫ちゃんに御慈悲をあげちゃおう、アタシってば心が広いよねー♪

アタシが差し出した左手をルチアーナがジッと見る。


「…なんですかそれは?」


「木ノ実。」

「都合良く獲物に出会えるとは限らないからこうして保存食を携帯しておくのは旅の常識だからね、あげるよ。」


「あ、貴女の施しなんか…」

グ〜ッ


「…ぷっ」


「こ、これはお腹の中の空気が移動した音です!」


「はいはい…まあ食べなよ、別に変なもんじゃないしこれで貸し作ろうとか考えてないからさ?」


「ホントに貸しじゃありませんよね?」


「どうせ消費して新しい木ノ実探すつもりだったから捨てるより食べてくれた方がありがたいのよ。」


「じゃ、じゃあ…そこまでお願いされるなら仕方ありませんね。」

素直にありがとうって言えないの?と思うけどまあそんなとこがルチアーナらしくて微笑ましいな。


ニヤニヤしているアタシを一瞥しながらルチアーナはそおっと木ノ実を手に取った。

ジロジロ眺めてから目を瞑って口の中に木ノ実を入れるルチアーナ。

ボリボリボリボリ………、ゴクリ。


「どうよ?」


「不味くは無いかと…まあ取り立てて美味しくもありませんけどね?」


「そりゃ保存食だからね。」


食べたら次のクエストに向かわないと!

ショータ達に早く追いつかないと!


不思議とこのクエスト勝負中、アタシとルチアーナは喧嘩らしい喧嘩はしなかった。

何故だろう?


なんてね、ホントは…ちょっと気が付いてたんだ、アタシも。


ランチで判明したワイルドなルクス、対してルチアーナは少し温室育ち?

二人のこれまでの生き様がこんなとこに表れたようです。

そして次のクエストは何か?二人はミネルヴァとショータの組に追いつけるのか?

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