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(6) ダンジョン潜り、逝ってきます!(後編)

 銅剣を勢いよく鞘から出す。しかし、

「おっも!!!」

 鞘が大きいから銅剣本体はもう少し軽いと思っていた。想定外の事実によろめく。体が思うように動かない。銅剣を振り回す筈が、銅剣に振り回されている。

 迫ってくる「何か」は遠慮も慈悲もなく襲ってくる。よろめきと合わさり俺は転倒。「何か」はスライムだった。何度も何度も体当たりされる。痛え。起き上がる暇も無い。そのまま俺は力尽きた。


「ご主人様~、スライムにやられちゃいましたね~」

 地上に戻されてニマニマとしているエフの第一声がこれである。もう少しかける言葉がなかっただろうか。己の筋力不足を痛感する。

「さあさあ~剣の重さも理解出来たことですし~もう一回逝ってきましょう~」

 どうやら俺は死ぬ前提で潜らねばならないらしい。やけくそになりつつ、俺は同じ闇に飛び込んだ。


 ダンジョンの入り口付近で一度銅剣を構え、振る。大体の重さが掴めたところでライトを点け、歩く。


──ガサッ


 来た。確実にスライムだ。


──ガサガサッ


 今度は予め剣を構える。音のした方向を向く。予想通り、スライムが飛びかかってきた。間合いに入られる前に剣を振るう。確かに斬った感覚があった。俺はようやく第一歩を踏み出した。

 暫く進みつつ、同じように現れる魔物を切っていると下へ続く階段に辿り着いた。第一層クリアだ。階段を降りてゆく時、エフの言葉が蘇る。

『階層が下になるにつれて~魔物はちょっとずつ強くなりますよ~。特に最上層付近と~最下層付近は~それが顕著に出ています~』

 もう一度気を引き締めて第二層の土を踏んだ。


 第二層も第一層と同じく闇。ライトが切れれば何も見えない。第一層は耳を澄ませば、魔物の足音が聞こえたものだが、今度は翼の音が前から迫る。音がかなり近くなった。光を向け、羽音の主を見てみれば、キメラと思しき飛行系の魔物が現れた。踏み込み、斬り上げる準備をしつつキメラとの間合いを詰めようと試みる。しかし、それは失敗に終わった。キメラは火球を吐いてきた。予想外の攻撃手段に俺は避けきれず、モロに食らう。熱いし痛い。数メートル吹き飛ばされ、倒れたところに追い討ちの火球が迫る。このダンジョンにやはり慈悲などはなく、また地上に戻されることが確定した。


 ◆


「ご主人様~言ったじゃないですか~層を重ねれば強くなるって~」

 地上に戻ればやはりエフがニマニマと笑みを浮かべている。ドSメイドは今日も絶好調らしい。そこにヴェルズがやってくる。

「お、勇者さんどうだい調子は」

「一層クリアするのに一回は死ななきゃ行けないみたいです……」

 何とも情けない勇者だと自分でも分かっている。だから俺は行くしかない。ヴェルズは笑う、最初はそんなものだ、と。その言葉に押され、再び、ダンジョンの闇に飲み込まれに行った。


 一度クリアした第一層は剣を振り回して難なくクリア。次は件の第二層である。相手は魔法持ちだ。日本に居た頃に読んだラノベ、プレイしたゲームを思い出す。キメラが吐いたのは炎だ。つまり水で対抗すれば良い。

 羽音が聞こえてきた。もうすぐだ。目の前に向けたライトの光がキメラを捉える。先程と同じようにキメラは嘴に火の玉を集めている。相手が炎を溜めきる前に氷を入れれば……。

『アイスボール!』

 俺が放った氷球は狙い通りキメラの口内に入る。勢いよく燃えていた火球はその勢いを失い、消えた。キメラが唖然としている間に間合いを詰める。剣を振り下ろし、キメラを絶つ。今頃エフはどんな顔でモニタリングしているだろうか。俺はまた歩き出した。


 第二層に出てくる魔物は魔法攻撃ばかりだった。きちんと属性を判断し相殺する魔法を撃ち込む。奇襲には土の壁。対応にも慣れてきた。第二層の攻略もあと少しだろう。


 最後のアイスゴブリンを倒し、第三層へと続く階段の守りが無くなった。次の層はどう強いのか。気を引き締めて下った。


 第三層はこれまでと違い、灯りがある。ライトが無くても見えるため、俺は少し安心感を覚えた。しかし、歩いているうちに俺は違和感を感じた。足音も羽音もしない。とても静かな層だ。明らかにこれはおかしい。だが、不安に思っても俺にある道は進むのみ。死ぬまでは歩かねばならない。体感で三分ほど歩いた時、俺は魔物が出ないことに対する油断を悔いた。足元に罠があったのだ。土に脚が沈み込み、動けない。嵌った瞬間に足音がする。見事に相手の思う壺となった。敵は前方から迫ってくる。

『クリエイト・ウォール!』

 俺は瞬時に判断をして、土の壁を作った。その判断が正しかったかどうかは知らないが、僅かばかりの延命が出来た。その間に脚を抜こうと試みるがビクともしない。この状況で知性のあるあの魔物を倒さねば抜けないのだろうか。あくまで憶測でしかないが、俺は魔法だけで戦うことを決意した。

 作った壁が破られる。土埃が舞い、俺は噎せた。罠を作ったところから考えれば敵の属性は土。ならば、風属性で対抗すれば何とかなりそうである。

『ウィンド・カッター!』

 土系統の魔法が来ることを予想し、風の刃を飛ばす。しかし目の前で敵が出したのは()()()()()()だった。風の刃は火を纏い、勢いを増して此方に飛んでくる。俺は絶望を見た気がした。

『ウォーターガード!』

 瞬時に水の盾を作り守るが風を纏う火に勝てず、俺は呆気なくやられた。どうせ地上でエフがニマニマとしているだろうな……。

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