ダメ押しの言葉
いつも読みに来て下さってありがとうございます。
ミュラーにさらわれそうになってから、レインハルト様の過保護のレベルが上がった。
元から、アラフォーおばさんには小っ恥ずかしい振る舞いをされていたが、より、小っ恥ずかしくなり困る。
男女別の授業で離れる時以外はずっとそばにいてくれるし、なんならずっと手を握っている。
恋人繋ぎで。女子寮への送迎も学園内たがら、別に必要ないんだけれども毎朝毎夕しっかりと腰を引かれながらだし、隙あらばお姫様抱っこをしようとする。ちょっと恥ずかしくて勘弁だ。
始めのうちこそ、周りの皆様方もどよめいていたが、毎日の恒例となると、慣れてきて、
『ああ、またやってるな。』て感じになってる。
ハウス·デア·ホフヌングでは、あれ以来一人で屋敷から出ない事になり、お仕事中以外はレインハルト様がべったりだ。
従業員にはレインハルト様から婚約者であると、はっきり告げてくれた。
でも仕事に関しては公正に接してくれと。
なので、まあ、従業員からは丁寧に接してもらっている。
問題は、まだ毎日ランチ時と放課後勉強会に突撃してくるフレイヤ様だ。
私達の間がより接触度が高くなった事に苛立ちを隠せない様子だ。
そして、とうとう事は起こった。
ある昼休みの学食でフレイヤ様がついに爆発した。
「レインハルト様、わたくしはもう、我慢できません。
いつまでそんな女に惑わされているのですか。
レインハルトの運命の相手はわたくしなのですよ。
目を覚まして下さい。」
レインハルト様は呆れたように
「フレイヤ、何故私の運命の人を君が勝手に決める?
私の運命の人はローレライただ一人で、君じゃない。」
「レインハルト様はいつまでたってもわたくしをちゃんと見てはくれません。
わたくしをもっと、ちゃんと見て下さい。
そうすれば自ずと必ずわたくしが運命の相手と分かるはずです。」
レインハルト様は面倒くさそうにフレイヤ様を見つめる。
フレイヤ様は期待に胸を震わせ乙女の顔になる。
「で、いつまて見ていればいいんだ。いくら見つめても私の運命の相手はローレライのままだが?」
「そんなはずはありません!わたくしが、わたくしこそが間違いなくレインハルト様の運命なのです。」
フレイヤ様は顔を真っ赤にして抗議する。
「あのね、フレイヤ、君が何をどう思い込もうと、何を思おうと君の勝手だ。
でも、私の運命の相手は君ではない。
君の勝手な思い込みを押し付けないでくれないか。
君はいつまで白昼夢の中の住人でいるつもりだ?
いい加減、現実世界をちゃんと見ないといけないんじゃないか?
ちゃんと見ていないのは君の方だ。」
きっぱりと、厳しい口調で言い放つ。
「ちゃんと見ていないのはわたくしの方ですって!」
「そうだよ。私とローレライが思いあった婚約者同士である事。
それを君はちゃんと見えていないだろう。
もうこれ以上、私にまとわりつかないでくれ。
私の心は君には全くない。。フレイヤ、君はとても迷惑だ。」
正面切って、しっかりと見つめられながら冷たく突き放す。
「レインハルト様の心にわたくしはいないのですか?わたくしが迷惑なのですか?」
「そう、君には1ミリもない。そして、本当に迷惑だ。それが現実なんだよ。」
フレイヤ様は肩を震わせながら
「現実?それが現実なの?嘘でしょう?」
とつぶやきながらきびすを返して去っていった。
これで大人しくなってくれるといいんだけれど、と言いつつ、大きなため息をレインハルト様は吐く。
◆◆◆◆◆
そしてその日の放課後の勉強会はフレイヤ様はやってこなかった。
「久しぶりに平和に勉強できるね。」
「ええ!でも、少し言い過ぎだったような気もします。」
「いや、いいんだよ。あのくらい強く言わないと彼女には分からない。
もしかしたらあれでも分かってないかもしれない。
本当にね、こう言ってはなんだけど、フレイヤは一番嫌いなタイプの女性だよ。
本当に自分勝手で思い込みが強くて大嫌いだ。」
心底嫌そうに言う。
すると、パキッと音がした。
何気に2人で振り返るとそこにはフレイヤ様が立っていた。
フレイヤ様は懲りずにやって来ていたのだ。彼女が足元の小枝を踏んだ音で私達が気づいたのだ。
そして、レインハルト様の発言をしっかり聞いてしまったらしい。
「大嫌い?わたくしの事が大嫌い?嘘、嘘!」
目に涙をたたえ、フレイヤ様は走り去って行った。
フレイヤ様、お昼時の事があっても懲りずに来ていたのね。
そして、今のレインハルト様のセリフは決定打になったみたい。
これ、何事も起こらず済むといいんだけれど。ちょっと不安だな。
レインハルト様は「さすがにこれで分かったろう。」て平然としていた。




