再び!
いつも読みに来ていだだいて、ありがとうございます。
お食事会のお開きの最後にゾフィー様が
「近いうちにマリアお姉様にご挨拶に伺わせていただいてもいいかしら?」
と言うので、もちろんですと返事をしておいた。
あてがわれた客室に戻り、再びメイドさん達に手伝われて着替えと湯浴みを済ませくつろぐ。
やっと一人になり考える。
お母様の事情…知ってるんだよね、ゲーム知識として。
でも今はまだ知らない事にしておく。
おいおいきちんと聞いておいた方がいいのかもしれないが、
今、知っていたとしても、それを生かす事は出来ない。
ゲームの通りなら、お母様が亡くなる時に、それは私達兄弟の転換ポイントとなる。
それまでは下手に動かない方がいいのだ。
そのうち嫌でもホフヌングできっかけができるはずだ。
とりあえず今は侯爵家から新たに派遣していただけるお医者様に、
良い痛み止めを処方していただく事しかできない。
ふう、ゲームの知識があっても案外生かせないものだなあ。とため息をつく。
いや、でも現在、ミュラーの魔の手からは逃れられている。
完全にミュラーのフラグが折れているのかは分からないが、現状、成人指定の内容にはなっていない。
レインハルト様も、恋人繋ぎをしたり、キスしたり程度はあるがR18の世界に突入する気配はまだない。
たまにヤンデレチックな発言はあるが、それは地道に再教育だ。
レインハルト様が私の意見に耳をかしてくれているうちが肝心だ。
その晩はそれで就寝した。
翌日はレインハルト様との約束通り、ホフヌングで働く用の服を買いに行った。
「ついでだから普段着用のドレスも何着か揃えよう。私からプレゼントさせて。」
と言うので何着か買っていただいた。
彼はオーダーメイドのドレスを作りたいとは何度か言っていたが、
普段着用のドレスで我慢してもらった。
だって、せっかく作っても着る機会がないもんねそんなドレス。もったいないよ。
なら普段着用の方かよほどいい。
そしていったん我が家のタウンハウスに寄ってもらって、お母様に事情を説明する。
侯爵夫婦が近いいちに挨拶に訪れる事、
侯爵家から医師を派遣していただける事を。
「なんだか申し訳ないわね。でもありがたいわ。」
と、お母様は言った。そして
「あなたは内職をやめて、新しい仕事に就くのね。私の為に無理はしないようにしてね。
学院生活を楽しむのも人生の中でとても大切な事なのよ。」
と、ほほ笑む。
はい、前世アラフォーだったオバサンも激しくそう思います!学生時代は大切だって。
あんなキラキラした青春時代、過ぎてしまえばとても大切な時間だったって。
「大丈夫よ、ちゃんと学院生活も楽しむわ。」
と、ガッツポーズを返した。
2人で笑い合って、別れた。
◆◆◆◆◆
翌週、レインハルト様とランチを終えて教室に戻ると
私の机は倒され、机の中身はバラバラに散らかされていた。
あー、やっぱりあれで終わりではなかった。
それにしても地道な攻撃ねと軽く考えていた。
地道な攻撃はしつこかった。
そして、段々エスカレートしていった。
教科書やノートに落書きされるようになった。
レインハルト様は怒りながら机と教科書を元に戻すのを手伝ってくれた。
監視をおきたいが、その人がお昼を取れない&休めなくなってしまうので、
前回のように気軽に誰かに頼めなかったのもあった。
そしてついには教科書がビリビリに破られるようになってしまった。
ガーン!ド貧乏子爵家では、教科書を全て買い替えるの大変なんですよ。
なんて事をするんですか!百歩譲ってノートならいくらでもビリビリにしてもまだ許せる。
歴史と文学以外は大体頭に入ってるからなのだが、やはり教科書、あって欲しいよね。
そして、この世界、本はなかなかに高価なのだ。
金銭的ショックで思わず涙がこぼれる。
初めて見せる私の涙にレインハルト様が怒った。
初めて見せる涙の訳がこれなのはちょっと残念女子だわ。と、少し反省。
片付けを手伝いながらレインハルト様は
「やはり監視をおこう。」
とキッパリ言う。
するとエミール様が
「僕が教室でお昼を取りながら見張るよ。もちろんお昼はレインハルトの奢りな。」
と、ニカッて笑いながら言ってくれた。
レインハルト様は翌日からヴァイスリヒト家のシェフにサンドイッチを用意してもらい、
それをエミール様に渡して監視してもらう事になった。
ところが、というかまあ、そうよねというか、教室にエミール様がいると犯行はおきないのだ。
数日、監視生活を続けてから、監視はやめになった。
監視していては犯人がわからないからだ。
で、とりあえず私はお昼時は鞄にノートと教科書を詰め込んで抱えて過ごす事にした。
ひとまず、それで平和は訪れたのだった。




