お食事会①
いつも読みに来ていだだいて、ありがとうございます。
メイドさん達にあれこれ支度をしてもらい、改めて鏡の中の自分を見てみる。
うん、随分と感じが変わったわ。まるで良家のお嬢様みたいだ。凄腕メイドさん達だったのね。
レインハルト様も支度が終わり、迎えに来てくれた。
ドアを開けてすぐ、レインハルト様は固まった。
ん?私としてはよく化けたと思っていたが、そうでもなかったのかな?
などと考えていると、レインハルト様は片手を口にもっていき、真っ赤になる
「すごく素敵だ。ロリー。あまりの素敵さに私の心臓がはねているよ。ほら。」
と、私の片手を彼の胸に当てる。
本当だ。バクバクいってる。
この人、顔も真っ赤でかわいいな。
「そういうレインハルト様もいつもの制服姿とは全く違って、とても素敵ですよ。」
と返す。いや、本当に素敵なのよ。白を基調として、刺繍がふんだんにあしらってある服を着ている。
私もクリーム色だし、お互いに食事を間違ってたらさないように気をつけないといけないわ。
「既製品のドレスでこれなのだから、やっぱり今度ちやんとドレスを作ろうね。きっともっと素敵になれるよ。ああ、こんなにも美しい人が婚約者だなんて、私はなんて幸せ者なのだろう。」
感極わまった感じで胸に当てた私の手を取り、甲にキスを落とす。
うひゃー。こういうの元日本人の平民としては慣れないわ。
そのままエスコートされて食堂まで行く。
食堂には既に侯爵夫婦が座っていた。
私はカーテシーをして挨拶の口上を述べる。
「はじめましてヴァイスリヒト侯爵閣下、侯爵婦人。
ローレライ·フォン·ハーゲンと申します。
ご挨拶に伺うのが遅くなってしまい申し訳ありません。」
すると侯爵閣下が
「うちうちの会だから堅苦しいのはやめにしよう。私の事はニクラウスで構わないよ。」
「私もゾフィーで構わないわ。」
そしてゾフィー様が私に近づいてきて手を取る
「ああ、レインハルトに聞いてはいたけれど、ローレライさん、あなたは本当にマリアお姉様にそっくりなのね。」
と、涙ぐむ。
マリアとは私のお母様の名前だ。
「ゾフィー様は私の母の事をご存知なのですか?」
「ええ、そうね。その話しは座って、食事しながらゆっくり話しましょう。」
そして席につき、食事会が始まった。
前菜を食べながらゾフィー様が懐かしそうに話し出す。
「あなたのお母様のマリア様はね、私達世代の女性達の間では大人気の有名人だったのよ。
ローレライさん、マリアお姉様はあなたと同じく3年間学年首席の才女で、誰にでも優しく接して、立場の弱い立場の者にも優しくて、かつ、凛としていてね。それは素敵な方だったわ。」
そうか、私が勉強出来るのは、前世のせいかと思っていたが、お母様からの遺伝だったのね。
そこで疑問を口にしてみる。
「ゾフィー様は母の事を『お姉様』と呼んでいますが、母の方が年下では?」
「ふふふふふ。私達世代はみんな、年齢の上下関係なくマリア様の事を『マリアお姉様』と、呼んでいたのよ。そのくらい皆に慕われていたのよ。」
全く知らなかった。そんな有名人だったのか。
「そうでしたか。母はハーゲン家に来る前の事は一切話さない人だったので、私も弟も母の過去や実家を全く知らないのです。ゾフィー様はご存知でょうか?」
「そう、お姉様は何も話していないのね。
そうね、大体の事情は知っているけれど、私から話してしまうのも違う気がするわね。
一度きちんと本人に聞いてみるといいわ。」
すると今度は侯爵閣下、ニクラウス様が口を開く
「そういえば、母上はなかなか難しい病にかかっていると聞くが、何という病気なのかね?」
「はい、クレスプと言う病です。」
「クレスプ…か、あの治らないという腫瘍か。」
「我が家から医師を派遣してもよいのだよ。薬代は自分でなんとかしたいと言ったようだが、医師の派遣くらいはいいだろう?」
「ありがとうございます。ではご温情に甘えさせていただきます。」
頭を下げる。
「それにしても薬代の為にハウス·デア·ホフヌングで通訳として働きたいとはね。
そして、テストもばっちりだったようじやないか。たいしたものだな。
あそこのテストは自信がある者が受けても10人に一人くらいしか通らないのだよ。」
「それは、幼い頃から弟と共に母からアイゼンガルド語と大陸共通語を叩き込まれました。全て母のお陰です。」
「ああ、お姉様はお若い頃からご実家のお仕事を手伝われ、その語学力でアイゼンガルドとの交易もなさっていたわ。そのお姉様に叩き込まれたのならその実力は確かね。」
お母様、結婚前からやり手だったのね。
「母のそんな面もうなすけます。実はハーゲン家は近年酪農に力を入れているのですが、
そもそも母の発案でハーゲン領に酪農を導入したそうなのです。
母はパワフルで、私達を連れて、領内を駆けずり回っていました。。」
と、ほほ笑む。
そう、お母様は結婚してすぐ、持参した宝石類を全て換金して、酪農資金に充てたのだ。
どうせなら高級な牛を買いましょう!と、ありったけのお金で高級な牛を買った。
そのお陰で今のハーゲン領がある。
「ああ、ハーゲン領のバターやチーズはおいしいよね。
我が家もお得意様だなのだよ。」
と、ニクラウス様はほほ笑まれた。




