フレイヤ登場
いつも読みに来ていだだいて、ありがとうございます。
予想はしていたが、休み時間はエルマを筆頭に女性陣からの尋問で大変だった。
レインハルト様から告白されて、婚約の約束をしたとかいつまんて話したが、皆、半信半疑のようだった。
どうして私だったのか?私のどこが好きだと言われたのか?を参考までに聞きたいと言われたが、私も知らん。
ずっと好きだったとは言われたが、どこが好きとか言われた記憶はないなあ。
そんな訳で、休み時間は女性陣からもみくちゃにされていた私だったが、お昼休みに入るとレインハルト様が「一緒にお昼を食べよう。」と誘ってきた。
レインハルト様が近寄ってきたら、ささーっと女性陣が引いてゆく。いつもお昼を一緒に取っているエルマも一緒にささーっと引いてゆく。待ってエルマ!私を一人にしないでえー。と心の中で叫ぶ。
するとそこに助け舟がやって来た。レインハルト様の友人のエミール様だ。
エミール様はエルマに
「エルマちゃん、あぶれた者同士でお昼食べない?」
と、誘ってくれて、私達は4人でお昼を取る事になった。
今日のランチはAセットとBセットの2種類があった。どちらも捨てがたい。ムムムムと真剣に悩んでいたら
「ふふふ、では私がAセットを頼むから、ローレライ様はBセットを頼むといいよ。そして2人で半分ずつ分けっこしようよ。」
おお、いい案だ。しかし
「お行儀が悪くないですか?」
と、心配になる。
「学食でくらい、多少くだけててもいいんじゃない。」
と笑ってくれる。ああ、ちゃんと笑顔をしてくれている。良かった。
私とレインハルト様は向かいあって座る。エミール様とエルマも私達の隣で向かいあって座り、分け合いながらお昼を食べた。
学食の中は皆、私達を見てギョッとして注目している。AセットもBセットも、と味わえて大変満足ではあったが、皆の視線が痛い。
食後のコーヒーを飲んでいると、レインハルトが私の手を取り、両手で私の手を包み込む。
「今朝一番で王家に婚約の書類を提出したんだけど、さっき受理されたと連絡があったんだ。
これで私達は正式な婚約者になれたよ。とてもうれしく思う。愛しているよローレライ様。」
聞き耳をたてていたギャラリーが皆、一様にざわめく。
そんなギャラリーを無視してレインハルト様は続ける
「それでね。正式に婚約者同士になっ事だし、私の事はレインて呼んで欲しいんだ。」
「レ、レイン様…でいいですか。」
「様はいらないよ。レイン。でね。お願い。」
ちょっと畏れ多い気がするが、お願いされてしまった。レインハルト様がわくわくした目で待っている。ダメだ。その目に勝てない。えーい、仕方ないなあ。
「レイン」
口に出してみると、思ったより恥ずかしい。
「ありがとう。では私はあなたの事をロリーと呼んでもいい?」
「はい、いいですよ。」
「嬉しいよロリー。愛しのロリー。」
レインハルト様は相変わらず手を包み込んだまま金色の目を細める。
そして、私の手にキスを落とす。
主に女性陣からの悲鳴が聞こえる。ですよねー。
甘い、甘すぎる。コーヒーに砂糖は入っていなかったですよね?と疑問に思ってしまうくらい甘い。
そんなこんなで私が茹でダコになっていると、突然、空気を読まない5人連れの女性陣がツカツカと近寄ってきた。先頭の女性は豊かな赤髪の怒った顔した人で、あとの4人はお取り巻きのようだ。
「レインハルト様、私というものがありながら、これは一体どういう事ですの!その女はなんですか!」
ヒステリックに叫ぶ。
レインハルト様は不思議そう顔をしながら応える
「私というものがありながらて、フレイヤ、君と私とはなんでもないよ?そしてロリーは私の正式な婚約者だ。その女呼ばわりは止めてもらおうか。」
「何を言っているのです。私とあなたは婚約をするはずだったではありませんか!」
フレイヤ様の目が釣り上がる。
「そんな予定も約束もしたことはないよ。君が勝手に一方的に私の婚約者になりたいと言っていただけだけど?私の心は未来永劫ローレライ様の物だ。私の婚約者はローレライ様だけだよ。」
フレイヤ様の手は怒りでわなないている。手に持っている扇子が今にも折れそうで、顔もすごい形相だ。
「その女、ローレライというのですね。よく覚えておきます。私のレインハルト様をたぶらかした事、絶対に後悔させますからね。そしてレインハルト様、早く目を覚まして下さいませ。」
と、地を這うような声で言うと背を向けて去っていった。
うわー、修羅場だ。修羅場。なんだか私、めっちゃ恨まれちゃったよ。この後何をされるのだろうか?
私は平和な学院生活を送りたいのだが、レインハルト様に好かれてしまった時点でそれは無理な話しのかもしれないなと思った。
レインハルト様は
「フレイヤがごめんね。あの子ちょっとおかしいから気にしないで。何があっても私があなたを守るからね。」
うん、あまり期待しないでおくわ。女同士の戦いに男性は多分、役立たずだろう。
「ところでさっきのフレイヤ様?はお知り合いなのですね。」
「ああ、彼女はヴァーグナー侯爵家の娘でね、同じ侯爵家で、年も二つ下で近い事から、幼い頃から交流があったんだけど、思い込みが激しくて、とても自分勝手で、正直、私は彼女が苦手なんだよね。」
そうか、思い込みが激しいのか。なんだか波乱の予感がするわ。
そしてその夜、寮の食堂でみなから囲まれて、質問攻めにされるという波乱があったのだった。




