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男女獣比1:100:1000のモフ界転生 ~トリマー無双でエリート獣人を骨抜きに。最底辺の俺が自由を求めて下剋上~  作者: 団田図


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第45話 絶頂の爪跡

「はぁ……っ、はぁ……っ」


 絶頂の余韻で全身の力が抜けきったミオは、だらりと手足を投げ出していた。

 その時、ビニール製のエアマットと特殊ローションの極悪な滑りが、思いがけない事態を引き起こした。

 ズルルッ……と、意識が半分飛んでいるミオの体が、エアマットの傾斜に沿って床の方へと滑り落ちそうになったのだ。


「おっと、危ない」


 俺は反射的に腕を伸ばし、滑り落ちるミオの体をガッチリと抱きとめた。

 ローションまみれでお互いの体がツルツルと滑る中、俺は彼女が落ちないように、その華奢な肩と腰を力強く、そして優しく自分の胸に抱き寄せた。


「ん……ぁ……ヒカル……っ」


 俺の逞しい腕の中にすっぽりと収まり、海パン一丁の俺の素肌に顔を埋める形になったミオ。

 彼女の鼻腔を、俺の汗とフェロモンの匂いが、かつてないほどの濃度で満たしていく。


「……はぁっ。ヒカルの匂い……すごい、濃い……」


 ミオは恍惚とした表情で、俺の胸板にすりすりと頬を擦り寄せた。

 そして彼女は、あることに気がついてハッと息を呑んだ。


 今までのミオは、他の獣人たちを遠ざけるため、俺に「自分の匂いをマーキング」することに執着していた。

 だが今は逆だ。

 特殊ローションの浸透力と、激しい摩擦熱によって、俺の『完全なオスのフェロモン』が、ミオのプラチナの毛並みの奥深くにまで完全に定着してしまっていたのだ。

 彼女の体からは、ミオ自身の匂いよりも、俺のオスの匂いが強く立ち上っている。


「……これじゃ、私がヒカルにマーキングされちゃったみたい……」


 ミオはポツリと呟いた。

 自分のテリトリーを主張するのではなく、圧倒的なオスの力によって「所有」されたという事実。

 それは彼女の中の猫としてのプライドを壊すどころか、逆に強烈な安心感と、ゾクゾクするような服従の悦びを呼び覚ましていた。


「えへへ……私、ヒカルの匂いに包まれてる……。私だけのもの……」


 完全に骨抜きにされたミオは、俺のオスの匂いを胸いっぱいに吸い込みながら、幸せそうに目を閉じた。


 俺はその無防備で愛らしい姿に思わず頬を緩め、ローションで艶やかに輝くミオの背中から腰にかけて、優しく指を滑らせた。

 その、何気ない愛撫のつもりだったワンストロークが、限界まで高ぶっていたミオの身体には刺激が強すぎたらしい。


「あ……っ、ひゃあぁぁっ!?」


 突然、ミオがビクンッ!と全身を大きく跳ねさせた。

 俺の腕の中で、彼女の瞳が再びカッと見開かれ、背中が弓なりに反り返る。完全に油断していたところを、俺のオスのフェロモンと指先の熱で不意打ちされ、二度目の強烈な絶頂の波が押し寄せたのだ。


「ヒカルぅっ! だめ、またっ、またイッちゃうにゃっ!!」


 ミオは快感のあまりパニックになり、何かを掴もうと両手を大きく広げた。

 そして、猫系獣人の本能のままに、指先から鋭い爪をシャキッ!と出し、俺たちが乗っていたビニール製のエアマットを全力でひっかいてしまった。


 バンッ!! ブシュゥゥゥゥッ!!


 密室のサロンに、風船が破裂したような凄まじい音が響き渡った。

「うおっ!?」

「にゃああっ!?」


 ミオの鋭い爪によって引き裂かれたエアマットから、勢いよく空気が抜け出す。

 パンパンに膨らんでいたマットは一瞬にしてしぼみ、俺とミオはローションまみれのまま、ドサッと温室の硬い床に投げ出された。


「い、痛ってぇ……」


 俺が腰をさすりながら身を起こすと、ミオも目を回しながら床にペタンと座り込んでいた。

 破裂したエアマットは無残に縮み上がり、俺たちはその上でヌルヌルのローションまみれになっている。

 先ほどまでの極上にエロティックな空気は、このマヌケな大惨事によって完全に吹き飛んでしまった。


 俺とミオは、お互いのローションまみれの情けない顔を見合わせた。


「あははははっ! ミ、ミオお前、爪立てすぎだろ!」

「だ、だってぇ! ヒカルが急に触るから、びっくりして爪が出ちゃったんだもん! あははははっ!」


 俺たちは腹を抱え、大笑いした。

 涙が出るほど笑い転げた後、俺は破れたエアマットの残骸を拾い上げ、ふとプロのトリマーとしての顔に戻った。


「……なるほど。獣人を相手にするなら、絶頂で爪が立っても破れない『防刃仕様』の特殊素材にするか、いっそ極厚のウレタンマットにする必要があるな。ローションの耐水性も考慮して……」

「ちょっとヒカル! こんなローションまみれで床に落ちた直後に、また仕事の改善点考えてるの!? ほんとトリマーバカ!」


 ミオが呆れたように笑いながら、俺の肩をポカポカと叩く。

 ストイックな技術の追求と、予測不能な獣人の本能。

 次なる課題を見つけて密かに燃える俺と、そんな俺に呆れつつも幸せそうにすり寄ってくる幼馴染の笑い声が、夕暮れの公認サロンにいつまでも響いていた。

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