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男女獣比1:100:1000のモフ界転生 ~トリマー無双でエリート獣人を骨抜きに。最底辺の俺が自由を求めて下剋上~  作者: 団田図


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第46話 卒業

 桜の花びらが、春の柔らかい風に乗って青空を舞い散る。

 今日、国立桜華学園の校庭は、これまでにないほど晴れやかな空気に包まれていた。俺、神浦ヒカルは、無事に高校の卒業式を迎えたのだ。


 本来であれば、18歳になり卒業を迎える俺は『特別指定男性保護法』に基づき、セントラル特区の最深部へ強制収容される運命だった。一生涯にわたり完全な隔離生活を送り、国が管理するインフラ――遺伝子供給奴隷として非人道的に搾取されるはずだった。

 だが、今の俺は暗い無菌室へ向かう漆黒の輸送車に乗っていない。堂々と男子用の制服を着て、日の当たる校庭のど真ん中に立っている。俺の存在を隠すためのパッド入りブラも前張りも、もうどこにもない。


「ヒカルッ!卒業おめでとう!」


 真っ先に俺の胸に飛び込んできたのは、幼馴染の猫系獣人・ミオだった。プラチナのように輝く毛並みを揺らし、俺の首筋に自分のふさふさの猫耳をすりすりと擦り付けてくる。

「これで学園の縛りもなくなるし、毎日ヒカルの公認サロンでお手入れしてもらえるね!」


「ちょっと泥棒猫!ヒカルさんに気安く抱きつかないでちょうだい!」

 猛烈な勢いでミオを引き剥がしたのは、経済界のトップに君臨するライオン系令嬢、レオナ・キングスレイだ。

「ヒカルさん、ご卒業おめでとうございます。キングスレイ家の財力でバックアップする新しいサロンの居心地はどうかしら?これからは、この私が次期当主として、そして一番の顧客として毎日通ってあげるわ!」

 彼女の黄金の毛並みは、かつての剛毛コンプレックスが嘘のように、太陽の光を反射して艶やかに輝いている。


「ふざけるな。ヒカルの技術は治安維持の要だ。我がルプス家こそが最優先でケアを受ける権利がある!」

 軍事の名門、オオカミ系のシルヴィが銀色の尻尾を揺らし、牙を覗かせながら間に割り込んでくる。

「お前のそのオスの匂いがないと、私はまた発情期ヒートで暴走してしまうからな。責任を取って、ずっと私の傍で私だけを撫でていろ」


「ワンッ!クゥ~ン!お待ちください!ご主人様を一番近くでお守りし、お仕えするのは、ハウンド家の私です!」

 元生徒会長のレティシアまでが四つん這いで駆け寄り、俺の足元で犬の尻尾を千切れんばかりに振っている。


「私だって……ヒカルくんの手がないと、もう体が重くて動かないよぉ……」

 スポーツ界のホープであるクマ系のウルサも、大きな体を縮こまらせて俺の袖をきゅっと掴んだ。


 学園のトップに君臨していたエリート令嬢たちが、周囲の目も気にせず俺という一人のオスの人間に群がり、甘い嬌声を上げている。彼女たちは皆、俺の『ゴッドハンド』と、中和剤の束縛から解放された『完全なオスのフェロモン』の完全な虜だ。

 さらに俺の背後には、漆黒のタクティカルスーツを着たセリア・シャノワールがピタリと張り付いている。


「私はもう国家のエージェントではなく、ヒカル様個人の専属護衛ですから。他の泥棒獣どもからの虫除けはお任せください。その代わり、今夜はたっぷりとご褒美のマッサージをお願いしますね」

 セリアは黒猫の耳をピクピクさせながら淫靡に微笑んだ。


「やれやれ、相変わらず騒がしい連中ね」

 校舎の影から歩み寄ってきたのは、人間のクラスメイトであり、俺の自由を勝ち取るための完璧な臨床データをまとめてくれた一条葵だった。


「葵。お前のおかげで、この日を笑って迎えられたよ」

「フフ、私はただ面白い研究対象を観察しただけよ。それに、来月からは新設される『トリマー訓練学校』の講師として、あなたには国のインフラ向上のためにこき使ってもらうんだから」


 その隣には、闇市の元締めであるマダム・バクと、情報屋の狐塚ランが、紫色の煙とともに姿を現した。

「卒業おめでとう、ヒカル坊や。公認サロンの売り上げは絶好調、お前のフェロモンビジネスも天井知らずだ。これからも専属スポンサーのアタシたちに莫大な利益をもたらしておくれよ」


「ヒカルさんの使用済み下着サブスクも、いよいよ本格始動の準備が整いましたよ!」

 ランがキツネ耳を揺らすが、それだけは絶対に阻止しなければならないと心に誓う。


 ふと視線を向けると、校門の近くで産婦人科医の母・恵と、官僚の母・志保、そして市川弁護士が優しくこちらを見守っていた。俺が男として堂々と生きる姿を見て、恵は目頭を拭っている。そして、その少し離れた場所には私服姿のジン・ドーベルが壁に寄りかかり、軽く手を挙げていた。彼もまた、国家の遺伝子供給奴隷という過酷な運命から解放され、今は自分の意志で自由を謳歌している同志だ。無言の祝福に、俺は小さく頷き返した。


「さあヒカル、写真撮るよ!私と一番くっついて!」

 ミオがスマホを掲げると、他の令嬢たちが一斉に悲鳴を上げて俺に群がってきた。

「ああっ、抜け駆けはずるい!私が隣よ!」

「ヒカルさん、こっちを見て!」

 俺の首に腕が絡みつき、背中に豊かな胸が押し当てられ、左右から極上のモフモフとした毛並みが押し寄せてくる。

 俺の体から漏れ出すフェロモンに当てられ、彼女たちの顔はすぐに発情の熱を帯び、とろんと潤んだ瞳で俺を見つめてきた。


『人間の男1:獣人の男1:人間の女100:獣人の女1,000』という、圧倒的に女性と獣人が多いこの狂った社会。

 男が非人道的に虐げられ、搾取されるのが当たり前だったこの歪な世界で、俺は前世から持ち越したトリマーの技術と、自らのフェロモンを武器にして、国家という巨大なシステムに完全なる下剋上を果たしたのだ。


「おいおい、そんなに引っ張るな。順番に撫でてやるから」


 俺は両手に少し力を込め、群がってくる彼女たちの耳の裏や首筋の急所を、ゴッドハンドの絶妙な力加減で軽く揉みほぐしてやった。

「ひゃあんっ!」「あぁっ……!」「クゥ~ン!」

 校庭のど真ん中だというのに、エリート獣人たちはだらしなく声を漏らし、俺の腕の中で完全に骨抜きになって崩れ落ちていく。


 青く澄み渡った空に、また一枚、桜の花びらが舞い散る。

 俺の命懸けのサバイバルは一つの区切りを迎えた。だが、真の自由を手に入れた俺のトリマー無双は、ここからが本当の始まりだ。

 国家の干渉を受けず、俺自身のサロンと学校で、この世界を俺の思い通りにトリミングしてやる。

 これからも、愛すべきモフモフたちを極上の快感で骨抜きにしながら。

 最高に自由で、最高に騒がしい俺の人生は、輝かしい未来へと向かって力強く続いていく。


 第1章 完




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