第44話 全身密着
理性を溶かされたミオの言葉に煽られ、俺はさらに強い圧をかけようと、ローションまみれのエアマットの上に膝をつき、ミオに覆い被さるように体重を前にスライドさせた。
その時だった。
「おっと……!」
特殊ローションの恐るべき滑りの良さと、ビニール製のエアマットが重なり、俺の膝がツルンと滑ったのだ。
体重を支えきれなくなった俺の体は、不可抗力でミオの全裸の背中へと完全に倒れ込んだ。
「ひゃああっ!?」
ドサッ、という音とともに、俺の汗ばんだ胸板がミオの華奢な背中に、俺の太ももが彼女の柔らかな太ももに、俺の股間がミオのヒップに隙間なくピタリと密着した。
ローションのヌルヌルとした感触と、お互いの火照った体温がダイレクトに交じり合う。
「わ、わりっ、滑った……!」
「あ……ぁぁ……っ、ヒ、ヒカルの体が、全部……くっついて……っ」
ただでさえ限界だったミオの心拍数が、この不意打ちの完全密着によって爆発的に跳ね上がったのがわかった。重なり合った肌越しに、俺の心臓の鼓動とオスの熱が直接伝わっていく。
だが、俺はすぐに身を起こそうとして、ふと気づいた。
「……いや、待てよ。広背筋へのアプローチは、これくらい滑った方がいいな……」
俺はプロのトリマーとしての分析スイッチを切り替え、あえてミオに馬乗りになるような姿勢を維持した。
指先や手のひらだけではない。俺の前腕、肘、そして大胸筋から腹筋に至るまで、自身の体全体を使ってミオの背中をプレスし、ローションの滑りを利用してダイナミックに前後しながら擦り上げていく。
ヌッチュ、チュルンッ……と、俺とミオの肌がローションを介して滑り合う、ひわいな水音が密室に響き渡る。
「ひゃああっ!? ヒ、ヒカルっ、なに、今の……っ! 背中全体が、ヒカルの体で……っ!」
「摩擦が完全にゼロだからできる技だ。俺の体重を面で乗せることで、深層の筋膜まで痛みを全く与えずに剥がすことができる。どうだ、ミオ」
「どうだ、って……あぁんっ! そんな、分析みたいな声で言われても……っ。体が、体がすっごく熱いぃっ……!」
俺の圧倒的なオスとしての質量が、ミオの体をエアマットに押し付けながら滑っていく。
ミオの猫特有の敏感な神経は、この未知の「全身密着マッサージ」に完全にショート寸前だった。普段の指先だけのマッサージとは次元が違う。俺の体が滑るたびに、極上のフェロモンがローションの熱気と共に彼女の毛穴から直接体内へと叩き込まれるのだ。
「はぁっ……はぁっ……ヒカル、なんか、もう、実験とかじゃなくて……っ。私、おかしくなっちゃうよぉっ……!」
ミオのプラチナの毛並みがローションでしっとりと濡れ、その下の白い素肌がピンク色に染まりきっている。
彼女はエアマットの上で身をよじらせ、シーツを掻き毟るようにビニールの表面をひっかいていた。
「背中の疲労は完全に抜けたな。……よし、次は前面のリンパを流すぞ。仰向けになれ」
「あ……ぁっ……うん……っ」
俺が体をどかすと、ミオはトロンとした瞳で荒い息を吐きながら、ゆっくりと仰向けに寝返りを打った。
露わになった彼女の豊かな胸、引き締まった腹部、そして太ももの内側。
俺は再び温かい特殊ローションを手に取り、ミオの前面へとたっぷりと注ぎ込んだ。
トクトクと落ちる透明な液体が、彼女の柔らかな曲線を伝って滑り落ちる。
「いくぞ」
俺はミオの足の間に膝をつき、上から覆い被さるような体勢をとった。
両手を彼女の胸の谷間に置き、そこから腹部、そけい部へと、滑らかなローションの感触を頼りに深く、そして力強くストロークさせていく。
「ひぐぅっ……! あぁぁっ……! そこ、お腹の奥……っ、だめぇっ……!」
リンパの集中する急所を的確に捉え、老廃物を押し流す。
その時、ミオの視界には、俺の汗ばんだ顔と、真剣な眼差しが至近距離で映っていたはずだ。俺の体から立ち上るむせ返るようなオスのフェロモンが、上から彼女へと降り注いでいる。
「はぁっ、はぁっ……ヒカル……っ」
ミオの瞳から、幼馴染としての理性が完全に溶け落ち、完全な『メス』の顔へと切り替わった。
彼女はヌルヌルと滑る腕を伸ばし、俺の首に妖艶に絡みついてきた。
「ヒカルっ……もう、分析とか、やめて……っ」
ミオは俺の耳元に唇を寄せ、熱い吐息とともに囁いた。
「私を、ちゃんと見てぇっ……。実験台じゃなくて、ヒカルのメスとして……全部、めちゃくちゃにしてぇっ……!」
「……ミオ」
その甘く、どこまでも堕ちていくような誘惑に、俺の男としての本能も激しく揺さぶられた。
俺はミオの腰を両手でガッチリと掴み、彼女のそけい部のリンパ節――獣人にとって最も敏感な急所の一つへ、俺の全体重を乗せた深い圧をかけた。
「あ、あぁぁぁぁっ!!」
強烈な圧迫と、ローションによる極限の滑り。そして俺のフェロモンの直撃が引き金となった。
ミオはエアマットの上で背中を弓なりに反らせ、両足のつま先をピンと伸ばした。
「ヒカルっ、ヒカルぅぅっ!! 私、もうっ、全部っ……!!」
バチンッ! と弾けるような快感が彼女の脳髄を貫き、ミオは絶叫に近い嬌声を上げて強烈な絶頂を迎えた。
ガクガクと小刻みに震えながら、彼女の猫耳は完全にへたり込み、プラチナの尻尾がローションまみれのマットの上でパタパタと力なく跳ねる。
強く抱きしめた俺の腕の中で、ミオは完全に理性を焼き切られ、白目を剥きかけて甘い余韻の中へと溶け落ちていった。




