第4話 王者の屈服
「くぅ……っ」
レオナは屈辱に顔を歪めながら、ゆっくりと桜華学園の制服のリボンに手をかけた。高飛車な彼女だが、実は自分の剛毛に強いコンプレックスを抱いており、恥じらいながら制服に手をかけた。
ファサ……とブラウスが床に落ち、プリーツスカートが続く。最後に彼女の性格を体現するような黒レースの下着が剥がれ落ちた。
あらわになったレオナの裸体は、ライオンの獣人らしく引き締まった健康的なプロポーションをしており、胸も大きく張り出していた。だが、彼女が気にする通り、全身を覆う金色の毛並みはゴワゴワとしており、手入れが行き届いていないオスライオンの鬣のように硬くパサついていた。
彼女は両腕で胸と股間を隠し、怯えたように肩をすくめている。
「さあ、そこのバスタブの中の椅子に座って」
俺の指示に従い、レオナはぎこちない動きで椅子に腰を下ろした。
「まずは汚れを落としていくわよ」
適温のお湯をシャワーで足元から当てていく。ビクッと彼女の肩が跳ねたが、俺は構わずにお湯を全身に行き渡らせた。
続いて、独自に調合した低刺激シャンプーを手に取り、しっかりと泡立ててからレオナの硬い毛並みへと指を入れる。
「ひゃっ……!? な、なによその手つき……!」
「動かないで。獣人の厚い皮膚の下には、特有の神経節があるようね。そこを正確に揉みほぐさないと、根本からのツヤは出ないわ」
前世で培ったプロのトリマーとしての『ゴッドハンド』。俺の指先が、レオナの首筋から背中にかけて点在するツボを的確に捉え、円を描くようにマッサージしていく。
強張っていたレオナの筋肉が、みるみるうちに弛緩していく。
「あぁっ……んっ……ふぁ……っ」
数分も経たないうちに、秘密の温室に白い湯気と甘い声が響き始めた。
俺のゴッドハンドによるシャンプーとブラッシングの快感に、レオナは普段の猛獣ぶりが嘘のように声を漏らし、屈服していく。
「ヒカルさんの指……すごく、奥まで、響く……っ。なんだか、頭が、真っ白に……あぁんっ」
顔はだらしなく緩み、ピンと張っていた丸い耳は、気持ちよさにへたりと垂れ下がっている。彼女の強固なプライドは、俺の指先がもたらす圧倒的な快感の前にあっけなく溶け落ちていった。
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全身の洗浄を終え、タオルで大まかに水分を拭き取った後、俺はレオナを作業台の前に立たせた。
「次はドライヤーで乾かしながら、ブラッシングとカットをしていくわ。台の上に上がって、四つん這いになりなさい」
「よ、四つん這い……!? そ、そんなモロ獣みたいな格好、いくらなんでも……っ!」
一瞬だけ我に返ったのか、レオナは顔を真っ赤にして抗議した。
だが、俺は冷たい視線で見下ろし、あえて突き放すように言った。
「私の指示に絶対服従する約束よね? 嫌ならここで終わりにするけど」
「あっ……待って、嫌……っ! やります、やりますから……っ!」
シャンプーの快感と、空間に微かに漂う俺のフェロモンの名残が、彼女の理性を完全に狂わせていた。レオナは涙目で作業台に這い上がり、ゆっくりと四つん這いの姿勢をとった。
突き出された無防備なヒップライン。王者の威厳など欠片もない、完全な服従のポーズだ。
俺はドライヤーのスイッチを入れ、温風を当てながら大き目なブラシで毛並みを整え始めた。
「ひゃああっ!?」
四つん這いでドライヤーで乾かされている間、ずっと息切れをしているレオナ。
「ど、どうしたの? 痛かった?」
「ちが、ちがうの……っ! 熱が……ヒカルさんの指先の熱が、毛穴から直接流れ込んでくるみたいで……っ! はぁっ、はぁっ……!」
彼女が指先の熱に過剰に反応する。
俺がブラシを入れるたび、ハサミの冷たい金属が肌をかすめるたび、彼女の体はビクビクと痙攣するように跳ねた。
「あぁっ……もっと、もっと強く梳かして……っ! ヒカルさん、お願い……っ」
人前ではSのようにふるまっていたが、Mの顔を見せるレオナ。俺の指が彼女の敏感な耳の裏や首筋の付け根を撫でるたび、彼女は情けない声を上げて身をよじらせた。
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「あ……ぁ……もう、ダメ……っ」
四つん這いになっていられないほど体の芯が火照り、ついに体を倒してしまう。全身の力が抜け、ゼェゼェと荒い呼吸を繰り返している。
「ちょっと、まだ終わってないわよ。姿勢を戻しなさい」
俺は、今までミオを虐げてきたレオナを強い口調で責めながらマッサージを続けた。
「む、無理です……っ。腰が、抜けちゃって……っ」
「ミオをあんな風に見下していた誇り高きライオンが、たかがブラッシングで腰を抜かすの? みっともないわね」
「あぁっ……ごめんなさい、私が悪かったの……っ。もうミオさんをいじめたりしないから……っ、だから、その手を止めないで……っ!」
泣きながら懇願するレオナを見て、俺は自分の胸の奥で、底意地の悪い征服欲が満たされていくのを感じた。
「ほら、お尻を上げなさい」
俺は全身を使ってレオナを四つん這いに戻すも、そのタッチすらも敏感に反応するレオナ。
「ひぐぅっ!?」
俺の指の強い圧力が、レオナの敏感な腰の神経節をダイレクトに刺激した。ただ姿勢を戻しただけだというのに、彼女の体は限界を超えていたらしい。
「あ、あぁぁぁぁっ……!!」
背中を弓なりに反らせ、金色の瞳をカッと見開く。全身の筋肉が硬直し、足の先までピンと伸び切る。レオナはさらに反応して絶頂をむかえてしまった。
彼女はガクガクと小刻みに震えながら再び作業台の上に崩れ落ちた。もはや指一本動かせないほどに完全に屈服し、甘い吐息を漏らしている。
数十分後。
カットまですべての仕上げを終え、俺は放心状態のレオナを姿見の前に連れて行った。
鏡の中に映っていたのは、ゴワゴワの剛毛に悩んでいたかつての彼女ではない。まるで黄金のシルクをまとったかのように神々しく輝き、滑らかな流線型のシルエットを持つ、圧倒的に美しいライオンの令嬢だった。
「あ……あぁ……っ」
レオナの瞳から、ポロポロと大粒の涙が溢れ出した。
彼女は鏡の中の自分に手を伸ばし、それから、ゆっくりと振り返って俺を見た。その瞳には、かつての高飛車なプライドなど微塵もない。
ドンッ、と。
レオナは膝から崩れ落ち、俺の足首にすがりついた。
「ヒカルさん……っ、ヒカルさん……っ!」
彼女は俺の足に頬をすり寄せ、子猫のように甘えた声で泣きじゃくった。
「ありがとう……っ、私、こんなに綺麗にしてくれて……っ。お願い、私を見捨てないで……っ。また私を、私を綺麗にして……っ!」
学園のトップに君臨する巨大財閥の令嬢が、一般人の前で涙を流し、快感の奴隷として忠誠を誓う。ヒカルなしでは生きられない体へと依存させ、巨大な経済力を手中に収めるという、俺の下剋上の第一歩がここに刻まれたのだ。




