第34話 世論の爆発
パソコンの画面上では、怒涛の勢いでコメントが滝のように流れ始めていた。
『嘘だろ、あのボサボサだった猫娘が、こんな艶々になってる!?』
『待って、あの人間のオスの体……ヤバい、画面越しなのに匂いが飛んできそう!』
『手つきがエロすぎる!神経の急所を的確に突いてるわ!』
『私も、私もその指で奥までほぐされたいぃぃっ!』
コメント欄は、俺の鍛え上げられた肉体と神がかった技術に、狂乱の渦と化していた。
「次はマッサージだ」
俺はシャンプーの泡を洗い流し、ミオの濡れた体を正面から抱きかかえるようにして、彼女の豊かな胸の谷間から腹部にかけてのリンパを流し始めた。
ヒタヒタと、俺の汗ばんだ腹筋がミオの裸体に密着する。
「あぁぁっ……! ヒカルっ、お腹、熱いのが、直接……っ!」
俺は彼女の耳元で荒い息を吐きながら、体重をかけて深層の筋肉を揉みほぐす。俺自身も凄まじい熱量と体力を消費し、全身から汗を吹き出させながら必死に施術を行っていた。その真剣な眼差しと、筋肉の隆起、滴る汗が、画面の向こうの獣人たちのメスとしての本能を根底から揺さぶっていく。
「はぁっ……はぁっ……」
カメラを構えるセリアも限界だった。ファインダー越しに見る俺の汗ばんだ肉体と、温室に充満する極濃のフェロモンに理性を焼かれ、彼女はガクガクと膝を震わせて床に座り込みそうになりながら、それでも必死にレンズを向け続けている。
「あぁっ……ヒカル様……私も、私もその胸板に押し潰されたい……っ。画面の向こうのメスどもなんかに、見せたくないぃっ……!」
「仕上げのカットとブラッシングだ。ミオ、作業台の上に四つん這いになれ」
「はぁっ、はぁっ……はいっ……もう、ヒカルの、好きにしてぇっ……」
もはや羞恥心など完全に溶け去り、ミオはカメラの前で大胆に足を開いた四つん這いの姿勢をとり、無防備なヒップラインを突き出した。
特注のスリッカーブラシが、彼女のプラチナの毛並みを滑らかに梳いていく。俺は彼女の後ろから覆い被さるようにして、腰から尻尾の付け根へとブラシを走らせた。
俺の汗がミオの背中に降り注ぎ、互いの熱い体温が交じり合う。
「あ、あぁぁぁぁっ!!」
限界を超えた快感に、ミオの背中が弓なりに反り返った。
彼女は四つん這いの姿勢を維持できず、作業台の上で仰向けにひっくり返り、カメラに向かって完全な『ヘソ天』の服従ポーズでアヘ顔ダブルピースを晒した。
「ヒカルぅっ……! 最高っ、私、ヒカルの匂いと汗で、ぐちゃぐちゃだよぉっ……!」
白目を剥きかけ、だらしなく舌を出して絶頂に達するミオ。その圧倒的なカタルシスと、俺の放つオスの暴力的なまでの魅力が、全国のネットワークを通じて完全に拡散された瞬間だった。
『信じられない……発情期の発作が一瞬で鎮まってる……!』
『この技術、間違いなく本物だ!』
『なんでこんな国宝級の男を、国はただの遺伝子供給奴隷として隔離しようとしてるの!?』
『私だってお金を払ってでもあの男の施術を受けたい!国は彼を自由にしろ!』
コメント欄は、驚愕と称賛、そして国家のルールに対する強烈な怒りと抗議の声で埋め尽くされていた。画面の向こうまでフェロモンが飛んでいくかのような俺の熱のこもった施術は、見事に全国の獣人たちの世論を煽り、国家の非人道的な管理システムに対する巨大な反逆の炎を燃え上がらせたのだ。
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【グレース・キングスレイ視点】
キングスレイ財閥の豪邸、その最上階にある執務室。
私は最高級の革張りソファに座りながら、タブレットの画面に釘付けになっていた。
そこに映し出されているのは、あの神浦ヒカルの汗ばんだ肉体と、快感に喘ぐ猫娘の姿だ。画面越しだというのに、彼の放つ極上のフェロモンが鼻腔を突き抜けてくるような錯覚に陥る。
「あぁっ……ヒカル……っ」
床には、次期当主である娘のレオナが転がり、「あの男のケアがないと生きていけない」と泣き叫んでいる。彼女は完全にストライキを起こし、財閥の後継者としての責務を放棄していた。
だが、私に娘を叱りつける余裕などない。私自身も、画面の中の彼の手技を思い出し、ライオンの剛毛を掻き毟りながら全身を熱く火照らせていたのだ。
巨大企業の総帥である私や、軍のトップであるルプス家などの親たちは、娘たちのストライキに大いに慌てふためき、ついに実力行使に出る決意を固めた。
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【御堂冴子視点】
国立桜華学園の学園長室は、かつてないパニックに陥っていた。
ジリリリリッ! ジリリリリッ!
複数の直通電話が、狂ったように鳴り響いている。人間の政治家から出向してきた私の元へ、獣人のトップ層から猛烈な抗議が殺到していたのだ。
受話器を取るたびに、経済界のドンや軍の重鎮たちの怒声が鼓膜を打つ。
「御堂! 国家のルールよりも娘の毛並みと精神安定を優先しろ!」
「ヒカルをただの遺伝子供給奴隷として隔離するなら、我が軍は国の防衛を放棄する!」
「あの男を自由にしろ!さもなくば国への経済支援を全面停止する!」
彼らは、自分たちの猛烈な政治的、経済的圧力を惜しげもなく学園長や人間の政治家に対し振りかざしてくる。
私は受話器を握りしめたまま、冷や汗を滝のように流していた。人間の女たちが構築した冷徹な管理システムが、たった一人の人間のオスの技術とフェロモンによって、根底から崩壊しようとしている。
「こんなこと……歴史上、一度だって……っ」
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【神浦ヒカル視点】
配信を終えた第4温室跡。
パソコンの画面には、国内の株価指数の暴落や、インフラの一部停止を伝える臨時ニュースが次々と映し出されていた。
『獣人名家による前代未聞のストライキが勃発。政府は対応に追われています』
キャスターの焦った声を聞きながら、俺は汗をタオルで拭い、口角を深く吊り上げた。
「ヒカル……これ、本当に国が引っくり返っちゃうよ……」
服を着直したミオが、震える声で俺の腕にすがりついてくる。
「国を引っくり返すためにやったんだ。これでもう、俺を牢獄に閉じ込めておくなんてふざけた真似はできなくなるはずだ」
俺の自由を阻む巨大な壁に、今、決定的な亀裂が入った。
あとはこの圧倒的な世論と権力者たちの圧力を背盾に、政府の連中と直接交渉のテーブルにつくだけだ。
俺の下剋上は、いよいよ法廷と国家権力を巻き込む最終決戦へと向かおうとしていた。




