第23話 ヘソ天ポーズ
【セリア・シャノワール視点】
薄暗い第4温室跡の片隅で、私、セリア・シャノワールは、己の太ももを密かにギュッと擦り合わせながらその光景を監視していた。
「くっ……んんっ……!」
バスタブの前の椅子に座らされた生徒会長のレティシアが、必死に唇を噛み締めて快感を堪えている。誇り高きハウンド家の令嬢であり、並のマッサージなど通用しない強固な精神力を持つ彼女。だが、その理性は今、ヒカル様の凄まじい手技の前に風前の灯火となっていた。
ヒカル様が両手に装着しているのは、あの禍々しい『無数のイボ付きゴム手袋』だ。
シャンプーの泡ごと、その無数の突起がレティシアの分厚い皮膚の奥にある神経節を容赦なく抉っていく。犬特有の敏感な耳の裏、そして首筋の経絡。ヒカル様の指先は、まるで精密機械のように彼女の急所だけを的確に捉え、絶え間ない快感のパルスを脳髄へと叩き込んでいるのだ。
「ああっ……ひゃあっ……! だ、だめ、そんな奥まで……っ、頭が、真っ白に……っ」
「どうしました、会長。まだ始まって5分ですよ?」
至近距離から浴びせられる、ヒカル様の『完全なオスのフェロモン』。
ただでさえ理性を焼き切るその暴力的な匂いが、イボ付き手袋のマッサージによって血流が爆発的に促進されたレティシアの全身を、一瞬にして犯し尽くしていく。
(あの堅物な生徒会長が、あんな卑猥な手袋一つで、ここまで無様に……っ)
密偵である私でさえ驚愕するほどの陥落スピードだった。だが、それ以上に私の心を苛んでいたのは、ドロドロと渦巻く強烈な『嫉妬』だった。
(ずるい……。ヒカル様のあの手袋で、私以外の女が極上の快感を与えられているなんて……っ)
自分の尻尾が制服のスカートの裏で狂ったように揺れているのがわかる。下腹部が熱く疼き、私も今すぐあの手袋で全身を撫で回されたいという女としての衝動が抑えきれない。
「ひぐぅっ……! わあぁぁぁおーーーんっ!!」
ついに限界を迎えたのか、レティシアはシャンプー台に顔を突っ伏し、メス犬のような甲高い嬌声を上げて泣き崩れた。ハウンド家の矜持も、生徒会長としての責任も、すべてが快感の濁流に飲み込まれて消え去った瞬間だった。
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【神浦ヒカル視点】
「勝負は俺の勝ちですね、会長」
完全に陥落し、自力で座っていることすらできなくなったレティシアを、俺は作業台の前へと連れて行った。
「次はブラッシングとカットです。台の上に上がって、四つん這いになってください」
「はぁっ、はぁっ……はいっ、ヒカル様ぁ……っ」
先ほどまでの威厳はどこへやら。トロンと潤んだ瞳で俺を見上げる彼女は、言われるがまま全裸で作業台に這い上がり、無防備なヒップラインを突き出した四つん這いの姿勢をとった。
俺はクロエが作ってくれた特注のスリッカーブラシを手に取り、彼女の黄金色の毛並みに刃を入れる。
「ひゃんっ!」
計算し尽くされたピンの配列が、絡まったアンダーコートだけを優しく、しかし確実に捉える。梳かすたびに神経を心地よく刺激し、レティシアの体はビクン、ビクンと大きく跳ねた。
「あぁっ……すごい、クシが通るだけで……背筋が、ゾクゾクして……っ!」
俺のフェロモンに当てられきった彼女にとって、もはや俺の触れるものすべてが極上の快感をもたらすトリガーになっていた。
「もっと……もっと梳かしてぇっ……!」
そして、ブラッシングが腰から尻尾の付け根――犬獣人にとって最も敏感な急所へと差し掛かった、その時だった。
「あ、あぁぁぁぁっ!!」
限界を超えた快感に脳を焼き切られたレティシアは、もはや四つん這いの姿勢すら維持できなくなった。
ゴロンッ!
彼女は作業台の上で仰向けにひっくり返り、両手両足をだらしなく広げて、豊満な胸は脇に垂れ、俺に向かって完全に無防備な『腹』を晒したのだ。
それは、犬の獣人が見せる究極の服従のヘソ天ポーズ。己の最も弱い部分を差し出し、相手にすべてを委ねるという本能からの完全降伏宣言だった。
「あぁっ……お腹、お腹も撫でて……っ。私、もうどうなってもいい……ヒカル様の好きにしてぇっ……!」
涙と涎で顔をぐしゃぐしゃにしながら、尻尾を千切れんばかりに振って懇願してくる。学園の風紀を司る絶対的な生徒会長は、今や俺の足元に寝転がる従順な一匹のメス犬へと成り下がっていた。
俺は彼女の柔らかい腹に手を滑らせながら、冷徹に条件を突きつけた。
「俺の好きにしていいんですね? なら、このサロンの存続と、俺が学園内で自由に動ける権利を、生徒会長の権限で保証してください」
「はいっ……! 保証します、校則だって全部ヒカル様のために書き換えます……っ! だから、私を見捨てないで……一生、私をご主人様の手でしつけてぇっ!」
「いい子だ」
俺が優しく頭を撫でてやると、レティシアは恍惚とした表情で俺の手に頬をすり寄せた。
「それじゃあ、最後に……『お手』」
俺が冗談半分で手を差し出すと。
「ワンッ!!」
レティシアは一切の躊躇なく、嬉し泣きをしながら俺の掌に自分の両手を重ねてきた。
エリート令嬢が自らの意志で首輪をつけ、俺の『飼い犬』となった瞬間だった。
生徒会の権力は完全に俺の手中に落ちた。国家のルールを内側から破壊するための、学園掌握という巨大な一歩が、ここに完了したのだ。




