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男女獣比1:100:1000のモフ界転生 ~トリマー無双でエリート獣人を骨抜きに。最底辺の俺が自由を求めて下剋上~  作者: 団田図


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第2話 ゴッドハンド

「少しお湯をかけるわよ」


 適温に調整したシャワーを足元からゆっくりと当てていく。毛の根元までしっかりとお湯を浸透させるため、俺の指先がミオの地肌に触れた。

「にゃっ……! ちょっとヒカル、くすぐったいってば……ふふっ」

 最初は身をよじって笑っていたミオだったが、俺が独自調合したシャンプーを手に取り、本格的な洗浄とマッサージを始めると、その反応は劇的に変化していった。


 獣人は皮膚が厚いが、その下には特定の神経節が集中しているポイントがある。前世で数え切れないほどの動物を癒やしてきた俺の「ゴッドハンド」は、その急所を的確に捉えていた。

 指の腹で円を描くように地肌を揉みほぐし、毛穴の汚れを押し出しながら、凝り固まった筋肉をゆっくりと弛緩させていく。


「あ……ぁ……んっ……」


 やがて、ミオの口から漏れる声が、笑い声から甘い吐息へと変わった。

 顔は真っ赤に火照り、ピンと立っていた猫耳が、気持ちよさのあまり力なくペタンと垂れ下がっている。長くしなやかな尻尾が、お湯の中でゆらゆらと妖しく揺らめいた。


「ヒカルの指……すっごく、温かい……。なんか、頭の奥が、ふわふわして……っ」

「力加減はどう? かゆいところはない?」

「うん……ない……もっと、もっと激しくてもいい……」


 とろけるような顔で俺の手首にすり寄ってくるミオ。ただのシャンプーの域を超えた快感に、彼女の理性が少しずつ溶け出しているのがわかった。


 全身を洗い終え、タオルドライをした後、俺はミオを作業台の前に立たせた。

「次はカットとブラッシングよ。ミオ、この台の上に四つん這いになってくれないかな?」

「よ、四つん這い……!? そ、そんなまんま獣みたいな格好、恥ずかしいよ……っ!」


 羞恥で涙目になるミオだったが、俺は一切妥協しなかった。

「ヒップラインから背中にかけての毛並みを一番美しく整えるには、この体勢が一番やりやすいんだ。お願いよ、ミオ。あなたのためなの」

「うぅ……ヒカルのいじわる……」


 俺の真剣な眼差しに押され、ミオは渋々ながらも作業台の上で全裸のまま四つん這いの姿勢をとった。突き出された無防備なヒップラインと、色っぽいポーズが男の理性を激しく揺さぶるが、俺は必死にハサミの冷たさで己を律した。


「いくわよ」


 チョキ、チョキ、という小気味よいハサミの音が秘密の部屋に響き渡る。

 この世界には存在しない、前世の高度なカット技術と手技。不要な毛を間引き、毛玉を痛みのない特殊な角度で解きほぐし、全体のシルエットを流線型に整えていく。

 クシが肌を撫でるたび、ハサミが毛先を整えるたび、ミオの体はビクン、ビクンと小さく跳ねた。


「あっ……にぁっ……ヒカル……すごい、気持ちいい……」


 四つん這いのまま、ミオは快感に耐えきれずに作業台に顔を突っ伏した。彼女の呼吸は荒く、完全に俺の手がもたらす快感の虜——依存の入り口に立っていた。彼女の毛並みが、見違えるようなツヤと輝きを取り戻していく。


 数十分後。

 すべての工程を終え、温室の片隅にある姿見の前に立ったミオは、鏡の中の自分を見て言葉を失っていた。


「……これ、本当に、私……?」


 そこには、ボサボサだった面影は欠片もない。まるで月明かりを浴びた高級なシルクのように輝く毛並みと、トップモデルのような洗練されたシルエットを持つ、圧倒的な美少女猫獣人が立っていた。


「言ったでしょ。私が世界一の美少女にしてあげるって」


 俺が微笑みかけると、ミオは瞳に大粒の涙を浮かべ、勢いよく俺の胸に飛び込んできた。

「ヒカル……っ! ありがとう、ありがとう……っ! 私、一生ヒカルについていくから……っ!」

 強く抱きしめられ、特別調合したシャンプーの香りと、ほんのり熱を帯びた裸のミオの体温が伝わってくる。俺は自分のフェロモンが漏れていないか少しヒヤリとしながらも、親友の背中を優しく撫でた。


 翌日の朝。

 国立桜華学園の2年A組の教室は、いつものようにエリート令嬢たちの優雅で退屈な談笑に包まれていた。

 だが、ガラリと教室の扉が開いた瞬間、その空気は一変した。

「ごきげんよう、みなさん」

 少しはにかみながら教室に入ってきたミオの姿に、クラス中の全員が息を呑み、静まり返った。


 窓から差し込む朝の光を受けて、ミオの全身の毛並みがキラキラとプラチナのように輝いていた。歩くたびになめらかに揺れる尻尾、手入れの行き届いた完璧なシルエット。昨日まで彼女を嘲笑っていた令嬢たちが、目を見開き、信じられないものを見るように硬直している。


 取り巻きと話していたライオン系のレオナでさえ、手に持っていた高級な万年筆をカタン……と床に落とし、ポカンと口を開けていた。


「な、なによ、あの毛並み……。どんな一流の職人が手入れすれば、あんな奇跡みたいな光沢が……っ!?」

「あの子、一体どこの高級サロンに……!?」


 教室中がざわめきに包まれる中、ミオは俺の隣の席に座り、「えへへ、ヒカルのおかげだよ」と誰にも聞こえない声で甘く囁き、俺の腕にすり寄ってきた。

 その圧倒的なビフォーアフターは、たちまち学園中の噂となる。


『町のどこかの高級サロンに伝説級のゴッドハンドがいる』と。


 だがこの時の俺たちはまだ知らなかった。この小さな噂が、やがて学園のトップ層であるエリート獣人たちの理性を狂わせ、俺の男としてのカミングアウトと共に、巨大なサバイバルと下剋上の幕開けに繋がっていくということを。

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