第5章 選択の刻 第四話 最終試験 219番 1/5
一番初めに呼ばれた少女。214番が扉の向こうに向かった。
それから、どのくらいの時間が過ぎたのか。
少女たちは、誰もが黙ったまま時間が過ぎるのを待ち続けていた。
やがて、再び扉が開く。
候補生たち全員が、反射的にそちらを見る。誰もが試験を終えた少女が現れたと思っていた。
しかし、出てきたのは、呼ばれた少女ではない。
代わりに、別の教官が現れ、次の番号を読み上げた。
「219番。
入室してください」
呼ばれたのは、背の高い少女だった。
機械式訓練では力仕事を任されることが多く、疫病都市では声出し役に回っていた。
彼女は一瞬、扉の内側を覗こうとしてから、すぐに思い直したように背筋を伸ばす。
ひとこと「はい」、そう言って中に入った。
扉が閉まると、誰かが小さく呟く。
「さっきの人……。
まだ戻ってきてないのに……」
その言葉で、空気がわずかにざわつく。
合否が、その場で告げられる試験だと、誰もが思っていた。
だから、扉から出てくるはずだと……。無意識に、思い込んでいた。
なぜ、戻らないのだろう?
* * * * *
扉の向こう側。
少女は小さく息を吸い、入室する。
「失礼します」
姿勢は悪くない。だが、肩が硬く、視線が定まらない。
講師たちの顔を一人ずつ見ることなく、正面の一点だけを見て立っていた。
「質問する」
ラファエルの声は、一人目の候補生と同じ調子だった。
「疫病都市において、最初に選んだ行動は?」
一拍の沈黙のあと、答えた声は少し早口だった。
「……奇跡の準備です。
感染拡大を抑えるため、治癒の奇跡を──」
「待ってください」
イザベラが遮った。




