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私立陣屋学園能力科  作者: みやもと なまにく
1章 自然科学部
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22話 あの日の記憶1 初対面

1章 幕間

22話 あの日の記憶1 初対面


 ――ガチャ


 突然開いた扉に驚いて注目する。ゆっくりと開けられたその扉から現れたのは、まだあどけなさの抜けない少年だった。


 「ちわー。ここが自然科学部の部室ですかー?」


 唐突に現れた訪問者に内心焦りながらも、白衣姿の男子生徒は机の引き出しから一丁のハンドガンとマガジンを取り出す。クイッと口角を上げて少年を見ると、


 「……やぁ。そうだよ。ここが自然科学部の部室さ」


 「アンタが部長か? 噂を聞いてきた。人の心を読む、超能力のエキスパートだって噂。ちょっと相談に乗って欲しいんだけど」


 「……噂は知らないが、自然科学部の部長と言えば大体はこの僕、長南イトの事だよ」


 「アンタが能力に関する悩みを解決してくれると聞いたんだが」


 そう言うと、少年は子猫のように好奇心旺盛に部屋に飾られた水槽やオブジェを物色して回っている。


 「悩みを解決? 君は何を言ってるんだ? 僕は悩み相談員なんかじゃない。人の家に無断で侵入した上、僕のコレクションを物色するとは、失礼なヤツだな……」


 イトはそう言ってマガジンを装填した。


 「本当に聞いた通り、スゲェ部屋だな……って、おい! その手に持ってる物は何だよ!? まさかとは思うが……」


 「……ピエトロ・べレッタ社製Px4ストームだよ……モデル92もいいが、見てみなよ。このモデル8000から受け継いだロテイティングバレルの動きは痺れるだろう? デザインも素晴らしいとは思わないかい? 何たってあのジウジアーロデザインだからね」


 そう言ってイジェクションポートが見える様にスライドを引いてみせる。ダラダラと喋りながらも自身の能力、既視感(デジャヴュ)を発動し、少年の素性を探る。


 「君の事は大体分かった。今年入った一年か……幼馴染と一緒に暮らしてるようだな。名前は……大東……? 大東アキト……まさか……」


 「噂に違わずスゲェ能力だな……」


 「君は……やはりそうなのか……? 待て! 父親を亡くしてるのか……? 記憶が曖昧だな……君の頭の中は一体どうなってるんだ?」


 「そんな事も分かるのか? スゲェ! スゲェよ! 頼むよ、アンタだけが頼りだ」


 興奮気味に驚くアキトの様子にイラつきながらも、イトは更に深くアキトの記憶を読み取ろうとする。肝心な部分が分からないもどかしさに頭を抱えるイト。


 「君にここへ来るよう勧めたのは誰だ?」


 「生徒会の一員って人に言われて来たんだ。ここに来れば能力についての悩みは大概何とかしてくれるって言っていた」


 「生徒会メンバーだと? 僕は生徒会メンバーはひと通り把握しているつもりだが、君の記憶にある人物には心当たりがない……おや? そんな事より、今日は用事があるんじゃなかったのかい? 幼馴染がきっと待ってるぞ? 電子レンジを買いに行く事を勧めるよ」


 「やっべぇ……忘れてた……」


 「アキト、僕は君に興味がある。だが、久しぶりに能力を使って疲れてしまった。人の家に無断で侵入してきた事は大目に見てあげよう。また明日来るといい。僕は常にここに居る。一歩も外へ出るつもりも無い。気になる事がある。情報交換をしようじゃないか」


 「一歩もって……超能力だけじゃなく、ぼっちのスペシャリストでもあるのかよ……いいぜ。約束だ。また明日、今日の続きをしよう」


*******************


 「行ったか……大東……か。まさか博士の息子が現れるとは……生徒会め……何を考えている……」


 「イト、どうしたの?」


 「リリィ……戻ったのか。ミィナはどうした? ちょっと調べて貰いたい事がある」


 「ミィナなら庭でお昼寝してる。私も少し休むね」


 そう言うとリリィは肩から掛けたM4カービンを胸に抱き、ソファに座って目を閉じた。


 「リリィ……いつになったらここは戦場じゃ無いって分かってくれるんだ……」


 イトはそっとリリィの膝にタオルケットを被せると、庭へと移動した。家庭菜園をこじらせたようなその庭に一際高くそびえ立つ一本の木の枝に黒い塊の様なものが見える。丸っこいモコモコした玉のような体からは尻尾がだらりと垂れ下がり、枝を譜表に見立てた音符のようだ。イトは音符の直ぐ下まで歩くと、


 「ミィナ! ちょっと降りてきてくれるかい?」


 「ふニャ……ニャーに……?」


 小さな欠伸をして伸びをすると、ミィナはぴょんと枝から飛び降り、イトの前に華麗に着地した。右手を舐めては顔や耳の後ろを洗っている。


 「一年能力科の大東アキトという生徒を探って欲しい。あと、丸井ミコという生徒も。それと、生徒会がまた不審な動きをしている。それも探ってくれるかい? 僕は理事長に相談してみるから」


 「……しょうがニャいニャぁ……」


 ミィナはかったるそうにそう言うと、伸びを一つし、庭を出て行った。


 「……父と、大東博士……まさか、な……」


 イトは沸き立つ胸騒ぎと、どうしようもない不快感に顔をしかめていた


いつも読んで頂いてありがとうございます。

アキトとイトの初顔合わせを書いてみました。

短くて申し訳ないです。

次は長めのお話を用意致します。

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