第78話 巨大な金属の扉
トンネルの入口には、巨大な金属の扉が設けられていた。
扉には複雑な機構が施され、無数の歯車とレバーが絡み合っている。
中央には、手のひらを置くための窪みがある。
アーサーがため息をつく。
「機神術の封印だ。正しい『鍵』がなければ開かない」
しかしレオンは、革の筒から一枚の羊皮紙を取り出した。
それはヴァイダー卿から託された証拠文書の一部で、財務卿の不正取引の記録が記されていた。
しかし、文書の余白には、一見すると単なる装飾に見える複雑な幾何学模様が描かれている。
「ヴァイダー卿は、これが単なる証拠書類ではないことを知っていた」
レオンが呟く。
「彼は、我々がここに来ることを予見していた」
レオンが羊皮紙を窪みにかざす。
幾何学模様が微かに光り始め、扉の機構が動き出す。歯車が回転し、レバーが動き、金属の音がトンネルに響き渡る。
重厚な扉がゆっくりと開いた。
中からは、温かい風と、油とオゾンが混ざったような独特の匂いが流れてくる。
扉の向こうには、想像を超える光景が広がっていた。
巨大な地下空間の天井は、人工的な光を放つ水晶で埋め尽くされ、昼のように明るい。
空間の中央には、都市ほどの大きさの複雑な機械構造がそびえ立っている。
無数の歯車、ピストン、配管、そして光る水晶が絡み合い、有機的な脈動を伝えている。
機械構造の周囲では、金歯車傭兵団の者たちらしき人影が忙しく動き回っている。
彼らは単なる傭兵ではなく、技術者としての動きを見せている。
そして、機械構造の最も高い位置にあるプラットフォームに、1人の人物が立っていた。




