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勇者が勇者パーティから追放されました ー王国の勇者から民衆の勇者として旅をしますー  作者: ぶっくん


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第75話 再び霧の巨人との戦い

「機神の炉を守る最後の防衛機構だな」

アーサーが呟く。

その目には、古い文献でしか見たことのない紋様が刻まれた巨人の姿が映っていた。

「水晶を鍵として使ったことで、目を覚ましたのだ」


ガレスが大斧を振りかざす。

彼の筋肉は怒りと緊張で隆起し、鎧の隙間から蒸気のような熱気が立ち上る。

「ならば、倒すまでだ!」


レオンは水晶を高く掲げたまま、仲間たちに指示を飛ばす。

彼の声は冷たく、戦場の指揮官としての本性が滲み出ていた。

「散開せよ! 正面からの攻撃は無意味だ! ガレス、右翼から! キース、弱点を探れ!」


「了解!」

ガレスが咆哮し、大斧を振りかぶって霧の中へ飛び込んだ。

彼の傷だらけの鎧が霧の粒を弾き飛ばす。

足跡には一瞬だけ地面が現れる。


巨人の腕がゆっくりと振り下ろされる。

その速度は遅いが、範囲が広すぎる。


ガレスは間一髪で回避し、斧の刃を巨人の脇腹に叩き込む。

しかし、刃は霧の中を空切り、何にも触れない。


アーサーが杖を地面に打ち付け、古代語の詠唱を始めた。

杖の先から幾何学的な光の紋様が広がり、霧を一時的に押しのける。

「我が詠唱が続く限り、霧は退く! だが時間は限られている!」


キースは片目を細め、巨人の動きを追う。

彼の目は、霧の中でもわずかな動きの違いを見分けることができた。

「動きに偏りがある……左側の動きが0.3秒遅い。何かがある」


エリザが20名の東嶺精鋭を指揮する。

彼女の手信号は鋭く、兵士たちは瞬時に反応する。

「弓兵隊、光る部分を狙え! 槍兵、側面から足元を崩せ!」


東嶺の兵士たちは、霧の中でも驚くべき統制力を発揮した。


彼らはこの地の地理を熟知しており、霧に隠れた岩陰や窪地を巧みに利用して移動する。


弓矢が一斉に放たれ、巨人の赤く光る「目」を目指して飛んでいく。


しかし、矢は巨人の霧の体を貫通するだけで、実体のない霧の中を通過してしまう。

巨人はゆっくりと腕を振り、霧の渦が兵士たちを襲う。

二人の兵士が吹き飛ばされ、岩に叩きつけられる。


「物理攻撃は通じないようだ!」

エリザが叫ぶ。

彼女の声には焦りが混じっていた。


レオンは革の筒を胸に押し当てながら思考を巡らせる。ヴァイダー卿から託された証拠文書、グスタフ男爵の城塞で見た黄金の歯車の杯、金歯車傭兵団が守っていた廃鉱山の「試作機」すべてが繋がり始めていた。


「アーサー! この霧……単なる自然現象ではないだろう? 何かが制御しているのか?」


老魔術師が額に汗を浮かべながら答える。

「その通りだ! この霧には…魔術の痕跡がある! だが、我々の知るどの術式とも異なる……古代の、失われた技術の匂いがする!」


その瞬間、キースが叫んだ。

「左足の付け根! 霧が濃くなっている部分がある! 何かが埋め込まれている!」


レオンがキースの指す方向を見る。

確かに、巨人の左足の付け根部分だけ、霧が異常に濃く、不自然なまでに固まっている。

その中心で、微かに青白い光が脈打っていた。


「あれが制御装置か……あるいは動力源だ!」

レオンが判断する。

「全員、あの部分を狙え!」


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