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勇者が勇者パーティから追放されました ー王国の勇者から民衆の勇者として旅をしますー  作者: ぶっくん


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第55話 仮面の指揮官の実験

仮面の指揮官が手を振るった。


「では、実験開始だ。生体データの収集を始めよ」


改造兵士たちが、一斉に動き出した。


その速さは人間離れしていた。


筋肉の限界を無視した、魔導回路による強制駆動の動き。10体がばらばらの方向から襲いかかるが、その動きには奇妙な同期性があった


ガレスが大斧を振るい、最初の一体を迎え撃つ。

金属と金属がぶつかる鈍い音。

改造兵士は吹き飛ばされるが、すぐに起き上がる。

その胸には、ガレスの剣による傷があるが、血は流れていない。


「こいつら……痛みを感じないのか!?」


アーサーが杖を高く掲げ、詠唱を始める。


「大地の精霊よ、この場を清めよ! 不自然なる結び目を解け!」


杖の先から青白い光が広がり、改造兵士たちの動きが一瞬鈍る。

彼ら体の魔導回路が、微かに火花を散らす。


キースの矢が飛ぶ。1本、また1本。


矢は改造兵士たちの膝、肘、肩の関節部を正確に貫き、動きの要を破壊する。

2体が崩れ落ちるが、それでも起き上がろうともがく。


魔導回路が損傷した四肢を無理やり動かそうとし、金属が軋む不気味な音を立てる。

矢は改造兵士たちの関節部を正確に貫く。


「関節を破壊しても動く……ならば、中枢を!」

キースが叫ぶ。


レオンは剣を構えながら、中央の「試作機」へと走り出す。


だが、3体の改造兵士がレオンの前に立ちはだかる。


その時、グスタフ男爵が咆哮した。


「わしの相手はせんか!」


男爵の両手に握られた戦槌が風を切り、一体の改造兵士を粉砕する。金属の破片と、中から零れる黒い液体が飛び散る。



男爵の顔が一瞬ゆがむ。


「兵士たちよ! 我が盾となれ!」


男爵の配下の兵士たちが、改造兵士たちの群れに突撃する。人間対「人間兵器」の、無様で壮絶な戦いが始まった。


レオンはその隙に、3体の改造兵士の包囲をかわし、中央の「試作機」へとたどり着いた。


近くで見ると、その「もの」はかつて人間だった名残をかすかに留めている。


若い、20歳前後の兵士の顔だ。目は開いているが、そこには何も映っていない。

瞳は曇りガラスのように濁り、焦点を結ばない。


その胸には、まだ姓名が刻まれた認識票がぶら下がっていた。


「ノア・ヴェルナー」


レオンが剣を握る手に力が込められる。


「すまない……」


彼が呟く声は、戦場の喧騒にかき消されそうになった。


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