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勇者が勇者パーティから追放されました ー王国の勇者から民衆の勇者として旅をしますー  作者: ぶっくん


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第53話 廃鉱山への急行

夜明け前の闇の中、レオンたちはグスタフ男爵とその精鋭20騎と共に、城塞を飛び出した。


男爵の白馬が先頭を切る。

険しい獣道を下るたび、鎧がかすかに軋んだ。


「金歯車傭兵団の本拠は、廃鉱山の最深部だ!」

男爵の声が風を切る。


「奴らがここ3日、物資の搬入を急いでいた理由がわかった。『起動』の準備をしていたのだ」


レオンが馬を並べる。頬を伝う冷気が、不吉な予感を運んでくる。

「『起動』とは何ですか? あの『試作機』とは?」


男爵は一瞬沈黙し、ようやく口を開いた。


「クラウス殿下が求めるのは、忠実で疲れず、感情なき兵士だ」


男爵の声は低く、苦い。


「古の遺跡から掘り出された魔導技術は、生きた人間に回路を埋め込み、意思を奪い、強化する……『人間兵器』を作り出す」


ガレスが鞍の上で身を乗り出した。

「そんなことが……可能なのか?」


「可能だ。そして、すでに『試作品』が存在する」

男爵の声に苦渋がにじむ。


「半年前、この地域で行方不明になった者たちが30人以上いる。農民、旅人、そしてわしの配下の兵士さえも。すべてはあの廃鉱山へ連れ去られたのだ」


山道を曲がり、廃鉱山の入口が見えてきた。

かつては栄えた鉱山の跡は、今では不気味な静寂に包まれている。


しかし、その入口からは、微かな機械音のような、うなるような音が聞こえてくる。


男爵が手を挙げて一行を止めた。


「ここから先は、馬では進めぬ。注意しろ……彼らはすでに『目覚め』ているかもしれん」


一行は馬を繋ぎ、徒歩で坑道へと分け入った。


壁の坑道灯はかすかに灯り、煤けたガラス越しに不気味な影を揺らす。

うなりは深く進むほどに大きくなる。地底の心臓の鼓動のようだ。


壁には古い坑道灯がまだかすかに灯っているが、その光は不気味に揺らめく。

そして、あのうなるような音は、どんどん大きくなっていく。


キースが突然、手を挙げて止まった。

彼の残った片目が、闇の中を鋭く見つめる。


「血の匂いだ。だが……腐った血だ。生きて流れるものではない」


坑道をさらに進むと、突然視界が開けた。


巨大な採掘場の跡だろう、天井まで数十メートルはある広大な空間が広がっている。

その中央に、彼らは息をのんだ。


無数の管と魔導回路が絡み合い、その中心に人間の姿が横たわっていた。

いや、人間の残骸と言うべきか。

全身に金属の接続部が埋め込まれ、背中から伸びる太い管は天井の機械へと繋がる。


胸には、金色の歯車の紋章が刻まれていた。

その顔はまだ若い、20歳にも満たない兵士のものだった。


「ノア……」


男爵の声が震えた。


「わしの配下の……3ヶ月前に行方不明になった……」



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