第38話 民衆の温もり
一方、辺境に向かう道中で、レオンたちは早くも懸賞書の存在を知った。
小さな村の掲示板に、彼ら4人の姿が大きく貼り出されていたのだ。
しかし、レオン達がローレンツィア商会と戦っていたのを知っていたこの村人達は、掲示板の手配書を見ても誰も気にしておらず、むしろレオンたちに温かい眼差しを向けていた。
「お若いの、これを持っていきなさい」
しわくちゃな手をした老婆が、温かいパンをレオンの手に押し付けた。
「森の中は危ないから、気をつけてね」
小さな女の子は野の花を摘み、アーサーに差し出した。
アーサーは目を細めてそれを受け取り、そっと少女の頭を撫でた。
ガレスは黙ってうなずき、キースは片目の視界で周囲を警戒しながらも、口元がほんの少し緩んだ。
村を離れた後、アーサーが杖で軽く地面を叩いた。
「財務卿が我々をここまで危険視しているということは、我々が握っている証拠が彼にとって致命的だということだ」
キースが言った。
「これからは主要街道は避け、魔物の危険はあるが、人々が追っ手の攻撃に巻き込まれないように森の中を進もう」
ガレスが重々しくうなずいた。
「さあ、行くぞ。辺境伯爵の城塞まであと3日だ。それまでに、何としても証拠を届けなければならない」




