第36話 労働者の解放
老魔術師の杖が再び輝く。
今回は攻撃魔法だ。氷の槍が空中に形成され、オーガの鎧の継ぎ目を狙って飛翔する。
オーガが痛吼を上げる。
氷の槍が鎧の隙間を貫き、黒い血を噴き出させる。
「今だ、レオン!」
レオンはオーガの懐に飛び込む。
巨斧が再び振り下ろされようとするその瞬間、彼は剣を地面に突き刺し、それを支点に跳躍する。
空中で体勢を変え、剣をオーガの首元へと突き立てる。
剣先が鎧の隙間を捉え、深く食い込む。オーガの咆哮が悲鳴に変わる。
ヴィドフルが慌てて短杖を構えるが、その時、キースの矢が彼の手元をかすめ、短杖を弾き飛ばす。
「ぐっ……!」
「管理者殿、これで終わりだ」
ガレスがヴィドフルの前に立ちはだかる。
警備兵たちは動揺し、統制が乱れ始めていた。
労働者たちが、鎖を外された仲間たちを支えながら、扉の方向へと移動し始める。
ヴィドフルが歯ぎしりする。
「愚か者め……財務卿閣下の怒りを知ることになる……」
レオンがオーガの巨体から剣を引き抜き、振り向く。
彼の鎧にはひびが入り、額から血が流れている。だが、その目は確かな光を宿していた。
アーサーが労働者たちを扉の外へ導く。
「急げ!外は吹雪だが、それよりこの鉱山の方が危険だ!」
キースが最後尾を守りながら、矢筒の残りを確認する。
「レオン、ガレス、遅れるなよ」
彼の剣が、再びオーガの巨斧と激突する火花が、深い鉱山の闇を一瞬、鋭く切り裂いた。
その光は、逃げ出す労働者たちの背中を照らし、凍てついた坑道に一筋の希望を描いた。




