第34話 鉄の扉の封印解除へ
戦闘は短時間で終わったが、その音は坑道に反響した。
遠くから、警備の怒声と足音が聞こえ始める。
「時間がない」
キースが焦りの声を上げた。
「すぐに奴らが押し寄せる!」
レオンは鉄の扉を見つめ、そして、鎖に繋がれた労働者たちの虚ろな目を見た。
彼の頭の中で、2つの選択肢が激しくぶつかった。
証拠を求めて扉を破るか、今ここで可能な限りの労働者を逃がすか。
彼は一呼吸置き、仲間たちを見た。
「計画変更だ。アーサー、あの扉の封印を破れるか?」
老魔術師は厳しい表情でうなずいた。
「時間をくれ。だが、完全な解除は無理だ。一時的な『穴』を開けるのが関の山だろう」
「それでいい。キース、ガレス、君たちは労働者の鎖を外し、逃げ道を確保し
4人は再び動き出した。
アーサーは鉄の扉の前に立ち、古びた杖を封印に当て、複雑な古代語の呪文を囁き始めた。
杖の先と封印が触れるたびに、火花のような魔力的な閃光が散る。
キースとガレスは、近くの労働者たちの元へ駆け寄った。
ガレスが大斧で鎖を打ち砕き、キースが彼らに、かすれた声で指示を飛ばす。
「起きろ!今がチャンスだ!我々について来い!」
労働者たちの目に、長い間忘れられていた感情──困惑、そしてかすかな希望の色が浮かんだ。
扉の前で、アーサーの額に汗が浮かぶ。
封印は強固だ。
彼の魔力量と技術を持ってしても、容易ではない。
「もう少し……もう少しだ……!」
その時、坑道の両端から、松明の灯りと武装した警備兵たちの影が現れた。
先頭には、先ほどとは比較にならないほどの巨体をした、鎧をまとったオーガ(鬼)のような魔物がいた。
その肩には、貴族風の服装をした、痩せこけて狡猾そうな男が乗っている。
男は、細い目を細めて、レオンたちを見下ろした。
「ふむ……ネズミがまた忍び込んだようだな。しかも、前回より手強いようだ。だが、残念ながら、ここが君たちの冒険の終着点だ」
彼は手にした短杖を軽く振る。
「我が名はヴィドフル。このフロスト・ケイブ鉱山の管理責任者であり、王国財務卿直属の代理人だ。君たちのような『民衆の英雄』ごっこをしている愚か者を、これまで何人もこの闇に葬ってきた」




