第32話 フロスト・ケイブ鉱山の真実
嵐の帳を利用し、彼らは前回発見した監視の目をかいくぐり、再び鉱山の裂け目へとたどり着いた。
警備の松明の灯りは、嵐の中でかすんで見え、その数もまばらだった。
鉱山内部は、外の荒天とは打って変わって、不気味な静寂に包まれていた。
しかし、その静けさの底から、かすかに、金属のこすれる音、うめき声、そして鞭の音が響いてくる。
キースが手信号を送った。
3人、巡回中。
獣の気配、2頭、鎖で繋がれている。
ガレスが大斧を構え、レオンが剣を抜いた。
アーサーは杖を構え、即座に氷結の呪文を準備する。
巡回兵が通り過ぎる隙を見て、彼らはより深く、鉱山の心臓部へと進んでいった。
坑道は複雑に分岐し、所々に魔術の灯りがぼんやりと浮かんでいる。
その灯りの下で、やせ細った人々が、鈍い音を立てて岩を掘っていた。
彼らの目は虚ろで、鎖でつながれた足首は血でにじんでいる。
レオンの拳が握りしめられた。
王国の公式記録には、フロスト・ケイブ鉱山は乱掘により鉱脈は枯渇し、20年前に閉山されたことになっている。
しかし、ここには確かに人がいた。
彼の言葉が確認する現実は、彼らが事前に疑っていたものを超える残酷さを持っていた。
囚人や貧民の奴隷が魔物の監視下で死ぬまで働かされていた。
ここでは、人間が資源として扱われ、その消耗が計算されていた。
彼らのうめき声は生産報告の一部であり、彼らの死は単なる「効率の低下」として記録されるのだろう。
「……あそこだ」
アーサーが杖で指し示した先には、他の区域からより強固に隔離された、重厚な鉄の扉があった。
扉の表面には、複雑な魔術的封印が刻まれ、不気味な微光を放っている。
「禁断の魔術の気配がする。おそらく、証拠文書や、あるいは……」




