表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者が勇者パーティから追放されました ー王国の勇者から民衆の勇者として旅をしますー  作者: ぶっくん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/92

第28話 フロスト・ケイブ鉱山の影

宿屋の一室で、レオンが擦り切れた羊皮紙の地図を広げながら言った。

蝋燭の灯りが4人の顔を揺らめく影で照らし出す。


「明日、フロスト・ケイブ鉱山へ向かう」


レオンの声は低く、確信に満ちていた。

「噂では、囚人や貧民を奴隷として鉱山労働に駆り立てている。公式記録には存在しない『影の鉱山』だ」


ガレスは鍛え上げられた拳を握りしめ、鎧の継ぎ目が軋む音を立てた。

「奴隷貿易は商会と共に終わったはずだ。我々が暴いたのだ。王国も対策を約束した」


老魔術師アーサーは、知恵の重みで磨かれた杖を軽く床に叩きつけた。

「表面上はそうかもしれない、ガレスよ。だが、闇は深い。商会がなくなっても、そのネットワークは残っている可能性がある。蜘蛛の巣のように、中心を失っても縦横に張り巡らされた糸は残るものだ」


ガレスの顔に怒りの色が走った。

「またか。形を変えて同じ悪事が繰り返される」


窓辺に寄りかかるキースは、鋭い片目で外の闇を見つめながら言った。

「フロスト・ケイブは危険な地域だ。吹き曝しの山岳地帯、氷河が削った洞窟群。魔物も多いが、それ以上に、人間の貪欲さがより危険だ」



「我々の戦いは終わっていない」

アーサーが静かに言った。

「真の変化とは、表面を飾り立てることではなく、根を絶つことだ」


キースが窓から離れ、テーブルに近づいた。

「フロスト・ケイブ周辺には、『アイス・ウィスパー』と呼ばれる魔物が生息している。氷のように冷たい息で獲物を凍りつかせる。だが、それ以上に警戒すべきは人間の罠だ。鉱山の警備は商会時代以上に強化されているという」


4人は深夜まで作戦を練った。


蝋燭の灯りが次第に弱くなる中、それぞれの役割と戦術が明確になった。


アーサーが防御魔法を説明する。

「『静寂のベール』で足音を消し、『寒気耐性』の呪文を全員にかけよう。鉱山内部では『生命感知』が使えるが、範囲は限られる」


キースが地形を詳述した。

「東側の崖は崩落が多く、警備が手薄だ。だが、氷雪グリフォンの縄張りに近い。夜明け前1時間が彼らの活動が最も鈍る時間帯だ」


ガレスが接近戦の役割を確認する。

「私は前衛を務める。レオンは指揮と臨機応変の支援を。キースは遠距離からの援護と偵察を。アーサーは魔法支援と罠の探知を」


レオンが全体をまとめた。

「目的は証拠の収集と、可能ならば囚人の救出だ。戦闘は最後の手段とする」


「明け方に出発だ」

レオンが最終確認をした。

「軽装で行く。荷物は最小限に。キースの言う通り、魔物より人間の警戒が難しい。目立たずに近づき、状況を確認する」


4人はそれぞれの準備を始めた。


ガレスは鎧の手入れをし、アーサーは杖に詰め込んだ魔法の成分を確認し、キースは弓の弦と矢筒を点検した。レオンは地図を再び研究し、侵入経路と退却経路を頭に刻み込んだ。


外では冷たい風が吹き、遠くで狼の遠吠えが聞こえた。


フロスト・ケイブ鉱山は、単に物理的に遠い場所ではなかった。


王国の光が届かず、法の目が曇らされた闇の領域だった。

4人はその闇に挑むことを決意していた。


夜明け前、4人は宿を後にした。


街はまだ深い眠りの中にあり、彼らの足音だけが石畳に響いた。


門を出ると、北東に向かう道が闇の中に続いていた。道は次第に険しくなり、雪の気配が風に混じり始めた。


アーサーが杖を掲げ、先頭に立った。

「では行くとするか」


キースは鋭い片目で前方の闇を見据えながら、

「魔物の気配はない。今のところは」と報告した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ