第20話 旅路の出来事
北へ向かう道中、4人は荒れた街道を歩いた。
かつてレオンが騎乗していた白銀の軍馬はなく、足で大地を踏みしめるしかない。
しかし、その歩みは軽かった。
重い鎧と虚飾に縛られていた過去よりも、今の方がずっと自由だとレオンは感じていた。
3日目の夕暮れ、街道沿いの村で休憩することにした。
村は貧しく、子供たちの服はぼろぼろだった。
村長の老人が彼らを見て、警戒の目を向けた。
「旅の者よ、ここから先は商会の縄張りだ。余計なことをするなら、通り過ぎてくれ」
レオンは優しく答えた。
「私たちは商会と戦うために来たのではありません。ただ、真実を知りたいだけです」
その言葉に、老人の目がわずかに揺らぐ。
夜、こっそりと老人が彼らの宿へ訪れた。
「……鉱山町では、労働者が魔鉱石の粉塵で肺を病んでいる。商会は薬を渡すふりをして、依存性のある薬草を混ぜている。労働者は薬なしでは働けなくなり、奴隷同然だ。逃げようとする者は、商会の私兵に捕まり、二度と戻ってこない」
ガレスが拳を握りしめた。
アーサーは古びた杖を握る手に力を込めた。
キースは矢筒の中の矢を一本、無意識に撫でていた。
レオンは老人に深く礼を言った。
「情報をありがとう。私たちにできることがあれば」
老人は震える声で言った。
「……もし本当に力を貸してくれるなら、私の孫が鉱山町に連れて行かれた。マルコという名だ。生きているなら、連れ戻してくれ」




