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第19話 北の鉱山町へ
「さて、次はどこへ行く?」
ある朝、レオンが仲間に聞いた。
宿屋の窓から差し込む朝日が、彼らの簡素な装備を照らしていた。
ガレスは斧の刃を磨きながら、低く嗄れた声で言った。
「北の鉱山町で、労働者が不当に安い賃金で働かされているって聞いたぜ。商会が魔鉱石を採掘して、王都の貴族に高値で売りつけているらしい。事故が起きても補償なんて一切ない」
アーサーはしわだらけの手で羊皮紙の地図を広げた。「その商会は、『闇の商会』の残党かもしれない。
彼らが禁術の文献を隠している可能性がある。
魔鉱石の採掘に、禁術が使われているとしたら……」
キースは無言で矢羽を整え、鋭い片目で地図上の鉱山町の位置を確認すると、ゆっくりとうなずいた。
彼の沈黙は、同意以上のものを意味していた。
レオンは微笑んだ。
かつての「勇者パーティ」では、王の命令に従い、強大な魔物を討伐することだけが使命だった。
しかし今、彼らが直面する敵は、形のない権力と腐敗だった。
太陽が完全に昇り、新たな一日が始まろうとしている。
「よし、北の鉱山町へ向かおう」
レオンが立ち上がると、他の3人も自然に従った。




