第116話 雪解けの再会
北部への旅は過酷だった。
戦いの傷がまだ癒えていない彼らにとって、険しい山道と厳しい寒さは重い試練だった。
しかし、サラの小さな手を振る姿が、彼らを前進させた。
2週間後、彼らは雪に覆われた山々に囲まれた鉱山地区に到着した。計画が阻止された後、収容施設は王国軍によって封鎖されていたが、看守たちはすでに逃亡し、施設は荒れ果てた状態だった。
「誰か……いるのか?」
レオンが崩れかけたゲートを押し開け、中へと呼びかけた。
最初は静まり返っていた施設から、やがてかすかな物音が聞こえてきた。
そして、やつれた顔をした数人の男女が、建物の影からゆっくりと現れた。
彼らの目には、長い監禁生活による疲労と、突然の解放への戸惑いが映っていた。
「あなたたちは……?」
1人の男性が嗄れた声で尋ねた。
「民衆勇者です」
レオンが答えた。
「あなたたちをここに連れて来た計画は、もう終わりました。自由です」
その言葉に、人々の目に初めて希望の光が灯った。
レオンはサラの両親の名前を叫んだ。
「エリックとマリア!いますか?!」
しばらくの沈黙の後、痩せこけた男性がよろめきながら前へ出てきた。
「私が……エリックだ」
そして彼の後ろから、髪が白く染まった女性が現れた。
「マリアです……どうして私たちの名前を?」
レオンは胸の奥から安堵の息をついた。
「あなたたちの娘、サラから頼まれました。彼女は無事です」
「サラが……!」
マリアの目から涙が溢れた。
「生きてたの?あの子は逃げられたんだ……神様、ありがとう」
エリックも涙をぬぐいながら、レオンの手を握った。「どうやって……ここまで?」
「長い話です」
レオンが微笑んだ。
「でも、まずはここから連れ出しましょう。サラが待っています」




