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勇者が勇者パーティから追放されました ー王国の勇者から民衆の勇者として旅をしますー  作者: ぶっくん


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第117話 再会の庭

レオンが扉をノックした時、希望の灯り孤児院の木製の扉は、数日間の旅の重みを感じていた。


マーサ院長が現れ、レオンとその仲間たちの姿を見て、安堵の表情が顔をほんのり赤らめた。


「サラは庭で遊んでいますよ。毎日、あなたたちの帰りを待ち続けていました」


レオンはうなずき、ガレス、アーサー、キースと共に庭へ向かった。

花壇の手入れをしている小さな背中が見えた。

サラは土に触れ、花の根元を丁寧に撫でていた。


「サラ」


サラが振り返った。

レオンの声を聞いた瞬間、彼女の目が大きく見開かれ、手に持っていた小さな花の苗が地面に落ちた。


「レオン……!」


サラは駆け寄ろうとしたが、足が突然止まった。

レオンの後ろに立つ2人の姿に、彼女の呼吸が止まったかのようだった。

時間が一瞬、凍りついた。


「お父さん……お母さん……?」


エリックとマリアが前へ進み出た。


長い監禁生活でやつれた彼らの姿は、かつての面影をほとんど留めていなかった。


エリックの髪は白く、マリアの手には深い傷跡があった。

しかし、血の繋がりはそれを超えて伝わるものだった。

サラの目に映るのは、形ではなく、存在そのものだった。


「サラ……」


マリアの声が震えた。

それは長い沈黙を破る、最初の言葉だった。


一瞬の静止の後、サラは泣きながら両親の胸へと飛び込んだ。 


一瞬の静止の後、サラは泣きながら両親の胸へと飛び込んだ。


彼女の小さな腕が、2人を同時に抱きしめた。

エリックとマリアも涙を流し、娘の髪に触れた。


3人は言葉もなく、ただ抱き合い、涙を流した。


長く苦しい別れの日々が、この瞬間に報われた。

孤児院の庭に咲く花が、彼らの涙にぬれた。


ガレスが無言で目頭を押さえ、アーサーは満足そうに杖を地面に立てた。


キースは普段無表情な顔をわずかに緩め、小さくうなずいた。


彼らはこの瞬間を、戦いのすべての理由として記憶した。


しばらくして、サラが顔を上げ、レオンを見つめた。

彼女の目は涙で濡れていたが、確かな光を宿していた。


「約束……守ってくれたね」


「約束したから」


レオンが膝をつき、サラの目線の高さに合わせた。

彼の目は、少女の目に直接に向けられた。


「君は強い子だ。1人でよく頑張った」


サラは首にかかったアーサーのお守りに触れた。


「光ったことは一度もなかったよ。だって、ずっとレオンたちが無事だって信じてたから」


マーサ院長が近づき、エリックとマリアに優しく微笑みかけた。

「ゆっくり休んでください。ここは安全ですから」


エリックが深々と頭を下げた。

「娘を守ってくださり、ありがとうございます」


「感謝するのは彼らですよ」


マーサはレオンたちを見た。

彼女の目には、深い理解と敬意があった。


「この人たちが命がけで戦ってくれたおかげです」


その夜、孤児院ではささやかな歓迎会が開かれた。

テーブルには質素だが温かな料理が並び、子供たちの笑い声が響いた。


エリックとマリアは、まだ体力が完全には回復していなかったが、娘との再会の喜びに、顔には久しぶりの笑みが浮かんでいた。

彼らはサラの小さな手を握り、彼女の話を聞きながら、時間を忘れた。


食事の後、レオンはサラ一家に近づいた。

「これからどうするつもり?」


エリックとマリアは顔を見合わせた。

彼らの目には、未来への不安と希望が混ざっていた。

「故郷の町に戻りたい。でも、あの町はもう……」


「私たちの仲間が復興を手伝っています」

レオンが言った。

彼の言葉には、確かな希望が込められていた。


「多くの町が同じ運命をたどりましたが、今は人々が助け合って再建を始めています。あなたたちの町にも、きっと戻れる日が来ます」


サラがレオンの袖を引っ張った。

「レオンたちは……これからどうするの?」


4人は互いを見つめた。

ガレスが口を開いた。

「王国は変わったが、まだやるべきことは多い。俺たち民衆勇者は、これからも必要とされる場所へ向かう」


レオンはサラの頭をそっと撫でた。

「私たちは旅を続ける。でも、君たちのことは決して忘れない。君が強く生きることを、ずっと見守っているから」


サラは唇を噛みしめ、強くうなずいた。

「私も強くなる。次に会うときまでに、もっと強くなってるから」


マリアがレオンの手を握った。

「言葉では表せないほど感謝しています。あなたたちがいなければ、私たちの家族は再び集うことはできませんでした」


「私たちこそ、感謝しています」

レオンが静かに言った。


「サラとの出会いが、私たちに本当の勇者の意味を教えてくれました。勇者とは、力強い者ではなく、弱き者を守る者のことだということを」








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