寄り道.10
「これを、私に?」
リアは、『ブレイブクロース』を土竜からもらった。盾の次は服か。
その服は着る相手によって変化するみたいでリアに似合うピンクと白を基調としたデザインの服になっている。
「えへへ。お兄ちゃん似合う?」
「あ、うん。可愛いよ」
頭を撫でると満足したように微笑む。
嬉しそうにくるくる回ってる。
「わ~い!嬉しいな~!リオくん、どうしたの?ボ~ッとして?」
「あ~いや。なんでもね」
リオは照れたようにそっぽを向く。
「ははは、見惚れてたんだよな」
「ドロタ、うっせ!」
リオが恥ずかしそうに怒鳴る。
「なあ。竜って勇者の装備を守る者なのか?」
『まあな。だから魔族にも狙われたのだろう。本当にすまないことをした』
迫力のある竜なのにシュンとして見える。
「ま、こちらもレベルが上がったからそれでよしとしようよ」
コハクの言葉にミコが同意する。
「ここの主さまもこうおっしゃっておられるのですから皆様、いかがでしょう?」
うん。喋り方和風過ぎる。
「ま、生きてるからいいんじゃね」
「ドロタ、軽いな」
「お前の槍の軽さ程じゃねーな」
「なんだと~!」
ドロタと言い合うリオ。ま、仲が良いのはいいけどね。
「あのさ。ちょっと聞きたいんだけど」
『なんだ、人間?』
「あの魔族のことなんだけど」
リオとドロタがなにやら言い合いしてる内に話しを聞くことにした。
『ふむ。奴は見ての通り魔族。近くにダンジョンを生成してこっちの世界に来たようだ』
「そのようなことが可能なのですか?」
ミコが口元に手を当てて驚く。
ダンジョンは元々あるものと、自然発生するものがあると聞いた。
それを自ら生成してこちらに出てくる。
それだけで凄い力を持っているのか。
「お兄ちゃん、どうしよう?村が心配だよ」
「そうだな。一度帰るか」
ギルドの依頼を反古することになるけど。
あ~でも。社会人としては仕事はこなしたい。
少なくとも向こうの世界よりこっちの世界の出会いの方が、信じられるから。
「それならいい方法があるよ」
「プラチナ?」
「ま~、とりあえずドロタくんを村まで送ってからにしよ?」
「ん。分かった。じゃあ土竜。ありがとう」
『うむ。我も上流の社へと帰るとしよう』
土竜は僕たちに見送られて大河の中へと潜り、泳いでいった。
「よ~し!帰ろうか!」
「ふふ。威勢がいいんだから」
子供たちは元気だなとか思いながらまた、僕たちは帰路に着く。
「ドロタさん。さっきは文句言って悪かったな」
「いや。俺も叩いて悪かったよ」
リオとドロタが仲直りして肩を組んでいる。
まあ、よかったけど油断は駄目だからな。
今度は景色をのんびりと見る余裕もあってかこの辺は草木が少ないな。
遠くにも岩山が多いし。その事をドロタに尋ねると「この地は地の精霊が多いんだ」と教えてくれた。
「つまり精霊によって影響を受けるのか?」
「そうそう。まあ後、土竜のおかげかもな~。
あいつのおかげで俺達泥族はやっていけてるんだけどよ」
泥族は、質の良い土を身体にくっつけて栄養分としてるらしい。
「なんならお前らにもくっつけてやろうか~?」
「嫌だよ~!泥まみれになりたくないよ~!」
「うわっ!ふざけんな!こっちくんなよ!」
ドロタと子供たちの追いかけっこ。
しかしそれは警戒を緩める。
帰り道にも魔物は出るけれど気をつければ大丈夫かな。
やがて地下通路に入り村へと至る。
村に帰るとみんなが心配してくれ、ドロタは叱られた。リオも叱られた。
まあ、心配してくれたってことだよね。
今日は一日ゆっくりして明日旅立つことにした。
予定より少し遅れてしまってるし、泥祭りってなんか泥だらけになりそうだから。
つづく




