寄り道.2
それから数日はのんびりしつつ、フォルティシオ王国の首都で野菜の販売をすることになった。
連れていくのは、リアとプラチナ。コハクとミコ。
まあ、いつものメンバーだけどね。
「あ~、美味しかった!」
リアが、もちもちパンを食べ終えてホットミルクを飲む。
今日は旅立ち前にシズナのお店で朝食を食べてから旅立つことになった。
「ホントに、パン美味しいいね~」
「うん、そうだね」
「ふふ。皆さんに喜んでもらえて良かった」
「今度は、ハヤテくんの好きな炊き込みご飯て言うのを勉強しとくよ~」
サーファは食後のコーヒーを置いてお皿を下げる。
「あ、それはいいですね。楽しみにしてます」
和食は、やっぱり食べたい。ミコのおにぎりが恋しかったりするけど、頼むのも悪いしね。
「まあ、ハヤテさまが和食がよろしいのなら毎日でも作りますよ?」
「あ、ありがとう」
ミコにそう言ってもらえると嬉しいけど、それはそれでお嫁さんみたいで照れくさい。
「それなら私が作るよ。濃厚な奴をね」
コハクさんが言うと何故か如何わしくなるのはどうしてだろう。
「それにしても寂しくなりますね」
「早く帰ってきてまた一緒に遊ぼうね」
「うん、カナエちゃん、おみやげ買って来るね!」
「なあ、兄ちゃん。俺はついていっちゃ駄目なのか?」
「悪いってこと無いけどな。しばらく村から離れるぞ?」
「うん。俺はいつか村から出てくから」
「ええ!?リオくんいなくなっちゃう?」
「さみし~」
女子にそんなこと言われて、心が揺らいでいるようだ。
でも、分かる。外の世界をみたいんだろうな。
楽しいことばかりでなくて、厳しいことも沢山あるけど。
まあ、外に出ることは成長する上でいいんだろうな。
「リオのお父さんがいいって言ったらいいよ」
「やた!聞いてくるよ!」
リオが、元気に駆けていく。
「きゅ~」
「にゃん」
「もえ~」
魔獣たちが悲しそうにすり寄って来る。
これをされると旅に出づらい。
「みんな。村と畑を守ってくれよ」
「もえ~、もええ~」
「にゃおう」
「きゅ~」
「コケ、コケケケケ」
「すっかりハヤテくんに懐いてるよね~」
チーズケーキを食べてご機嫌なプラチナが言う。
さてと、そろそろ行こうかな。
お会計を支払い店を出ると、サリーとガレットさんがやって来る。
「あ、ハヤテくん。気をつけてね」
「うん。サリーも村のこと頼むよ」
「任せといて」
なんだかんだみんな村の周りの魔物程度なら倒せる程だから大丈夫だろう。
「あんたまた、おんなを狩って来ないでくれよ。
たまには男を連れてきな」
「はは。人聞きの悪い。村の警戒は頼みます」
「あいよ。なんなら武術大会にでも出て賞金貰ってきな」
「はは。まあ、野菜をしっかり売って来ます」
馬車のとこへ行くと、村長がいた。カナエのおじいさんも。
「おお、ハヤテさん。また嫁探しに行くとか?うちのカナエじゃ駄目かのう?
年の差なんて愛のロマンでどうにかなろう?」
「え?いや、僕たちは野菜を売りに行くだけですよ」
「これこれ、カナエのじいさん。
たねう……いや、ハヤテ殿を困らせてはならんぞ?」
村長、今、種馬って言おうとしたよね?
帰ってこない方がいいのかもしれない。
いや、むしろどこかからイケメンを連れて来た方がいいのかも。
「兄ちゃん!俺も行っていいって!」
嬉しそうなリオとその両親がやって来る。
「ええと。いいんですか?」
「こいつにも色々と経験させてやりたいからな」
「まあ、野菜のしゅうかくも終わったし」
夏に向けて小休止だそうだ。
「まあ、お二方がそう言うなら僕たちは構いませんけど」
「やった!リアよろしくな!」
「うん。いっぱい鍛えて上げるね!」
「げっ!」
リアは、僕よりも鍛練に励んでいるからね。
もう、僕なんかより強いんじゃないか。
「リオ、お兄ちゃんとリアを困らせないでよ!」
ふてくされたようにカナエが言う。
ホントは、カナエも一緒に行きたいのだろう。
いつの間にか動物たちも見送りに来ている。
ヤギや羊たちを優しく撫でて上げる。
「それでは村長行ってきます」
「ああ、気をつけてな。帰りはゆっくりでいいですから」
意味ありげに僕と仲間たちを見る。
なにか、変な勘繰りしてませんか?
馬車に乗ると走らせる。みんな入り口まで見送りに来てくれる。
「ハヤテく~ん!わ、私も連れてって!」
「あ!ルリ!仕事サボる気かい!」
ガレットさんが追いかけてくるがルリもああ見えてそれなりのレベルがある。
ルリの快速で馬車に捕まろうとして横からの猫ともえちゃんの体当たりで止められているよ。
「……あ~ん!ハヤテく~ん!」
「で、出来るだけ早く帰りますから~!」
遠ざかるルリと村。なんだから騒がしい出発だったな。
つづく




