寄り道. 3
街道をゆっくりと進みつつ、北に向かえば向かうほど山脈から吹き下ろす風が強くなる。
春が近くなっているとは言えまだ寒い。
野菜の保存は夏場ではないから容易とは言え氷で冷やしてる。道具屋で売っていた。
「それにしても、この辺に来ると魔物種類も違うね~」
「そうだな。俺なんて兄ちゃんたちのおかげでレベル50だもんな~」
得意気に笑うリオ。一日目は槍を振るのも苦労していたけど今は大分慣れているようだ。
「それにしても殺風景だね~」
「仕方ない。ほとんどの街が滅びちゃったんだから」
「プラチナが悪いわけではないからへこむなよ」
「うん。大丈夫だけど、魔族のせいだとしたら許せないな~」
ぷんぷんと頬を膨らます仕草がなんとも可愛い。
僕たちの影でなにかが動いているけれど、未だに姿は見えない。
「後、もう少しですね」
「うん。ミコね~ちゃん、腹減った!」
「はいはい」
ミコが微笑みながら握り飯をリオに渡すのを見て呆れるリア。
「さっき食べてなかった?もうお腹空いたの?」
「しょうがね~じゃん!腹減るんだからさ」
もぐもぐしながら食べているのを見てコハクが一言。
「早く食べ頃になっておくれよ」
聞かなかったことにしよう。と、そうこうしてる内に魔物か。
岩がごろごろしてる、あまり緑が少ない地域に入ったからか魔物の種類も大幅に変わる。
岩石を抱えた岩石ゴリラや、岩のりとかげだ。
岩石ゴリラは、ウホウホいいながら大岩を投げて来てくれるので、リオには馬車を守らせ飛び出したリアが鬼神刀で斬る。
「はぁっ!」
岩を断ち、続けて岩石ゴリラを斬る。
刀も上手く使いこなしているようだ。
僕よりも明らかに優れているね。
岩に乗って来た岩のりとかげの放った大岩はコハクの大盾で受け流す。
「刺激がたりないねぇ!」
そのままシールドアタックで岩のりとかげを倒す。
「雷撃之祝詞!」
ミコの放つ雷は魔物を感電させる。
「やあ!疾風突き!」
槍で突いて止めとばかりに飛び出して倒すリオのレベルがまた上がる。
僕も大岩ゴリラを仕留める。
「おっと危ないよ!」
背後から狙ったおんぶマルマジロがリオを襲うけど、プラチナが攻撃を許さないで突く。
「はっは!俺たちなら無敵だな!」
「もう。リオくん調子乗らないの!
プラチナお姉ちゃんに助けてもらったんだから!」
「お、おう。ありがとうな姉ちゃんよ」
「い~え。どういたしまして」
にこにこして答えるプラチナ。
それにしてもリアとリオは、兄弟みたいだな。見てて微笑えましい。
楽に倒せるとは言え、ここまで来ると魔物も強くなっているな。
素材を回収しつつ先を急ぎぎたいとこだけど、岩場なのででこぼこで進みにくいのでゆっくり進むことにした。
時折休憩してると、リアが聞いてきた。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。フォルティシオ王国ってどんなとこ?」
「ん~。僕は知らないんだ」
なにせ、異世界人ですから。
すると、コハクが答えてくれた。
「あそこは、良い男が多い国さ」
「「「は?」」」
「おっと。そうじゃなかった。勇者の誕生した街でもしられているね」
「勇者?私?」
きょとんとするリアの頭を撫でるコハク。
頭をなでられるのが嬉しいのかにこにこしてるリア。
それを見ながら話しを続けるコハク。
「勇者はフォルティシオ王国に誕生して魔王を倒しに魔界にまで行ったと言われている」
「そいつは凄いな!それでそれで!」
「聞かせて聞かせて!」
子供たちの瞳がキラキラしてる。
やはり、英雄譚のような話しは憧れるのだろうか。
コハクは、勇者の旅の話しを聞かせて話す。
ドラゴンの巣で沢山のドラゴンを退治しつつも降参したら殺さないで仲直りした話しや、魔族だからと言って話しの通じる相手にはとことん話し合った話しとか。
話しをしている内に眠ってしまったようだ。
もう少しこのまま休んでいても良いか。
それにしてもリアがあんなこと言うなんて。
「……勇者様って甘いんだね」
少し冷めた目なのは気のせいではないか。
「リア?」
「守りたい人だけ守れば良いんだよ。
大人は……大人は……子供に酷いことするし……甘いこと言ってもこっちが酷い目に合うよ」
その静かな口調はとても悲しく僕たちの心を打った。
僕と出会う前のことは聞いたけど、その時のことが原因なのだろう。
「違うよ!リア。勇者って全ての困ってる人を救出するもんだろう?」
「私は、勇者だからって誰かれ構わず助けなくてもいいと思う。
助けたって酷いことする人はするんだから。
助けたい人だけ助けるだけでいいよ。
それに、勇者頼りにしている大人は頼ってないでもっと頑張れって感じだよ」
子供たちは睨み合う。喧嘩しそうになったので止めたけど、難しい問題だよね。
つづく




