寄り道.1
それからも、畑の手伝いや近辺の魔物退治。
クエストをこなすために日々働いた。
他の領地からは相変わらず冒険者が来ることはないが、ダンジョンから敵が出て来ないので、急ぐことなくダンジョン攻略をしていった。
あれ以来、勇者装備は揃ってないけど、内心ホッとしている。
リアはまだ子供だから、のびのびと過ごしてほしい。
でも、少し背が伸びたのかもしれない。
村の子供たちもだけどね。
「お兄ちゃん、ただいま~!」
魔物退治から帰って来たリアはいつものように抱きついてくる。
これが、もう少し大きくなったら、ハグもしてこなくなるんだと思うと、少し寂しくなる。
最近では、リアはガレットさんについて、サリーさんと魔物退治に出掛けたり、狩りに行くこともある。
「こんにちわ」
リアと手を繋いで、ギルドへ行く。
依頼はいくつだってあるのだ。
提示版には相変わらずの依頼数がある。
「ハッヤッテく~ん!また私に会いに来てくれたの!?」
カウンターから出てこようとしてミオンさんに止められる。
「ガレットさんがいないからってすぐにハヤテさんのとこに行かないで下さい」
「なんですと~!?私はあの年増がいてもいなくても、ハヤテくんに抱きつく運命なのよ!」
「駄目です。仕事してください」
ミオンさんがいれば、ルリの暴走も止められてないね、うん。
僕に抱きついているからね。
「う~ん。ハヤテくんでエネルギー充電」
「はは……あの、依頼受けたいんだけど」
「そうだよ~。ルリさん、またガレットさんに頭挟まれるよ?」
「大丈夫よ。ガレットさんは見回りに行ってるから。
今しかないの。ハヤテくんに抱きつけるのは!」
「だから、仕事して下さい」
ミオンに掴まれて引きずられていく。
うん。頼りになる新人だ。他に雑貨店をサーファさんとやっているから凄いな。
サリーさんとシズナさんはカフェ見たいのを開くって言うし。
村に少しでも活性化に繋がればいいな。
さて。なにかいい依頼はないかなと。
相変わらずの低ランクから高ランクまでよりどりみどり。
今までのような、おかしなクエストは……と?
一枚の依頼書に目が止まる。
依頼者 村長
依頼 取れ立ての冬野菜の販売。
フォルティシオ王国のお祭りでうちの村の野菜を販売して来て下さい。
報酬 野菜の売り上げの1/3
まあ、報酬はどうでもいいけど村のためだから僕が行くのが言いかな?
チラリとリアを見ると、目が合いにこっと笑むのでほっこりする。
この子にも都会を見せて上げたいな。
僕が、新宿の高層ビル郡を見上げた時は呆けたものだ。
なんか、あの頃は高いビルを下から見上げてたな。
いつか、成り上がってやると思っていた。
なにもない。平凡な僕だと思っていたから。
「リア。一緒に大きな街見たくないか?」
「大きな街か~!見てみたいかも!」
「よし。決まりだな。ルリ。この依頼受けるよ」
「は~い。私に愛をコクる依頼ですね?あ、違った」
そんな依頼張ってたの!?いや、まあ、冗談だよね。
「あ~。もうこの季節か~」
「いつものこと?」
「うん。いつもはガレットさんと私が販売に行ってたけどね」
今年は、領地の回りがこんな有り様だから、どうするのかと心配していたと言う。
「そか。ハヤテくんが行ってくれるならへーきだね」
「それで、そのお祭りってどんなの?」
「う~ん。武術大会だから、リアちゃんはつまらないかもね」
リアの疑問に答えて上げてる。
昔のバトル漫画的な奴かな。まあ、漫画だと面白く読めるけど、実際はどうなんだろ?血生臭そう。
まあ別に、参加する訳でもないしね。
「ちなみに優勝賞金も出るみたいだよ」
「それは、ちょっと必要かな」
村の資金として貯金しておくのもいいかもしれない。
豊作じゃない時に、別の街から食料を買うことも出来る。
「でも、出場すれば訓練になるかな~?」
「出たいの?」
「う~ん、ちょっとだけかな」
リアは、魔物だけでなく色んな人とも戦いたいと言う。
まあ、訓練にはその方がいいのだろうけど。
それは、考えてから決めよう。
つづく




