鬼斬り空洞.2
思ったより、衝撃はありませんでした。ハヤテさまのおかげでしょうか。
しかも、嫁入り前なのにこんなにも近くに殿方を感じてしまうなんて。
胸がなにやら苦しく感じてしまいます。
だって、お姫様抱っこをされていたのですから。
「大丈夫、ミコ」
その声がなんだか愛おしく感じてしまうのです。
ハヤテさまは、スキルのせいで自分はモテるとおっしゃっておられましたが、それだけではないように思えます。
「は、はい。大丈夫です」
「……ずいぶんと落ちて来たね」
「そうですね。あなたとならどこまでも……」
「え?」
「い、いえ。あのそろそろ下ろしてもらってもよろしいですか?」
「あ、ああ。ごめん」
ソッと降ろしてもらいます。それは、傷つけないように優しく。顔が真っ赤なのは見られたくないです。
「ハヤテさまは、お怪我はありませんか?」
「ああ、うん。大丈夫。早くみんなとと合流しないとね」
「ええ。それにしても結構落ちましたね」
上を見上げますが、天井が見えません。
しかし、トナの村の地下にこのような場所があるなんて。
いえ、いつの間にかダンジョンが発生したから、ここも作られた場所なのでしょうか?
二人で進んでいくと、魔物がやはり現れますが、この辺では見かけない魔物みたいです。
切り裂き大ネズミと赤鬼です。鬼なんて、空想の世界の物かと思いましたが、ホントにいるんですね。
それらは、私たちを見つけると奇声を上げて迫って来ます。
しかし、慌てません。ハヤテさまの弓と、私の術で仕留めます。
「レベルもそれなりにあるみたいだね。気をつけよう」
「はい」
先程は、落とし穴にはまってしまったのですから、今度は慎重です。
気をつけつつ角を曲がると、足軽亡霊が槍を突き出して来たので、避けられたのにハヤテさまが私を庇って怪我をしてしまいました。
それでも、ハヤテさまは接近して飛竜閃を振るい倒します。
ホッとしたのも束の間。背後から私に抱きつく破廉恥な魔物がいました。
いつの間にか人の影に潜み隙をついて抱きついて来ました。
しかも、破廉恥なことに、胸を揉みしだいて来ます。
恥ずかしい。頬が赤くなります。それをハヤテさまに見られるなんて。
「あれは、黒坊やだ!」
ハヤテさまは、痛みを堪える表情で、素早く弓を構えて流星弓から自分の魔力を放ちます。
「ボボボボボボボボ!」
変な悲鳴を上げて消え失せます。少し、ホッとしましたがハヤテさまは、大丈夫でしょうか。
ハヤテ視点
「大丈夫?」
「ええ。それよりもハヤテさまの怪我を見せて下さい」
左肩に負った傷は、服が血で染みている。
ミコは、アイテム袋から高級傷薬を取り出して治療してくれる。
手際もよく包帯を巻いてくれた。ありがたい。
「ありがとう。手際もよくて凄いね」
「い、いえ。そのようなことは。うちの弟や妹がやんちゃでしたから、慣れているんです」
昔の時代の子供は、無茶をしてよく怪我をするイメージがある。それだけ元気なんだろうけれど。
「でも。あまり遊ぶおもちゃを買えなかたったので、色々と苦労してました」
「そうか。僕の時代が恵まれているんだろうな」
「そうなのですか?ハヤテさまの時代ではみなが笑って暮らせているのでしょうか?」
見ると、心からそう願っているようなそんな感じか。
ああ。この清らかさを見習わせたいとか思ったりする。礼節とか。僕が来た世界の女子たちに。
なんて言ったら、ぎゃんぎゃん言われそうだから止めておこう。
「うん、まあ。幸せに暮らしてると思うよ」
色々と問題は、その時代ごとにあるんだろうけれどね。
さて、それよりもみんなと合流しないとね。
つづく




