鬼斬り空洞.1
「みんな集まったね?それじゃあ行くよ」
「ハヤテくん、気をつけてね~」
「あんた、こんなとこ来てないで、仕事に戻んなよ」
「お姉ちゃんばっかり、ハヤテくんとら冒険なんて駄目だよ……じゃなかった!ギルドの依頼になるから、お社の入り口を見に来たんだよ~」
あははと笑って誤魔化せてないよ。本音を洩らしまくってるよね?
「もう一度確認するからね?あのおかしなマンドラコラさんを見つけて保護します」
リアが、じゃれあってる百合ってる皆さんに説明する。
「ふふ。しっかりしてきたね~」
「うんうん。勇者としての自覚が出てきたのかな~?」
「リアちゃんの周りには、勇気溢れるオーラが取り巻いています」
コハクとプラチナに続いてミコも微笑むながら、リアを眺める。
「リアちゃん、気を付けてね。お兄ちゃんにアプローチしたら駄目だよ?」
「うん。カナエちゃんも安心してね。勝負は正々堂々だよ~」
子供たちよ。きゃっきゃしてなにを話しているのかな?
魔物よりそちらの方が怖いのかも知れない。
「ダンジョンなら、やりたい放題だね?」
「サーファさん!なんてことを……」
「ん?ミコちゃん、なに言ってるのさ?魔物のことを仕留め放題ってこと!」
「そちらでしたか。紛らわしい」
まあ、みんなリラックスしてるからいいけどね。
「気をつけてくださいね」
「ホントに。私も行きたかった」
「でも、この子達と村を守ってます」
ミオン、シズナ。そして、サリーと魔物たち。
なんだこれ?ハーレム状態じゃないか!
男の人たちもいるけども、じっさまやおじさんがほとんどだし。
リオはまだ、子供だし。ラノベではどちらかと言うと苦手。
極端に片方の性別が多いとバランスを考えてしまう。
昔のレトロRPGみたいに、男二人、女二人とかだとバランスが取れてて好きだったりする。
ともかく、それをまさか自分が体験してるなんて。
気を取り直して、ダンジョンの入り口へ。
「!!」
「?プラチナ、どうした?」
「ううん。大丈夫かな?」
今、見られてる気配をしたと言う。プラチナのストーカーとか?
いやだな。そう言うの。本人に自覚とかあるのかなって思うけど。
「お気をつけください、ハヤテさん」
「ありがとうみんな。行ってきます」
わざわざ畑仕事を中断してまで来てくれるなんてありがたいな。
「兄ちゃん、みんな、気をつけてな!」
リオたち子供に見送られてダンジョン内へ。
ダンジョン内は、左右に松明の明かりが、煌々と照らされて奥まで続く和の建物風。
たまに発売する和風ダンジョンRPGみたいな感じか。神社だからそうか。
「どうしてこのようなダンジョンが……」
ミコの話しでは、最初神社を調べた時はそんなのなかったと言う。
誰かが、作為的に作ったのか。ともかくフラグがまた立っているのだろう。
この最近のお決まりのパターンはどうにかならないのか。
いや、でも昔のアニメってワンパターンだったけど、面白かったけどね。
それを何故か、一年くらい続けて放送すると言う脅威さ。
今思うと、大変な作業だったろうなと関係ないことを……ん?
肘のとこが柔らかい?ハッとすると、コハクが僕の肘に胸を押しつけていた。
「な、なにをするんですか!」
「だって。他のこと考えていたろ?魔物も出るんだし気をつけなよ」
そう言うと先頭をまた歩き出す。コハクなりの注意だろう。
もっと他の方法はないものかと思う。
「もう。コハク、うちのハヤテくんに色仕掛けしないでよね~」
「そうだよ。お兄ちゃん優しいから、拒むの大変なんだから!」
「はいはい。すまなかったね~。でも、プラチナだって『朝起きたらハヤテくんに抱きついてた~』て、幸せそうに話すじゃない?」
「お姉ちゃん?」
「うう。今だけだからいいんだもん!」
なにがいいのか分からないけど、緊張感の欠片もないな。
「ふふ」
「ミコ?」
「あ、いえ。みんな楽しそうで。私はいい場所に来たなと思います」
ミコもホントに楽しそうだ。
子供たちと境内で遊んでる時もあるから、人気もあるようだし。
「よく考えたら不思議だね」
「なにがです?」
「だって。僕たち多分時代の違う日本から来たじゃないですか?」
「あ、敬語じゃなくても大丈夫ですよ?」
くすくすと笑われてしまった。いや、ミコが敬語だからつられちゃうんだけど。
「ちなみに私の敬語はもう身についたものなので、お気になさらず」
「は、はあ。えと、そうそう。時代の違う二人が話しているけど、僕が元の日本に帰ったら生きてたら、おばあちゃんのミコと話すことになるから。この状況が不思議だな~ってね」
「まあ、ハヤテさまったら。面白いことを考えますね。
でも、そう考えると不思議なご縁ですね」
「そうですね。もしかしたらミコの子孫と遊んだことがあったりして」
「そう考えると不思議です……ね!?」
気づいたときには何故か、落とし穴にはまっていた。しまった油断した!
「ハヤテくーん!」
「きゃああ、お兄ちゃん!」
みんなの声が頭上から聞こえる。取り敢えずミコを抱き寄せて落下する。
う~ん。現実世界のように縛られることはないけど、のんびりとスローライフは難しいようだ。
つづく




