山間部.4
「シカー!」
「シカシカ~!」
なんか鹿の魔物たちが、僕たちを囲んで鳴いてる。
昔の特撮ヒーローに出てくる怪人の手下たちみたいだな。いや、そんなことよりも。
「なによぉ!私のおっぱいが目当てでも触らせないんだから!」
「サーファ。怖いからって変なこと口走らないで」
ミオンがたしなめる。その間にも鹿たちが距離を詰めてくる。
「くっ!」
サリーが猟銃を構えたので慌てて止める。
「待った、あの魔物は敵じゃないよ」
「ええ?でも……確かに襲ってこないわね」
「落ち着いて。もしかしたら魔物とも分かりあえるのかもしれないわ」
その鹿はキラーシカーンたちで、前にワイバーン退治した時に仲良しになったのだ。
「シカー!」
「シカシカ~!」
鹿たちが、すり寄ってくる。鹿せんべいでも持ってくれば良かったな。
僕は、鹿の一体を撫でて再開を喜ぶ。
『久しいな小僧』
そこへ、さらに大きな鹿の魔物。ダイシカンが現れた。
「うわっ!なにあの鹿!?」
「おっきい!」
「そそりたってるようだわ!」
サリーたちがびっくしてる。今の卑猥に聞こえたのは僕だけか。黙っていよう。
『あの時とは違う女がいるようだが…』
「ははは。まあ、成り行きで」
他に言いようがない。それよりも、ダイシカンも元気そうで良かった。
「最近はどう?縄張りとか」
「うむ。ワイバーンが退治されてからは安定しているが、他の魔物たちも活性化するし、夜はアンデッドたちがうろうろしているから、貴様たちも気を付けるといいぞ」
「ええ?アンデッドなんて出るの?」
「落ち着きなさい、サーファ。騒がしくしてなければ大丈夫よ」
ミオンがサーファを注意する。もう、空気のように当たり前に注意している。
その様子を微笑ましく見つめるシズナ。
『そう言えば、あののほほんとした天使が貴様を探しに来たな』
「プラチナか。心配かけてるな」
「プラチナ?ハヤテさま、それは誰のことですか?」
「女?あなたのおんなですか?」
「まあ、一夫多妻で問題ないじゃ~ん」
サーファの発言に、他の女子たちが頭を抱える。
そして、ミオンがぼそっと呟く。
「不埒ものが」
「ミオンさん、言い過ぎですよ」
サリーが、たしなめる。ホント、賑やかになったよ。
『もしよければ、麓まで乗せてって上げよう』
「本当かい?ありがとう」
ダイシカンの提案はありがたかった。
ダイシカンの話しによれば、この辺の生態系も変わってしまったようだ。
女連れじゃあ守り抜けないだろうとのことだ。
ワイバーンが、他の魔物の台頭を押さえ込んでいたのかもしれない。
「きゃあ!」
「凄い揺れ~!」
「激しいです!」
女子たちがうるさいな。どう言う訳か、エロく聞こえるんだよね。
でも、キラシカたちのおかげで、風を切り雄大な自然を楽しみつつ、ピョンピョンと危険な崖を飛び越えて夕暮れ前には山の麓までたどり着いていた。
「ありがとう、助かったよ」
「ありがとうございました」
「ありがとうね」
「また今度、乗せてね」
「意外と、乗り心地が良かったよ」
みんなで鹿に お礼を言った。 鹿も別れを名残惜しそうにしているので、今日はこの場所で野宿することにした。
結界石を使うと、キラシカたちも追っ払ってしまうので、交代で見張りを立てて眠ることにした。
周りに、キラシカたちがいるので安心して眠れる。
夜は、キラシカたちにも料理を振る舞い、寒い冬には暖まる鍋料理は喜ばれた。
眠る時は、時折遠くからアンデッドの叫び声が聴こえた。
『チチィィィィィィィィィ!』
『シリィィィィィィィィ!』
『フトモモォォォォォォ!』
相変わらずスケベだった。でも、女子たちは、僕にしがみついて怖がっていた。
僕は、女子の柔らかさと温もりを感じて眠れなかった。
真面目な性格と自分で言うのもなんだけど、理性が総動員して僕を冷静にさせる。
『物見遊山をする時は、いつでも来るがよい』
「ああ。その時は、鹿せんべいを持ってくるよ」
『うむ。みなも喜ぶであろう』
次の日の朝。キラシカたちに見送られ村に向けて歩き出す。
もうすぐだ。もうすぐで返れる。もう、自分の故郷みたいだ。帰ったら少しごろごろしよう。
つづく




