山間部.2
夜の村は、静かだった。村長にワイバーンを倒したことを話すと感謝されて、宴を開きたいと言うがそれは、丁重にお断りした。
温泉に入り、早々に休むことにした。まあ、その際一緒に入って来ようとしたサリーに出てってもらうのには苦労した。
尽くします。尽くします。あなたに尽くしますと言う気持ちが強いから。
しかし、強く言ったら可哀想だし。どうしたものか。
ふと思えば、この世界って結構温泉とかあって便利だなと思う。
食生活もオイルトテスだと、見たことのある食事もあった。
光の女神様の粋な計らいなのかとも思う。
しばらく、うとうととしているとモゾモゾとなにかが動くのを感じる。
なに、この暖かな感触は?
「……ハヤテくん」
「い!?サリー!なにしてるの?」
「だって、寒いから一緒に暖まりましょ?」
どうしてみんなスキンシップが積極的なんだろうか。
男としては、デレデレするしかないじゃないか。
いやいや、サリーに恋してるならまだしも、軽はずみでどうにかなるのはちょっと。
その事を話すとサリーは、うつむく。怒ってる?
「……もう。私はあなたに恩を感じてるんです。だから、お返しをしないと行けないわ」
そう言って密着してくる。確かに暖かくて、色々と柔らかいけど。
「ほ、ほら、こう言うのはお互い好きにでもならないとね?」
「私は好きです。私くらいの積極性の人と付き合いましょう?」
「足を絡めてしがみつかないで!」
「まあまあ、素直になりましょうよ」
「い、いや駄目ですって!」
そうこうしてる内に、外が騒がしくなってきた。
「なんだ!?」
慌てて、はだけた服を直す。残念そうにしてないで着替えてね。
「ま、まさかみんな今の覗いて、騒いでたんじゃないでしょうね?」
「そんな訳ないでしょ!気をつけて!」
警戒しながら外に出ると、何者かしらないが、村人たちに襲いかかっていた。
「俺たちゃー!」
「んん、俺たちゃー!」
「裸盗賊だぁー!」
ラトウゾク?なに言ってるんだ、あいつたち。
上半身裸の盗賊たちが、襲いかかると思いきや、上半身裸を村人に見せつけて楽しんでいる。
「金よこせー!」
「うまい食べ物よこせー!」
「女もなー!」
村人たちが逃げ惑っているので、こいつらが変な奴等でもなんとかしないといけない。
しかし、暗闇だから上手く狙えない。そうだ。
アイテム袋からひよっとこのお面を被ると、視界がクリアになる。
よし。これなら。
流星弓を構えて矢を放つ。連射するだけで、盗賊たちを仕留めていく。
魔力の込め具合で手加減出来るのがありがたい。
「ど、どうしよハヤテくん」
「落ち着いて。僕から離れないで」
「う、うん」
魔物相手ならともかく、人間相手にためらうのはしょうがない。
それでも僕は、ああいう奴を許さない。
二人で駆け回りながら、狙われてる人々を助けていく。
「あ、ありがとう狩人さん!」
「助かりました!私のことも狩って下さい」
「いっ!?そ、そうだ!村長さんは!?」
村人たちには避難してもらいつつ、戦えるものには手伝ってもらう。
盗賊程度だったら、大丈夫か?
村長の家に来ると、中は荒らされた感じだけど、村長はいない。
息子が村長のお母さんをかばってる感じだ。
「大丈夫ですか?」
「ああ。旅の方。こっちは大丈夫です」
僕たちの姿を見て、明らかにほっとしている。
でも、村長さんはいない。連れていかれたか?
「あの、村長さんはどこですか?」
「あの人なら、裏の滝で滝行していますよ」
村長の奥さんは、心配そうに滝のある方を見ている。
こんな夜に滝に打たれてるってどんだけ健康なんだろ。ともかく、助けに行かないと。
家の裏から砂利道を駆けて行くと、どうどうと大きな音を立てる滝が見える。
日本の滝と言うよりは、スマホの 動画で見た海外の滝に似ている。
それは、ひたすら滝をの映像を流すと言う滝マニアの人の動画だった。
僕は、再生回数の少ない動画がマニアックで好きで、よく見ていた。
まあ、今はそんなこと言いか。スマホの無い世界だし。
天涯孤独にLINEの送り主は無しってね。
あ、思い出すだけで悲しくなって来た。
「村長さん、大丈夫ですかー!」
サリーが、猟銃種子島を構える。たまは既に込められている。
レベルアップしているので、行動が素早い。
スキルも『命中率+30%』『連続射撃』などを覚えたから、またぎ……いや、猟師の中では最強だろう。
近づくと見えた。滝に打たれてる村長と、それに近寄る盗賊がいた。
「くけけけけけけ!この村は裸族盗賊の我々がいただいた!ここから、出ていくがいいぜれ」
「そうだ!盗賊エリートの我々を舐めるなよ!」
「命だけは、勘弁してやるから、女以外は出ていけ!」
勝手言ってるな~。はぁ。ため息が出る。
こんな奴等のために、安眠を邪魔されたのだ。
でも、彼等が来なければ、別の意味で僕に危険が迫っていた。はは。
つづく




