山間部.1
それにしてもサリーは凄いな。積極的なのはともかくとして、山歩きに鳴れているので健脚なのか、息切れをあまりしない。
険しい山々を登り降りしているのにだ。
「あ、私、『健脚』と『山歩き』のスキルがあるので、疲れにくいんです」
笑顔でそんなことを、教えてくれる。
「どうです?山間部のお嫁さんとしては頼りになりますよね?」
そう笑顔で、すり寄って来るので慌てて離れる。
「僕のとこは、山間部じゃあないから?」
「ちぇ!」
なにが、ちぇ、なんだよ。そして、パーティーを組んでいるので、どんどんサリーのレベルが上がって、頼りになる。
三日もすると、フォルティシオ領に入ったので、魔物もぐんと強くなる。更にサリーが強くなる。
銃を構えてから放つスピードが速い。
しかし、後衛が二人ってバランス悪くないかな。
まあ、僕は弓騎士だから、剣も装備してるけど、中途半端感が否めない。
それにしても、キラシカたちの縄張りはそろそろだと思うんだけど、まだみたいだな。
「あ、ハヤテくん。これは村ですね」
羊皮紙の古い地図を見ても乗っていない。ここはもしかして、隠れ里?
煙が立ち上っているので、誰かが暮らしていることは間違いないな。
「……水の補給は必要かな」
「そうだね。あなたの体液も……」
「え?」
「え?なんでもないですよ」
慌てるサリー。僕はサリーに狩られてしまうような気がする。
僕が、チャラ男ならそれもアリだろうけど、僕としてはそう言うとこは何故か真面目なので、モテるのは嬉しいけど、気苦労が増えてる。
村は、どこにでもある普通の村だよね?
門番の人たちが暇そうにあくびをしていたが、僕たちに気づくと警戒を強める。
「なんだ、貴様らは!?ここは、カップルがイチャつく場所ではないぞ!」
「そうだぞ。ここはな、お前たちのような新婚夫婦がラブラブを見せつける村ではないぞ」
えと。なにこの門番。サリーは、カップルとか言われて嬉しそうだけど。
「……あの。見て分かりません?狩人ですよ。新しい狩り場を開拓してたら、道に迷ってしまって」
そう言うことにしておこう。説明が面倒だ。
サリーが、ちょっとがっくりしている。
「なんだそうか。もしかして、この領内のこと知らないのか?」
「グリランデル領から、知らず知らず国境を越えて来たんだろ?」
「この辺は、べらぼうに強い魔物が出るんだぞ」
「べらぼうに強いのが出るなら、中へ入れてくれませんか?」
あくまで下手に出ると、門番たちは相談した後、通してくれた。
中は、素朴な村って感じだけど、急斜面に家や畑があるので、工夫がされている。
うちの村に、なにか参考になることないかな。
まあ、後で見て回ろう。取り敢えず宿屋なんてあるのかな?
道具屋とか武器屋もあるにはあるけど、まあ、期待できるほどの物はないかな。
道具屋で必要な物を購入すると、宿屋はないとのこと。
だけど、広場に旅人が宿泊出来る施設があるそうだ。現代で言う公民館みたいなものかな?
村の人々に観察されるのは仕方ない。
あまりこの辺りに人は来ないのだろうから。
でも、なんかあまり元気がないような気がするな。
宿泊施設を管理してる人は、村長らしいので居場所を教えてもらう。
村長は、昼寝をしていたけど、僕たちが訪ねると久々の客人に嬉しそう。いや、泣きそうなんですけど?
「か、か、か、狩人の方ですか。それはようこそ。夫婦仲良く羨ましいですな」
「いや、僕らは……「そうなんです。私たち仲良いんです」
僕の言葉を遮るように腕に自分の腕を絡ませて、自分の身体を密着させてくる。
む、胸が当たるから、平常心。平常心。
「そうですか。そうですか。ココハナにもない村ですが、山菜が美味しいので食べていって下され」
何故か、がっかりされているけどなんで?
ともかく、きつい山越えのほんの一時の休息とさせてもらおうかな。
つづく




