どこかの土地で.1
「!!」
魔物の気配で、飛び起きた。なんだ!?
狼たちに囲まれていた。間覚えのない平地で。
どこだ、ここは?薄暗いのでまだ、朝まで時間かあるようだ。
考える前にこいつらをどうにかしよう。唸りながら襲いかかって来た狼を、飛竜閃で切り裂く。
返す刃で、また一体仕留める。この魔物………弱いな。
あっさりと仕留め終わる。てか、寒いか。しかし、夜なのにリッチーや、ゾンビもいない。
すっかり目が覚めてしまったので、取り敢えず歩いてみるか。
アイテム袋から、松明を取り出して、火をつける。
まあ、視界はまっくら。お先まっくらだね。
「プラチナ!リア!近くにいるのか!?」
叫んだ声は、闇に吸い込まれるだけだ。空気の感じが違う。
もしかしたら、別の土地だろうか。それとも、別の異世界に転移なんてことはないだろうか?
いや、あの狼はエアウルフにどこか似ていた。
それでも弱いと言うことは、別の土地の可能性は高いかも知れない。
ともかく、街の方角はどっちだろうか?ステータスを確認する。
なにか、地図見たいのはないだろうか。ないか。
お?でも、一度行ったことのある場所は、マップで表示されているので、トナの村も表示されている。
そこに向かって歩いていけば、いずれは村にたどり着けるか。
何が起きたか分からないけど、元気出たー!
一人で、もくもくと歩いていると世界の色が変わる。それは、陽の当たる世界。
人々が、安心して生活できる時間だ。
見ると、少し離れたとこに街道があるのでそこを歩いていく。
寂しいな。昔は、ぼっちに慣れていたけど、誰かといることを知った今は、寂しいと感じる。
でも、帰れる場所があるから、早いとこ帰ろう。周りは危険なんだから。
でも、プラチナがいるなら大丈夫だろう。ほがらかであまり、強そうに見えないけど、実際強いからな。
今思えば、学生時代に僕のことを心配してくれた幼馴染みのことを、遠ざけなければ良かったな。
あの時は、施設の生まれだから、白い目で見られるから、巻き込まないようにしていたからな。
一人で、朝食のパンとスープで手早く済ますと、またのんびり歩く。
お、遠くにゴブリンがいるけど、街道より遠いからいいか。
しばらく歩いていると、馬車が背後から土煙を上げて来るのが分かった。
「ひゃっほう!ひゃっほう!」
「…………」
妙に、テンション高くやって来るのは、幌馬車のようだ。
なんか、変な人っぽいからスルーしようか。
そう思っていたのだが、幌馬車が近くで止まった。
「お。あなたは、冒険者様ですか?しかも、ソロでなんて豪気な方だ!」
ちょっと、でっぷりしたその人は、髭を撫でながら、御者台から降りてくる。
「はあ。どうも、おはようございます」
「冒険者様!もし良ければ、どうです?途中までで良いですから、護衛をしてくれませんか?」
「護衛ですか?」
変だな。行商に出るなら護衛くらい雇っていると思うんだけど。
それらしき人は、いないみたいだ。
「護衛、雇わなかったんですか?」
「それが、みんなダウンしてしまって……」
僕の質問に、バツが悪そうに答える。ダウン?病気かなにかか?
「……私の馬車の扱いが荒くてね。付き人や護衛の冒険者が酔ってしまうんですよ」
「そんな、まさか!?」
「そのまさかです」
やれやれと言った感じで、苦笑する商人。
あなたが、気をつければいいのではと思う。
「あの。僕は、トナの村まで行きたいんですけど……」
「ト、ト、ト、ト、ト、ト、トナ!?
あのフォルティシオ領にある村でさか!?」
あ、驚いてる。他国からすればやっぱり危険地帯と認識されてるのか。
「はは。やっぱ駄目ですか?」
「あの地は、地獄と化してると聞きますよ?止めておいた方がいい!」
本当に、心配してくれているようだ。ありがたいけどあそこは、もう僕にとっての故郷だからな。
「………まあ、どうしてもと言うなら、途中まででしたら良いですよ?」
商人は、若さは止められないかと、やれやらと言った感じで、改めて護衛を頼むことにしたようだ。
ギルドには、事後報告になるけどまあ、いいか。
「私は、マネルガです。南西の国のネッサから来ました」
砂漠の多い地方都市だそうだ。稼ぎどころがあれば、どこにでも幌馬車を飛ばすとのこと。
王都グリランデルで、生誕祭があるので、ネッサの特産品を売りに行くとのことだ。
馬のようなラクダのような動物も、どこか日焼けしていて、足腰に力強さを感じられる。
ラクダとかではないんだな。どんな運転されるか不安だが、頼むとするか。
こうして僕は、馬車の荷台に乗りガタガタ揺られながら進んでいく。
つづく
マネルガは、プライベートでも馬車を飛ばすのが好きなんだよ




