畑と魔物の種.6
それはもう上手く、喋れなかった。なにせ、ぼっちでいることが多かった前世だから。
それでも僕が、説明する。魔物を村外れのとこで牧場で、育てること。そして、人に危害を加えないようにしつけること。
まあ、今のところ大丈夫だと思うけれど。
「……しかし、危害を加えることもあるのではないか?」
「大丈夫さね。魔物の種ってのは、持ち主に懐くって言うしね」
いつもの露出ではない質素な服のコハクが言う。
「あれ?お姉ちゃん、昔みたいに脱がないの?」
リオが不思議そうに尋ねるとにやりと笑う。
「おや?もうそう言うお年頃かい?」
「はぁ?な、なに言ってんだよ?」
リオは、恥ずかしそうに魔物の雛のとこに行く。
なんだか、子供の教育に悪いのかも知れない。
そうだ。話しがズレて言ってるな。
僕は、村長を見ると考えを述べる。
「……もし、この提案が受け入れられないなら、ご迷惑なので村から出ていきます」
「……なんと!?それは困ります」
「でも。魔物の被害があったらそれはそれで、辛いですから」
村人は、ざわざわと話し合いそして、こちらを見る。村長に任せるようだ。
「……そこまで言うのなら仕方ありませんな。魔物のことは、あなた方に任せましょう」
村長の言葉に、子供たちは、手を取り合い喜ぶ。
「わ~い!やったね!リオ!」
「そうだね、リア!カナエも!」
「うん。私たちも世話するね、お兄ちゃん!」
「ああ。みんなで頑張ろうな」
「私は、ハヤテのあっちの世話でもしようかな?」
「お姉ちゃん、ずるい!私もだよー!」
コハクとルリが、おかしなことで揉めているので、スルーしよう。
「プラチナ。牧場に適した場所を探そうか」
「うん、いいよ。カナエちゃんどっか言い場所知らないかな?」
「う~ん。そうだな~、良い場所があるよ!」
うでをつかんで引っ張る限ってちゃんに連れられて、村外れへ。
「あ、まって!私も行くよ!」
ルリがついてきそうになって、ガレットさんにつかまる。
「アホか。あんたにはまだ、仕事かあるでしょ!」
「放しなさい!あなたは、私がモテることに嫉妬してるのよ!」
「村のじじばばに言い寄られて嬉しいかい?」
「違うわ!王都に遊びに行った時、ナンパされたもーん!」
「そうかい?甘い言葉を囁かれて貢いでたって、向こうのギルマスから連絡あったけど?」
「ど、どうしてそれを!?い、いや、そんなこと知らないもーん!」
「いい歳して、もーん、じゃないよ!早く行くよ!」
アガットさんに首根っこつかまれて引きずられていく。悪さした猫みたいだ。ま、猫っぽいイメージだけど。
「ふふ。ハヤテさまはホントに童に好かれるのですね」
「うんうん。ミコもハヤテくんにハマって来たかね」
「もう。プラチナさま!知りません!」
ウブな反応で答えるミコとプラチナを横目にハマるってなんだよと思いながら、村外れに着く。
村のうらっかわは、森になっていて、丁度出てきたカワウソと鉢合わせになる。
「お?みんなしてどうしたカワ?」
転職屋のカワイコトさんだ。なんか、濡れてるんだけど?
「……なるほど、この森の奥に開けたら場所があるからな。
そこでなら、魔物を安心して育てることが出来るな」
カワイコトさんは、魔物の雛を恐れていないのかな?
「カワウソさんは、どうして濡れてるの?」
リアが、疑問を口にする。素直に聞きたいことを聞いている。
「水浴びさ。この奥に水浴び出来る川がある」
にやりと不適に笑う。なんで?でも、カワウソだから温泉よりは川の水のことが好きなのかな?
「寒いのに凄いね!」
「まあな。カワウソにとって水とは仲間みたいなもんさ」
カワイコトさんと別れて森に入る。ここはもう、結界の外なので魔物に警戒する。
「……プラチナ。ここの方まで結界張れる」
「うん、いいよ。じゃあ先にこの辺の魔物を退治しちゃおっか?」
「そうだな。カナエたちは一旦村に戻ってて」
「ううん。私は、お兄ちゃんの戦う姿をバッチリ納めるね!」
いや、危ないんだけども。そうこうしてる内に、グリーンゴブリンや、半魚人が、川から上がって来たので、流れる動作で射抜く。
落ち着いた動作で。弓道部の駄目部長だった頃のことを思い出し苦笑する。
学生時代も、ぼっちではあった。孤児院出身てだけで見下され馬鹿にされる。意味が分からないなと思ったよ。
同情してくれる人もいたのだけれど、それはそれで嫌だった。
関わろうとしたのは、幼馴染みくらいなもんか。
同じ孤児院で。高校卒業するまではいつも一緒にいた。
卒業してからは、会っていない。心配はしたけど、今、幸せなのかなと思うと連絡しづらかった。
おっと。接近して来たムチナガザルの跳ねるような腕を、腰の剣で受け流す。
「これでも、くらっちゃえー!」
プラチナの閃光突き!その後、リアのサポートに入る。
カナエは、コハクにかばってもらっている。
「きゃあ!」
そのカナエが、蔦に絡まれ身動きが取れなくなる。
それは、擬態樹で大木の魔物だ。太いほど魔力も高く強い。
「カナエ!今、助ける!」
「ギャギー!」
枝をしならせての攻撃は僕を狙うものの、コハクの盾で防がれる。
「私に任せて!流水舞!」
振り回される枝をかわしつつ、弾いて蔦を切り裂いて、カナエを助ける。まるで、流れる川の流れに逆らわないような動きだ。
「ひゅ~、やるねぇ」
「あの子、強くなったね」
「ああ。そうだな」
どこか、感慨深い。そんなに過ぎてないけどね。
つづく




