ワイバーン退治.8
リア視点
私は、物心ついた時から、村の一軒ある孤児院で働いていました。
孤児院のおじさんおばさんは、ぐずぐずしてるとうるさくて、ムチで叩きます。
だから、手早くご飯を食べると村の畑を耕す手伝いを他の子供たちと同じようにします。
畑の手伝いを頑張ると、野菜を多くくれたりしますけど、孤児院のおじさんおばさんが自分達の取り分にしてしまいます。
そのことを指摘すると、ムチで叩かれます。
でも、朝になるとその傷が治ってるのでおじさんおばさんは、薬屋で薬を盗んだんだろうとムチでまた叩きます。
でもすぐに治ります。私は小さい頃からヒールが使えたからです。
でも、子供たち以外は内緒にしていました。
おじさんとおばさんが怪我しても治したいと思えませんでした。
「おじさんとおばさんは、どうしてムチで叩くのかな?」
「おじさんとおばさんて……お前はお人好しだな。
みんなムチオとムチコって呼んでるぜ」
ルチオは、そう言って声を潜めます。
「あいつらは、夜はお互いを叩きあって喜んでる変態なんだよ」
夜中にトイレに行くときにその事を知ったと言います。
次の日。おばさんが他の子を叩いているので、私が我慢出来ずに言いました。
「そんなに叩くのが好きなら、いつもしてるみたいに自分を叩けばいいじゃない!」
すると、おじさんとおばさんは真っ赤になると、私を叩きました。すぐに治ったけど。
ホッとする時間は、近所のお兄さんが私たちに文字の読み書きを教えてくれることです。
いつかは、王都に行って勉強してこの村に学校を作ることだそうです。
「じゃあ、私がお兄さんの生徒になってあげるね!」
「私も!」
「俺もだよ!俺が、一番!」
「ははは。みんな、ありがとうな!」
その優しい笑顔のお兄さんもすぐ亡くなりました。
次の日。世界が変わってしまったのです。
村の周りに出現する魔物がカーストアップしたのです。
地方の周りの魔物が突然上位種になってしまったからです。
村の結界は破れ、村の人たちは逃げ惑いました。
狼は村人を襲い。子供たちも次々と餌食になりました。
「ルチオ!」
「リア!お前は逃げろ!こんなの俺がやっつけてやる!」
震える声で、棒切れを握って立ち向かうルチオは勇ましいと言うより、無謀でした。
孤児院のおじさんもおばさんも失くなり、だけどなんとも思いません。
あれだけ叩かれたなら、自分達も同じ目にあったんだと思っただけです。
でも、畑のおじさんや文字の読み書きを教えてくれたお兄さんが私をかばってくれた。
「この地下に隠れていれば大丈夫だから」
「やだよ!お兄さん、一緒に隠れよ?」
「僕は大人だから」
掴んだ私の手を振りほどいて安心させるように微笑みました。
そして、たくさんの道具と食料を持って来て地下の蓋を閉めました。
「おーい、リア」
「……………」
「リア?大丈夫か?」
「………お兄さん?」
「ああ。大丈夫?うなされていたみたいだけど?」
心配そうに私を見ていたのは、弓のお兄ちゃんでした。
壊滅した村で、私を助けてくれたお兄ちゃんは、文字の読み書きを教えてくれたお兄さんに雰囲気が似ていて、なんか、悲しくなって抱きつきました。
「ど、どうしたの、リア?」
「ううん。なんでもないよ」
その温もりが安心出来て、幸せです。
「あ~、私もハヤテくんに抱きついていい?」
「プラチナは、大人でしょ?色々とまずいから!」
「いいじゃん、けちー」
頬を膨らませてかわいい。お姉ちゃんもお兄ちゃんのことが好きなんだね。
だから私は、お姉ちゃんを引き寄せて二人を抱きしめます。
「え?リア」
「えへへ。リアちゃん粋なことをしてくれるね~」
「粋じゃないでしょ!」
「ふふ」
慌てるお兄ちゃんが、可笑しくてつい笑ってしまいました。
この暖かさは、幸せの温もりです。
「ほら、見えて来たよ」
遠くに、一つの村が見えてきました。私はそこで暮らすのかな?
お兄ちゃんや、お姉ちゃんがいるならそれでいいかな。
私は二人の手をギュッと握ります。
なんだか幸せな気分でにこにこしてしまいました。
つづく
いつもありがとうございます!




