ワイバーン退治.6
「プラチナ、あの魔物知っている?」
「いちいち、地上の魔物なんて全部覚えてないよ~」
「?お姉ちゃん、痴女ってなにかな?」
聞き間違いだよ、それ。
「まあ、リアちゃん。恥ずかしいこと言わないで、シカさんに失礼だよ」
『………下等な生き物がこのダイシカンを愚弄するか!』
お。中々の威圧感のあるシカだよね。
昔、クラスメイトでいじめてきた奴よりはあるかな。
「カトウさん?あなた、カトウさんて言うの?」
プラチナの天然な言葉にダイシカンやキラーシカーンたちが、騒ぎ出す。あれ?これ、怒らせちゃったんじゃないかな。
どうしようか。倒すことは出来るけど、話しが通じるなら話した方がいいよね。
「……えと!話しがしたい!」
『話しだと?我の眷属を滅しただけでなく、我を愚弄する発言をしたのだぞ!我のバネのある足で蹴り飛ばしてやるわ!』
その言葉にキラシカ(キラーシカーンの略)たちが、タイミング良く襲いかかってくる。ギラギラとした目だ。
「うわっ!ハヤテくん、どうしよう?」
「あなたのせいですよ?」
「えへへ」
「えへへ、じゃないでしょ、お姉ちゃん?」
構えながら、シャボン玉を放とうとするリアを僕は止める。
手加減が出来ないと思うので、僕が相手の肩を狙う。狙う。狙う。
しかし、数がおおいのでしなる足てで蹴られそうになるけど、バックステップでかわしつつ矢を放つ。
「お兄ちゃん!」
そこへ、ダイシカンが、キラシカの上からダイブしてくる。
なんて、高い跳躍力なんだ!ぐっ!俺の背中を蹴って地面に押しつけると、プラチナたちを睨む。
『動くなよ。動けばこの小僧の背骨を折るシカなくなる』
「ハヤテくん!」
「お願い、お兄ちゃんを放して!」
リアがしがみついてダイシカンの足をどかそうとする。
「リア!危ない、下がれ!」
「小娘が、戦場に出てくるな!」
ダイシカンが、前足で蹴ろうとしたので、軸足をつかんで持ち上げる。
「おおおおお!」
『な、なんだと!?狩人風情が我を持ち上げるなどと………!?』
ダイシカンをそのまま地面に、叩きつける。
『うごがぁ!?』
「悪い。僕は、レベル500だからさ」
ダメージも1とかだからね。その言葉に目を見開く。
そして、観念したように頭を下げる。
『我は、どうなってもいい。しかし、仲間は殺さないでくれ』
回りのキラシカたちが、ダイシカンを気遣う感じだ。
なんか、いい群れだな。僕は部活で結果出せなかっただけで、責任を押しつけられて辞めさせられたのに。
ま、大したことじゃないか。そんなことは。
「僕たちは、なにもしないよ。君たちが襲ってこなければ」
「お兄ちゃんは、優しいんだよ」
リアが、嬉そうに言うと、プラチナが僕たちを引き寄せて抱きしめる。
「な、なに?」
「お姉ちゃん?」
「ううん、なんでもないよ。なんか嬉しくて」
「おかしなプラチナだな」
「おかしいとは、なんですか!おかしいとは!」
プラチナは、腰に手を当てて頬を膨らます。
「そ、そんなことより先へ行こう」
「なんですとー?そんなことだって!?」
「……きさま……いや、お主たちはなにをしに来たのだ?」
ダイシカンが、呆れて尋ねる。鹿煎餅を旨そうに食べる。
なぜか、プラチナももらって食べている。こんな小さい子は、我慢してるのに。
「ワイバーンを退治しに来ただけだけど」
「あいつらか」
「なにか、知ってるのか?」
「うむ。迷惑しておる。いつの間にかこの土地に現れて、我々を狩りおる」
「そうか。僕達はそいつらを狩りに来たんだ」
「……そうか。そこの女どもだけでなく飛竜をも狩るか」
なにやら、うんうん頷くと仲間たちに声をかける。
「いいか!こやつらは我等の脅威を狩ってくれるようだ!だから、こやつらには手を出すな!」
ダイシカンの声にキラシカたちが頷く。
「あ、あの。このふたりは狩ってないからね?」
「なんだ、貴様ほどの狩人が冗談もほどほどにするがいい。そこの娘どもはお主にぞっこんであろう」
「や、やだな~、ダイちゃんたら!おかしなこと言って!」
照れながら、そんなことを言うが、ダイシカンは気分を害した風でもない。
まあ、今は小鹿に変身して道案内してくれている。
キラシカたちが襲いかかって来たのは、ワイバーンのお陰で山のパワーバランスが崩れたことによるものだそうだ。
「え?お姉ちゃん、私はお兄ちゃんのこと好きだよ?」
「まあ、子供って素直だな~。私だってハヤテくんのこと……」
「え?」
回りを見て警戒していたので、聞いてなかった。
「な、なんでもないよ~」
「ふふ。お姉ちゃん、慌てちゃって」
くすくすと笑いプラチナをからかう。
「……なるほどな。貴様は無意識の内におなごを狩る術を知っているのだな」
「え?なんのこと?」
「よいよい。ハーレムは男のロマンだからな」
この鹿、どついちゃ駄目かな?
のんびりな会話をしながらも、警戒しつつ、ワイバーンの巣を目指すのだった。
つづく
自分では面白いと思いつつも、どうなんだろう?
いつも、ありがとうございます!




