トナの村にて.8
久々に村の外に出た。借りた弓矢の試し射ちだ。
するとすぐな、緑色のスライムが動きも速くやってくる。
「慌てず、静かに構えて弦を引き絞る」
弓道部の試合の時みたいに新しい物を使う時は緊張がして嫌になるけど。放った矢は見事にメガスライムを仕留める。そのまま歩き回ってメガスライムやエアウルフを仕留める。メガスライムは、スライムの上位種。エアウルフは、ウルフよりも牙は鋭く遠吠えも恐怖を与える上位種。しかし、レベルが500なので大丈夫。いや、これでいいのか?
小さい頃のRPGは、コツコツと鍛えてレベルを上げたもんだけど。
いいのか、最近のラノベはチートな奴が多いからね。
そのまま魔物を仕留めていると、レベルが一つ上がった。
経験値ブーストのスキルのおかげだよな。
この世界のレベル上げは、ある程度まで上がったら、弱い魔物からは経験値があまり入らなくなるらしいと、デジタル説明書に書いてあった。こう言うのを見ると、VRMMOとかプレイしてるように思えるが、そう言う仕様の異世界なんだろうね。まあ、ゲームと勘違いしてしまう人もいるかもね。
「わぁ!やっぱり凄いんですね、ハヤテさんは!」
「そうなんだよ。ハヤテくんは凄いのだよ」
きゃっきゃ騒ぐルリとドヤ顔のプラチナ。どうしてかと言うとルリは、暇だからだ。こんな状態だからね。依頼は多くても、それをする人がギルドマスターのガレットさんしかいない。
「そうだ」
ふと思い付いて、ルリさんにお願いしてみる。ふとしたいたずらみたいなものだ。
「ええ?これならいつも、一緒だね?」
「むむ!ライバル出現か~」
「なんのライバル?」
ともかくそれをして試す。うろうろしていたらウイングバードが、空を飛んでいる。見た目かわいいから、ためらいがあるな。
しかし、その風は村の畑を荒らすように切り裂くそうだ。
レベルも100は越えている。こんなのばっかりで前に会った貴族は大丈夫だったかな?
「!」
ルリは、プラチナに守ってもらって放った矢は、見事に仕留める。
すると、ステータスにあるテキストが表示された。
ルリのレベルが、30上がりました!
「わわっ!なにこれ!?私強い?魅力的?」
「お!心なしかルリの動きがいいね!」
冗談だったんだけどこんなことになってしまった。
この子とは、黙っててもらおう。これを狙ってレベル上げを簡単にしようとする奴がいるからだ。
「これって、ハヤテが私の命を守るためにしてくれたことなの?」
呼び捨てになってる。いいんだけど、あまり呼び捨ては好きじゃない。けど言えない心の弱さ。
「ま、まあね。でも、このことは内緒にしてて」
「………あ~、はい。私を独占したくて。誰も近寄らせないようにレベルを上げてくれたんですね?」
にこりと言われると、独占云々にいちいち訂正するのもめんどくさい。
プラチナが僕をジト目で見ているけど……。
「さ、戻ろうかな~」
素知らぬ顔で、村に戻る。門番に挨拶もすます。
「もう!はっきりしろよ~」
ルリが後を追って来てぽかぽか背中を叩く。
そう言われても、出会って間もないからね。
村に戻るとカナエが家から飛び出して来て僕の服の袖をつかむ。
そしておねだりするように僕を見上げて来る。
「ん?どうしたのかな?」
「私とも遊んで~」
「はいはい。お子様は危ないから家に入ってなさいよ」
ルリが軽くあしらうとムッと頬を膨らませる。
「お兄ちゃんを一人占めしないでよ~!」
「そうだ、そうだ!」
「軽いね~ちゃんは、どこか飛んで行っちゃえばいいんだ!」
村の家々から子供たちが出て来て、わいわい騒がしくなるけど。
「……え、みんなどした?」
「あ~。普段から魔物が狙ってますから、中々外で遊べないの。だから、ストレスがたまってるのよ」
仕方無さそうに言うルリはしかし、子供たちに甘いのか、にこりと微笑むと言う。
「じゃあ、おねーさんが遊んで上げるよ~」
「でも、でも、いいの?ルリさんは男の人追っかけていそがしいんでしょ?」
「カナエちゃん、誰がそんなこと言ってるのかね?」
あ、怒ってる?大丈夫かな。
「うちのおじいちゃんだよ」
「あんの、じじ~」
「ま、まあまあ。ここはみんなで遊びましょうよ」
「わーい!さすが、未来の私の旦那様!」
カナエが抱きついてくる。あの、困るんだけど。続いて他の子供たちまで。鬼ごっこは危ないので、みんなでドッジボールをすることにした。異世界でさることになるとはね。
しかし、ボールは一つしかないので、もうボロボロだ。新しいのを今度、買ってあげようかな。
まあ、楽しそうに遊んでるのは見てて良い気分だけど。
つづく




