トナの村にて.7
アルフさんの鍛冶屋から村の広場に戻る途中にも、グリフォンやワイバーンに狙われたので射落としておいた。そのたびにルリがはしゃぐから、照れくさくて仕方なかった。
僕がチャラかったら、とっくにルリにアタックしていたかもしれないけれど、そう言うとこはなんか真面目なものだから、そんな性格だ。
しかし、どうしてこの地域だけ高難度ダンジョンが現れたり魔物が強くなったりしてるんだろう。ておいた。
新たなスキルをGET!
ん?なんだろう?
ステータスウインドウを開いてみる。
経験値ブースト―魔物を連続で倒していくと経験値が増加していく。
「おお!これはすごい!」
「どうかしました?もしかして、私の凄さに気づいちゃいました?」
「いや、魅力的だけど……その話しじゃなくて……」
しまった。思わず声を出してしまった。なんか、レアなスキルっぽいから黙っていよう。
きっと、さっきの魔物を連続で倒したから覚えたんだよね。
でも、これならレベルも上げられるよね。
そうだ。頑張ってみよう。今は、前世と違ってリア充なんだと思うから。
それにしても、空から降って来る魔物はどうにかしないとな。
「ルリ」
「は、はい」
なぜか頬を赤くしてもじもじしている。なんで?
「あ、あの。普段空からの魔物はガレットさんが撃退してるんですか?」
「……なんだ。えと、はい。普段はそうですけど、食料を補充する時は、結界石を使って村のを覆ってから出掛けますよ」
「そうか。僕たちがいない間大丈夫かな」
「あは。大丈夫ですよ!ガレットさんは殺しても死なない人だから……いてて!いたい、いたい!放せ!放してくれよ~!」
背後にいつの間にか現れたガレットさんな頭を両腕で挟まれてぐりぐりされている。
「人を化け物みたいに言うんじゃないよ、全く」
「は、はは」
「あ、そう言えばアルフさんのとこに言って来ましたよ」
「ああ、そうか。あいつは頭のネジがぶっ飛んでいるだろうけど、腕は確かさ」
ルリをぐりぐりしたままだ。大丈夫かな。
そして僕は、この村の守りについて話すと眉を寄せる。怖いよ。
「それは、悩みの種なんだ。お前たちが運良くこの村に来たから良かったものの。私一人じゃ一苦労さ」
「やっぱりですか。でも凄いですね。他の冒険者とかは見捨ててもあなたはここで頑張ってるんでしょ」
尊敬に値しますよとは、黙っていた。
「まあ、私は孤児だったのをこの村の人達は暖かく見守ってくれたからね」
「そうだったんですか」
それに対して上手く言葉が出て来ない。この世界の人の辛さに比べたら、僕たちの世界の辛さなんて大したことないのかもしれない。辛さも喜びも、人それぞれなんだろうけど。でも僕は、自分がまだまだ甘いんだなと思う。
「さて、そろそろ飯にでもするかな。あんたもどうだい?」
「はい、そうですね」
昨日と同じ食堂兼酒場に行くと、プラチナがお先していた。他には村のじじばばがいるだけだ。
「プラチナ」
「えへへ。お腹空いちゃった」
照れくさそうにはにかむ。温泉に入ってさっぱりしたようだ。
「いらっしゃい!お、にいちゃんも来たのか。嬉しいね」
いかつさとは裏腹におじさんはにかっと笑う。
プラチナと一緒の席で、各々注文する。
「やっぱ、わしょくはないか」
「和食?それは、東方之国の料理かい?」
「ええ。まあ……」
「あんた、東方之国の出身なのかい?」
「ええ、まあ」
そう言うことにしておこう。説明しても信じてもらえるか分からないし。
「ハヤテくんは、私のこと好きですか?」
「ええまあ……?」
「そっかそっか。ハヤテくん私のこと好きなのか~」
「ち、ちょっと、ルリちゃん!違うから!」
「え?そんな……私のこと好きじゃないんですか?」
日本に思いを馳せて答えていたらめんどくさいことになった。ちょっと上の空だった。
「いてっ!」
「変な絡み方するんじゃないよ、たく」
悪ふざけなルリの頭をはたく。ら「もう、ブラックな上司にはうんさりです!」
「はは。そんなこと言って、クセになってるんだろ?」
「なってませんよ?バカなんですか?」
ムキになるルリを笑って受け流すガレットさんは大人だなと思う。
そのガレットと目が合うと口を開く。
「それにしてもあんたのレベルは凄いね。どうすればそこまで高められるんだい?」
目が笑ってないな。怖いな。運ばれてきたスープを一口。あ、うまい。
トマトのような酸味が効いている。
「まあ、何て言うか……」
どう答えて言いか分からないし。
「もう。ガレットさん、ハヤテくん、困ってますよ?
どうだっていいじゃないですか。村にとっての救いなんですから」
「そうだね。悪かったよ、詮索して。単に興味本意さ」
ほっ。助かった。ふと、横を見ると正に天使の笑顔で、デザートのアイスを食べるプラチナの微笑みがあった。のんき。
つづく
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