お祭り.22
しかし。どこを探しても見つからない。手分けして探しているもののこのお祭り騒ぎのなかでは難しいか。
酒場は流石に朝は開いていないからいないだろうけど。突然いなくなったんだからな。
「ハヤテくん!いたー?」
屋根の上から探していたプラチナが降りてくる。
「こっちはいないな。そっちもか?」
「うん、いない。てか、ハヤテくんはそろそろ試合じゃないの?」
「そうだけど、仲間のことが心配だよ」
「ふふ。そんなハヤテくん好きー」
「いやいや、こんな時になに言ってるの?」
いきなり爽やかに好きとか言われたら恥ずかしいっての。
「お兄ちゃん!」
リアが駆けつけて来て抱きついてくる。おっと。ミコも一緒だ。
「リア。試合終わったのか」
「うん。勝ったー!そして良いこと思いついちゃった!」
「え?なにがあった?」
お兄ちゃんがきょとんとしてる。えへへ。
ともかくさっきの出来事を話す。
「成る程。そのレッドさんにもサラシナ王子の護衛をしてもらおうってことか?」
「うん。あの人は悪い人じゃなさそうだし」
「そうか。それとサビロテはどうだった?何かしてきたか?」
「そう言えば見なかったよ。なにしてたのかな?」
リアは、首を傾げる。
「うーーん。やっぱりあいつ倒しちゃおっか?」
頬を膨らませて怒るプラチナ。こそこそしてるサビロテはプラチナとバトルしたらただですまないと分かってるのか。
「おーい!みんなー!」
お。ドロタとリオか。手招きしてるので行ってみる。
「おい、見つけたぜあの痴女!」
「痴女!?」
「痴女だって!?」
「この街に痴女がいるのか!」
ドロタの大声に回りの男たちがざわついてる。
まあ、夜のお店に行けるのはきっと、生活に余裕のある人だからね。
そうじゃない人たちが反応したんだろう。そんなことないか。
「ハヤテお兄ちゃんも、痴女がいいの?」
「そ、そんなことないよ。オホン。さ、さあ早く探しに行こう」
リアの純粋な瞳で見詰められたら戸惑ってしまう。質問が質問だけに。
「兄ちゃん!そんなことより早く!」
リオに急かされ僕たちは路地裏を抜けると剣戟の音が聞こえてきた。おいおい。
開けた場所でコハクと……侍?和装の人が戦ってる。
周りの住人たちは応援してる者や、息を潜めてる者がいる。
あれ、次の対戦相手じゃないか?
「止めろ、コテツ!おんたはそこまで落ちぶれたのかい!?」
「コハク!貴様も人のこと言えぬだろう!
武家の者の家の者がそんなはしたない格好をするなど!顔から火が出るわ!」
二人は言い合いコテツの放つ刀をコハクが盾で受け流している。
二人の関係は知らないけど止めないといけないな。
「お兄ちゃん、止めた方がいいよね?」
「ああ。しかしリアは危険だから下がって……!?」
なんだ?リアの小狐丸が光ってる?
「コハク!邪魔をするならもう容赦はせん!」
「あんたのすることを止めて見せる!」
二人が再び間合いを詰めようとしてコテツの刀が光るのが見えた。
「……なんだ?それがしの胴狸が……?」
狼狽えたとこをコハクがスキルのシールドバッシュを放つ。そして更に連携のスキル。
「シールドラッシュ!」
盾で打ちまくり後退するコテツ。そしてちらりとリアを見る。
「……その刀は小狐丸か。あんな幼子が装備しているのか?」
コテツはそう呟くと刀を納刀する。
そして、リアのとこへ来ると正座して頭を下げる。ええ!?
「……その刀を探していた。そしてその新たな主を」
僕たちは顔を見合わせることしか出来なかった。
話しを聞きたかったけど詳しい話しは大会後に。
そう言うことで僕たちは会場へと戻る。
会場に着くと案内の人に入場を告げられる。
相変わらずの人の歓声と王族の席には王様の影武者と王妃様。そして二人の王子。そうだ。王妃様はどっちの味方なのか?
しかし、二人の王子と親しげに話してるのを見てあまり聞かない方がいいことなのだと思った。
ともかく今は試合に集中しよう。
コハクとの痴話喧嘩は気になるけど試合の後だ。
そんなことを考えていたらそのコテツがこちらに近づいてくるので警戒する。なんだ?
「コハク様のことをお守りいただいて感謝する。そしてお主たちにはすまないことをした。しかし、勝負は勝負。本気でいかせてもらう」
「はぁ。よく分からないけどこっちも手を抜かないよ」
僕の返答に満足そうに頷くコテツ。よく分からないけど手を抜かないように戦おう。
つづく




