お祭り.21
「さーーーーて!次の勇気ある対戦者は、ちっちゃなアイドル、リアちゃーーーん!かわいーーー!抱きついていいーー?」
凄い。あのおっぱいの揺れは男の人を虜にするんだろうね。うーん。お兄ちゃんを虜にするためにも牛乳をいっぱい飲まないといけないかな~?
「いいぞー!チビッ子!がんばれーーー!」
「かわいーーー!私の家に養子にならないーーー!」
「ぼ、ぼくとおままごとしてほしいーーー!」
声援が届けば届くほど、私の心は冷めていく。
こんなに呑気にバトルを観戦してないでこの絶望的な土地をなんとかして欲しいよ。
この人たちはきっとこの国の惨状を知っているはずなのに、自分とは関係ないから無視してるんだ。
「その対戦相手は、炎砂の国のアステフォルから来た魔道士レッド!燃えるような真っ赤な髪の毛と、整った顔立ち!でも、とんなイケメンでもリアちゃんの可愛さには叶いませーーーーん!」
あのバニーガールさんは汗をかきながらも笑顔を絶やさないなんて凄いなと思ったりする。
「……この国は呑気だな。サラ様もこのような国に親書をかかねばならないとは……おっと、すまない。私はレッドだ。よろしく頼む」
レッドさんが周りを見回して苦々しく呟くけど、きょとんとしてる私に気づいて表情を改める。
「……いいよ別に。私はリア。子供だからって手を抜かないでよね」
「ははは。分かったよ。もとより手を抜くつもりはないがね」
流石にリオくんを倒しただけあって強そうだね。
勇者装備にしといた方が良かったかなー。
一応、炎耐性のお守りをキサさんが持たせてくれたから大丈夫だと思うけど。
「それでは、はじめーーーー!」
ぴょんと跳ねて揺れる胸。男の観客たちがそれに見惚れてデレデレしてる間にも私は踏み込む。
「はぁ!」
しかし、レッドさんは火球の球をいくつも唱え放つ。
それをスパスパ斬り裂く。凄いな。あんなに魔法力があるなんて。
こんなお祭り騒ぎしてないで私のような孤児を救いなよってね!
「おっと!近づかせないよ!更に炎でいくぞ!」
いくつもの火球。私は立ち止まり構える。
「灼熱炎熱地獄!」
一斉に私を狙うので居合い抜きで斬り裂く。
「舜刀滅殺!」
この小狐丸を使いこなすためにお兄ちゃんが、女性に抱きつかれてる時も素振りはしてたもん。
目に見えないいくつもの斬撃が火球を真っ二つにする。それらが地面に落ちて炎が消える。
「すごーーーい!私のリアがあんなに出来るなんて!しかし、子供に剣技を叩き込む不幸さ。おねーさんかなしー!」
あのバニーガールのお姉さんはなにを言ってるのかな?私は不幸じゃない。だってみんなを守れるんだから。カナエちゃんも。カナエちゃんのおじいちゃんも。魔物の雛たちも。
「……凄い才能だね。子供と侮ったつもりはないけど。しかしこちらも負ける訳には行かないんだ」
「それはこっちも……だよ!」
一気に踏み込んで打ち合う。レッドさんは杖で弾いていく。
だけど、接近戦なら私の方が有利。
しかし、蹴りを繰り出して来たので刀で受ける。
そのまま左右の足で蹴りつけてくるのでバク宙でかわして着地。
「フレイムバーナー」
そこを、フレイムバーナーと言う地面から立ち上がる炎を放ってきた。
炎をに包まれる私。ううう。負けられない!回転しつつ風を起こしながら居合いで消し飛ばす。
しかし、レッドさんはいない!?
その瞬間横から衝撃が来る。反射的にガードしたものの吹き飛ばされる。
ごろごろ転がりながらも立ち上がる。
「うーーーん。強いな」
「君こそね。ホントに何者かな?」
「えへへ。内緒かな?ブレイブヒール」
私は自分に向けてヒールを唱えると目を丸くされる。
「…回復魔法まで。しかも今のヒールは……」
「………しっ。内緒だからね」
私は失敗したなーと思う。ブレイブヒールは勇者しか使えないんだった。
「まあいい。その力は見せない方がいいみたいだね」
「うん。そうなんだけどね!」
一瞬で間合いを詰め横凪ぎを杖で受けられ。そこを軸にして回転しつつ反対側から斬るのをバックステップで下がられる。
「ヘルファイヤー!」
それも三連発!本気を出してくれてるんだ。
さっきみたいな大技は滅多に出来ないみたいだからこちらが有利かな。
それらを避けながら更に火球を斬り裂く。
それに魔法使いにしては動きがいいな、あの人。
「あらら。いつの間にか追い詰められてる」
端っこだよ。でも慌てない。
「こいつで仕留める!フレアー!」
凄い。もの凄い火力の炎がこちらな迫ってくる。
でも。魔力を使いすぎたのか動きが鈍ってるよ。チャンス!この炎なら人には見えないよね?
「舜刀滅殺からのブレイブソード」
抜き放ち乱れ斬り。凄まじい剣撃(自分で言っちゃった)でフレアを斬り裂いて踏み込み胴を打つ……あれ?幻?
レッドさんが欠き消えて上に気配が現れたので見ないで抜き放つ。
「うごぉ!?」
鈍い音と共に地面に落下して転がる。峰打ちであばらを痛めたかもね。ごめんね。そして刀を突きつける。
「……まいった?」
「……ああ。私の負けのようだ」
苦しそうに答える。そして、バニーガールのお姉さんが高らかに勝ちを宣言する。
「おおっとーーー!これは私のアイドル、リアちゃんの勝利だーーーー!後でお洋服買って上げるねーーー!おそろの!」
バニーガールのお姉さんの判定に一気に沸くよ。ざわざわしてる。
「凄いぞあの子!何者だ!」
「きっと僕とおままごとするために生まれたんだね!」
「キモッ!なにこいつ。でもあの子ホントにすごっ!」
みんなの声援を冷めた目で見つつもレッドさんにブレイブヒールを小声でかける。
すると怪我が治り勇気の気持ちが現れる。それが、ブレイブヒールの効果。
「……おお。流石は勇者の力。ありがとう助かったよ」
「いいえ。どういたしまして。それよりお兄さんはどうしてこの大会に出たの?」
なにか目的があるように思えたのでなんとなく聞いてみた。
「我が国は今は水不足でな何が原因か分からないが。この大会のことを知り私は参加した。どんな願いも叶えてくれるそうだからな」
「そっかー。でも大人は嘘つきだからどんな願いも叶えてくれるかな?」
私の言葉に苦笑する。大人は自分のエゴを押しつけるのと嘘つきなイメージがある。そして、自分のことばっかり。
ここの観客やあそこにいるサラシナ王子の命を狙ってる人もそう。
「……まあ。負けたからどうしようもないのだがな。水の魔石を沢山買って帰ろうと思ったんだが……」
「……ふーん。ならお仕事しない?」
「は?」
私のにっこりした表情にぽかんとしてるよ。
ふふ。そうだよ。レッドさんにもお願いしちゃお。
後でレナード侯爵の屋敷に来てもらってと。
そうだ。コハクおねーちゃん見つかったかな?
つづく




