新生活と出会い 9
この話はフィクションです。
当然ながら現実とは一切関係ございません。
次話、本日17時に予約済みです。
色々やっているうちにアルバイト初出勤の日がやってきました。それはつまり明日から大学だと言う事。でも大学に関しては後程サックリと説明するつもりですので今日はこちらを紹介します。
まず、アルバイト先となるお店の名前はカフェ《エトランゼ〔ゆめさき支店〕》と言いまして、食の大企業であるETOグループの系列店だそうです。ETOグループについては……雇用契約時に記入した誓約書の関係で喋れません。知らないわけじゃないですからねっ!
で、そのエトランゼ・ゆめさき支店の店長が、以前紹介した佐田さん(20代女性)と言うわけです。詳しい年齢が知りたければ佐田さん本人に聞いてくださいね?私は命(クビになるのが怖い)が惜しいので20代ということ以外は聞いてませんよ?
「本日からお世話になります、鏡麗華と申します。歳は18です。今回初めてのアルバイトですのでご迷惑をおかけする事が多々あるかもしれませんがこれからよろしくお願いします」
今日のシフトには私と佐田店長を入れて計4名のスタッフがいます。
「おー凄くイイわね。ねぇ~店長ぉ。また店長の趣味で選んだんじゃないの~?」
「店長ってこう言う系好きだもんね。そう考えると怪しいかも?」
「そ、そんな事はないですよ?それより二人とも鏡さんに自己紹介してください」
見ている限りスタッフと店長間の仲は良いようです。開店して一月も経過程しか経っていないのに上下関係でギスギスしてたら嫌ですから、こちらとしては不満はありませんが。
「あー、私はオープニングスタッフ……この時期に入ってくる貴女も同じような立ち位置なんですけど……で入った城場美貴と言います。歳は……内緒で良い?
読み方が珍しいのでよく「しろば」や「じょうば」と言われますが……この際どう呼んで頂いても大丈夫です。一応、今の時間帯のシフト内では店長の次に偉い副店長と自負していますので、分からない事があれば聞いてくださいね。以上、よろしく!」
そう言ってフンスッと胸を張る城場さん。城場さんはショートカットの髪型にスレンダーな体型をしていますが、引き締まる場所は引き締まっている体育会系の肉付きをしている女性です。性格も多分先の紹介を聞く限り明朗快活なタイプでしょうね。
城場さんを見ながらそんな事を考えていると、先の紹介に不満があったのか佐田さんが待ったを掛けてきました。
「あら~?ジョジョさんはいつから副店長クラスになったのかしら?自負するのは良いけど、心の中にとどめて置くべきだったわね。そういうことを勝手に捏造したジョジョさんはアルバイト代カットね?」
「あっ~!待ってよ、てんちょぉぉ!今月厳しいからカットは困るのぉぉぉぉ!」
「どうしようかしらね?ジョジョさんはすぐ調子に乗って、余計な事言うから信用がね~……」
「わぁ~わぁわぁわぁ~。待ってください。新人の前だからと言って調子に乗ってすみませんでした。是非とも先ほどの件に関してご再考の程を~~」
佐田さんが言うジョジョさんとは城場さんの事みたい。この一連の流れだけで二人の仲の良さが分かります。二人の関係はボケと突っ込みですね。あら?最初に感じた印象と違いますね。どっちが本当なんでしょうか……。
「ジョジョさん?反省していますか?」
「はい!海よりも深く反省します!ですのでどうかお許しを!」
「仕方ないですね。その代わりちゃんと鏡さんの教育をしてくださいね?そうすればもしかしたら……」
「教育に関してはいわれなくてもする予定でしたので問題ありません!ほむちんと一緒に協力して取り掛かるであります!」
「よろしい。では先の件はなかったことにします。が、もしまた同じようなことを言ったら……どうなるか分かりますね?」
「はいぃ!肝に銘じます!」
佐田さんと城場さんのやり取りが終わり、改めて城場さんからちゃんとした自己紹介を受けました。その時に年齢も教えてくれましたのでお知らせしておきます。城場さんは23歳とのことです。
「次、穂邑さん。お待たせしましたね。では自己紹介をしてください」
「はい」
返事をして出てきたのは、染めてる感が全く感じられない自然な金髪の女性。
いえ、ずっと居た事には当然気付いていましたよ?目を引く、その綺麗な髪の輝きにポーっとなるのは私だけじゃないはずよ!
「鏡さん……でしたね?私は穂邑・A・中里といいます。日本では中里穂邑で住民登録しています。名前の通りハーフになりますが生まれはアメリカ、育ちは日本です。こんな髪をしていますが実は英語がほとんど話せません。年齢は19歳。これから一緒にがんばろうね」
「あっ、はい。こちらこそよろしくお願いします」
流石に穂邑さんの自己紹介では城場さんの時のようなことは起きなかったです。
早速、仕事を教えてもらうためカウンターの中へ。最初はケーキの種類と飲み物の保管場所と淹れ方を覚える事でした。飲み物の淹れ方は実家で5日間の修行?を行った時に軽く触れていたので覚える事に苦労しませんでした。
ケーキの方は……一応好物ですからすぐに覚えましたよ?この2つの作業は共通して覚えるのが早かったらしく褒められました。
そうそう、人は褒めて育てないといけませんよ?仕事を教える時、罵声を浴びせてばかりでは相手がやる気を無くし、最終的には自分達の首を絞めることになりますからね?
次に覚えたのは注文の取り方とレジ打ち業務。これはどちらも同時進行で覚える内容でした。
注文にはテイクアウトとイートインの二種類がありますが、どちらも来店時に注文をして頂く形になります。注文を受けてレジでお会計。イートインの場合は順番プレートを手渡し、準備出来次第、お席までお運びするというもの。これは以前、店長の佐田さんがやっていたことなので見て覚えました。
テイクアウトの場合は、準備が出来るまで専用のエリアに滞在いただき、名前を呼んで対応する形ですね。多分テイクアウトの常連さんが来たら慣れて名前とか覚えちゃいそうですよね。
初日は慣れるのに必死で時間が経つのが早いですね。城場さんや穂邑さんから出来が良いと褒められ、気をよくした私のテンションは終始上がりっぱなしでした。
二人が影で私のことを「あの新人、扱いやすいわね!」とか言ってないかすごく心配です。
「鏡さん。今日はお疲れ様。仕事の方はどうだったかしら?」
「あっ、店長。お疲れ様です。覚える事がたくさんあったので8時間があっという間でした」
「そう?それで、聞きづらいことなんだけど……続けられそうかしら?」
「もちろん続けられますよ。仕事も楽しいですから。ただ問題があるとすれば制服がちょっと小さいといいますか……」
実は仕事中、上着の方がちょっときつくて苦しかったのよね。作業に集中してたからすぐに忘れられたけど。
「えっ?そうなの?ちょっとサイズ見せてね?」
そういって着替えたお店の制服を手に取り、面接時に申告した私のデータと服の発注に狂いがないか調べ始めました。そして暫くして……
「鏡さん!ごめんなさい。服のサイズの発注をミスしてしまったみたいで本来のサイズより小さい物を渡していたみたいなの」
「やっぱりそうでしたか。良かったです。私が太ってしまったのではないかと戦々恐々としてしまいましたよ」
「ふふっ、大丈夫よ。鏡さんクラスの人なら少し太っても需要はたっぷりあるわ」
「えっ?需要……?」
「あ、ごめんなさい。少しくらい太っても魅力的よって言う言葉と言い間違えたわ」
「どう間違って需要という言葉になったのか分かりかねますが……聞かなかったことにします」
気にしたらダメな匂いがプンプンしますからね!
「本来のサイズの制服は次回の出勤日に渡しますね。それでこの制服もその時に交換しますのでこのまま預かっておくわ」
「あっ、分かりました。では次はシフトどおり明後日に出勤します。それではお先に失礼します」
「はい。お疲れ様。気をつけて帰ってくださいね」
実はこの店から私の住むアパートまで10分ほどの距離だったりします。仕事場は近い方が良いですからね。
一方その頃、某ある店内で……
「今日入ったあの子……すごい素質がありそうで楽しみだわ。ふふふふ」
「そうですね。それにあの様子なら先日流れてしまった例の案件を再考できそうですしね。うふふふっ」
「こらっ!二人とも!もう店仕舞いよ?早く帰りなさい!」
「「は、はいっ~!」」
などという会話がされた事は現場にいた人物以外で誰も知ることはなかった。




