私達の戦いはこれからだ(笑) 5
神殿での戦いを再開してまもなく、私達は進化したスキルの効果に驚く事になりました。まず私の【魔道基礎】により詠唱時間がほんの少し減少します。説明を見る限りLV1の状態で0.2秒減少ですが、今の戦いのように敵の数が多い場合、その0.2秒の短縮のおかげで助かる事もあるのです。
ついさっきも、【天光】の中の新呪文の【ソーラーライト】を詠唱している最中に、ナナの攻撃をすり抜けてきたボーンドレイクの攻撃が私の体力を大きく削る鋭い牙での噛み付き攻撃をしてきました。このときの私は丁度【体⇒魔変換】により体力が減っている状態。今その攻撃を食らえば、死に戻りです。
だけどそこで役に立ったのが【魔道基礎】による【詠唱時間短縮0.2秒】というわけです。よもや牙が触れる!と思った瞬間には呪文の詠唱が終わり、天から一直線に光がボーンドレイクの体に貫き、その体を粒子化させたのでした。
「レイカちゃん!大丈夫ッ!?」
その瞬間を見ていたナナも必死な表情で私の心配をしていました。ちなみに心配しながらもその体は周辺に居る悪魔の群れを倒しているんですけどね……。ほんとに、ナナはいつの間にこんな動きが良くなったんでしょう…。
「ええ、大丈夫……とは流石にいえない状況だったわね。呪文の詠唱が間に合ってほんとに助かったわ」
あの素早いボーンドレイクさえ倒せれば残りのモンスターたちとは距離が離れていたりするので、注意していればさっきのような事にはならない……はずです。油断は禁物ですけどね。
やっとの事で目に見える範囲のモンスターを倒し終え、改めて神殿内を見てみると、苔むした石柱や恐らくあのモンスター達のせいかボロボロになった何かの像が所々に残っているのが分かります。
「やっぱり見た事ある……ぇ、この紋様は……もしかして」
「どうしたの?何か見つけた?」
神殿の奥へ向かう途中の壁に、ドラゴンに乗った騎士が槍を掲げている壁画を見つけ、ナナはその壁画を食い入るように見ていました。私が声をかけても返事をしないナナを不審に思いながら、その壁画を見ましたが私にはさっぱり分かりません。よく見ると壁画にかかれているドラゴンに乗ってる騎士が女性に見えなくも無い程度でしょうか……。
「ナナ?」
「えっ!あっ、ごめんね、レイカちゃん。この壁がすごく気になったからSS撮ってたの。もう用事は済んだから先に進もう!」
そう言いナナは神殿の奥へと向かっていきました。初見のマップだから、造りを調べながら行きたいのになぁ。ナナに追いついた私は、少々気になっていた事を聞く事にしました。
「ねぇ、どんどん先に進んでいるけど、ナナはここのマップデータを持ってたの?」
「……うぅん、違うよ?なんていうか、アメリカに居た時に見た場所に似てるの。だからその通りの造りかどうか調べたくて……」
「そう…。それなら道案内は任せるわよ?」
「うん、任せて!あのね、多分この先に見える扉を抜けたら大きな部屋に着くと思うんだ。そこにもしかしたら4体の鉄の像が4体あるかもしれない……」
「それがアメリカで見たって言う似てる場所の特徴かしら?」
「そうだよ。じゃあ行こう?……っとその前にまたモンスターだよ!」
現れたのはボーンドレイクが3体と、以前夏のイベントで行ったイベントの島のダンジョン《財宝の祠》6層にボスとして出たタイタニスが1体出現しました。
「へぇ~、ここにタイタニスが出るんだ~。思ったより近いところにいたのね。お金稼ぎになりそうで助かるわ」
「レイカちゃん、あの大きいのみた事あるの?」
「えぇ、ナナがアメリカにいている間にね。という事でナナはボーンドレイクのほうお願いね?」
「え~~!私もあのデッカいのと戦いたい!」
「……それなら、先にボーンドレイクを片付けて、その後ナナがタイタニスをソロで倒すってことでどうかしら?」
「賛成!ふふっ、久しぶりの大物!頑張っちゃうよ~」
ナナは久しぶりとか言ってますけど、二人で狩りに出た時にいろんな場所のボス狩りはしてますからね?とにかく、ボーンドレイクをさっさと片付けないとね。
ナナは【体術】の技である【軽功】を使い、敏捷の強化を行う。ボーンドレイクは大部分が骨ですから薙刀だとダメージが与えづらいので、今回は【体術】をメインに使っていくようです。
私はいつもどおり、天光魔法とか光魔法を使い分けて倒せる個体を狙っていくことにします。ナナが帰ってきてからはこういった役回りが多いんですよね。回復魔法ばかり使って属性魔法のレベルが上がっていくと強くなってる気がしませんよね。……私の出番まだかなぁ?
あっ、もちろんタイタニスへの警戒は忘れてませんよ?警戒するほど強いか?と聞かれれば「否!」と答えられますけど念のため……ね?
先ほど私を危険な状態にしたボーンドレイクたちでしたが、ナナの打撃による骨格破壊によりあっという間に殲滅され、現在ナナはタイタニスとにらみ合っているところです。
私の詠唱途中の魔法どうしたら良いのかな……。タイタニスに撃ったらナナに怒られちゃいそうだし、通路を戻って適当な雑魚にプレゼントしましょうか。
という訳で、ナナにその旨を伝えると、了承の返事が来たので私は通路を戻って先ほどナナが進まなかった横にそれる通路に入っていく。そこには15メートル四方の部屋があり、レイスやデモニスjr達が合計6体ほど留まっていました。
「先手必勝!【レイ】」
レイスたちが私に気付き、近寄ってくる前に一撃当てておく。アンデットや悪魔・幽霊などに属するモンスターは、光や天光属性で攻撃すると少しとはいえ、敏捷が下がる事はこの神殿で立証できましたから。
天光魔法を食らい、苦悶に歪むモンスター達、その中でもまだ比較的敏捷が高めのヤツらにソーラーライトを次々と打ち込んで倒していく。この神殿に来てから天光しか使って無い上に、モンスター自体もかなり強いので、目には見えないけどベース経験値も結構もらえてるんじゃないでしょうか?さすがにここに来る前に上がったばかりなので神殿内の戦闘だけで上がるとは思っていませんけど。
部屋の中のレイスたちを片付けると、部屋の中央に宝箱がせり出してきました。どうやら全滅させると宝箱が出現するという仕掛けだったようです。一口にトラップといっても全てが全て悪い物と言うわけではないですしね。
仮にこの宝箱に罠が仕掛けられてても、見極める術は無いのでさっさと開けてしまいますね。宝箱を開けるとなにやら古ぼけたアクセサリが……。
《古代△騎□のペンダ☆ト:古代カンパーニ王国で崇拝されていた四王の一人が持っていたという首につけるアクセサリ。所々システムに無い言葉で書かれており文字化けしていて読み取ることが出来ない……。レアリティ☆☆☆☆☆☆》
「なんか出たわね……。そしてレアリティが高い……。とりあえずよく分からないし持ってかえっておきましょう」
アクセサリ……というかペンダントをアイテムボックスに突っ込むとナナのいる場所へ戻る。タイタニスと戦っていたナナは、私が戻ると同時にタイタニスを倒し終えたところでした。
「お疲れ~、ナナ」
「レイカちゃん。久しぶりに良い運動になったよ~。またタイタニス見かけたら私にやらせてね~」
「そんなに気に入ったのね……」
「うん!…所でレイカちゃんは何処まで行ってきたの?」
途中の通路の部屋でお宝集めをしていたと言うと、ナナは苦笑しながらも戦利品を見たいと言い出しました。そしてあのペンダントを見せたときにナナの表情が変わったのを私は見逃しませんでした。
「このペンダントがどうかしたの?文字化けとかで読めないけど気になる?」
「え?うん、古そうだけど、綺麗に磨いたら緑黄石の色がレイカちゃんに似合うかも!ってね」
「そうかしら?ところでナナ。磨いたら緑黄石になるって何故知ってるの?」
「ふぇ!?だって、ここの説明文に緑黄石のペンダントって書いてるよ?」
どうも話が噛み合いませんね?私には文字化けしていて読めないと言っているのに、ナナはその文字を問題なく読んでいるように思います。ナナのスキルは私も見せてもらってますが、あの変な文字を解読できそうなスキルなんてなかったはず。
「ナナ……アナタやっぱり大事なことを隠しているわよね?」
「……レイカちゃんには関係ないから気にしないで良いよ。それよりほらっ、先に進もうよ!ね?」
「……」
この話は終わり!とナナはその扉を抜け、奥へ入っていく。
「関係ない……か。親友と思ってる人に隠し事されるってこんなに胸が苦しくなる物なのね。私も少し前まで似た様なことを七実にもしていたのだから、お互い様と言えばそれまでよね。でも納得できないわ」
扉の奥へ消えていったナナを見ながら私はそう呟き、ナナに詳しい話を聞くと決めその後を追うのでした。




