2話「夢は見るものだったのに」
【─1年前─ 1月25日】
「な...なんだこりゃ......!」
(さっきまで自室に居て...ベッドの上で寝たんだよな......?)
突然目の前に広がったのは現実のものとは思えない色鮮やかな木々。
それは視界全体を覆うように生えていて終わりは見えない。
夢というのは元々寝ている時に脳内の記憶領域を整理する際に見るものだ。
だから今まで見聞きしたような事がバラバラの現れるのが普通だ。
しかしこんな森は生まれて見たことあるはずがない。
ゆっくりと立ち上がり、あたりを見回す。
彩度の高い黄緑色をした幹、綺麗な青い色をした葉は紅葉というより蒼葉だった。
上には夜空が広がっているが、月や星は見つからない。
自分の服装も寝巻きから黒いコートに変わっている。首元にも黒いマフラーがかかっている。
「夢だよね...夢なんだよね......?」
自分の頬をつねる。古典的だが最も効率がいいと思う。
(夢なんだから痛いわけ......)
「痛っ!自分の頬なのに強くつねりすぎたってあれ......?
今痛かったって事は夢じゃない......!?」
(こんなの見て現実だって思う人はいるかな、いやいるわけないよね......?)
終わりの見えない森をひとりで歩いている。そこでふと一つ思いつく。
(──えっと...たぶん誰か道を示してくれるような人物が必ずいるはず。
でも、こんな森の中に人なんているはずないよね......)
《ハルキ、聞こえるか......?》
「ひゃぅっ!」
突然の声に驚きを隠せずだらしない声をあげる。
《聞こえているようだな。我は神だ。そして汝を此処に呼んだのも我だ。》




